地雷除去は軍事技術の進化との競争(UN News 記事・日本語訳)
2026年04月22日

2026年4月3日 – 新たな技術によって地雷の危険性が増している紛争地帯では、地雷除去要員がこれに遅れないよう、同じペースで革新を続けることが求められます。国連の地雷対策の第一人者がUN Newsのインタビューに答えました。
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ウクライナ紛争では、地雷技術が新たな開発の時代の先例を作りつつあります。基本モデルの地雷は、3Dプリンターを用いて戦場の近くで製造されるため、これを簡単に組み立てて爆薬を込め、ドローンで投下できるようになっています。
実際のところ、今日ウクライナに展開されている地雷の大半は、迫撃砲やロケット弾、ヘリコプターまたはドローンで遠隔敷設されています。
ウクライナで国連地雷対策サービス部(UNMAS)の責任者を務めるポール・ヘスロップ氏は「敷設される地雷が一気にハイテク化していることもあり」、地雷の探知は「はるかに複雑で危険な任務」になっていると語ります。
こうした「ハイテク」地雷には、徒歩か車両かに関係なく、地雷除去要員の接近を察知するセンサーが備わっており、そこで爆発するように仕組まれています。中には、磁気感知能力を有し、探知機の磁界に入ると爆発するようになっているものもあります。
ヘスロップ氏は「地雷を探知するために用いている技術自体が、地雷を作動させてしまうおそれがある」と語ります。
4月4日は「地雷に関する啓発および地雷除去支援のための国際デー」にあたりますが、国連の地雷専門家によると、除去を妨げる技術が開発されるよりも早く地雷を除去するという激しい競争にどうすれば勝利できるのかが、現在の最大の課題となっています。
ドローンの活用は解決策ではなく、手段
地雷除去要員は予防に重点を置くことで、民間人の命を守り、地雷敷設が現地のコミュニティーに及ぼす被害を削減することに役立つ新たな解決策を見出しています。
地雷対策団体は、地雷敷設方法の弱点を突くというやり方でも、革新的な取り組みを行っています。
遠隔敷設される地雷の数が増えているため、地中に埋められない地雷も多くあります。この場合には、手作業で地中に敷設される地雷と比べて、ドローンや高度なセンサー技術による探知がしやすくなります。

そうすれば、ドローンやロボットのような遠隔操作技術で、少量の爆発物またはフレアを放射し、脅威をなくすことができます。
とはいえ、全世界で紛争が拡大する中で、こうした進化は世界中で敷設される地雷の数に追いついていません。
ヘスロップ氏は「2015年以降一日当たりの地雷敷設量は除去量を上回り続けている」としています。
UNMASは昨年、ウクライナの国土の20%を超える面積に相当し、600万人以上が暮らす13万9,000平方キロメートルの地域に地雷が敷設されるか、不発弾が残っているため、国民経済に年間110億ドルを超える被害が及んでいると試算しました。
地雷は生命を脅かす一方で、その中には対人地雷のように、主として負傷させることを目的とするものも多くあります。ウクライナだけでも、戦争によって6万人以上が手足を失っています。
地雷は「敷設のおそれ」があることだけでも、非常に有害な軍事ツールとなります。兵器が隠れているかもしれないという恐怖によって、土地が使えなくなったり、立ち入りできなくなったりすることで、何百万もの民間人に幅広い影響が及ぶからです。
優先すべき課題は何か
正常な状態への復帰に数十年を要するおそれのある地域で、地雷除去要員が人々の生活にある程度の安心を取り戻そうと努める中で、課題の優先づけは極めて重要です。
従来、地雷対策の成否は、除去された地雷の数や除去面積、さらには取り除かれた金属片の量などの実績によって判断されていました。
ヘスロップ氏は「地雷除去、特に人道的な地雷除去では、地雷の除去自体が必ずしも目標にならないということも忘れてはならない。その土地が他の生産的用途に使えるということを示すことこそが目標だからだ」と述べています。

人道的な地雷除去要員は、まず地雷が存在せず、利用可能な土地があることを証明し、次に地雷が敷設されている公算が高い場所があることを証明し、除去活動に着手できるようにするという2つのやり方で、この問題に取り組んでいます。
しかし、地雷が敷設されているかどうかが不透明なことも多くあります。特に、砲兵射撃によってすでに何千もの金属片が拡散している戦闘地帯をはじめとする「金属濃度の高い区域」では、センサーで地雷と銃弾の破片を見分けることが難しくなります。
ヘスロップ氏によると、この探知の不確実性こそが「地雷対策を本質的に非効率なプロセス」としているのです。
この問題に取り組むため、地雷に含まれる金属を探すのではなく、爆薬自体を探知したり、さらには爆薬を包むプラスチックの覆いを見つけ出したりする技術も開発されています。
古いやり方がベストなことも
ヘスロップ氏は対策を進めるため、地雷除去要員に「自分たちのアプローチに固執しすぎない」よう警告したうえで、前進に向けて越えるべき最大のハードルの一つが「マインドセット(固定観念)」にあると付け加えています。
新しい技術をこれまで非効率と考えられていた手法や技術と組み合わせることで、地雷の除去と察知の効率改善に役立つ可能性もあります。
一つのアプローチとして、人工知能(AI)や高解像度カメラ、ドローンを地雷原処理ローラと併用すれば、農民など、懐疑的な民間人の土地利用者に信頼感を与えることに役立ちます。
AIやセンサーを用いて、畑に地雷があるかどうかを判定したうえで、地雷原処理ローラが畑で探知活動を行うことで、農民はそこで安全にトラクターを使えるという確信を得やすくなるからです。
「新しい考え方や技術を取り入れつつ、古い考え方に立ち戻って、それが使えるかどうかを判断するということだ」とヘスロップ氏は語ります。

人工知能(AI)はブースター
地雷が敷設されている公算が高い区域では、AIを高度なスキャン技術と組み合わせれば、地雷埋設が想定される範囲を、サッカーのピッチに相当する面積から6ヤード四方のゴールエリアにまで狭めることができます。
AIが特に地雷対策のコスト削減に有効であるだけでなく、生産的な土地利用への回帰を早められる理由は、この効率性にあります。
同様に、AIは大量のデータを処理し、どの区域を優先すれば最大の利益が得られるかを数秒で判定できるため、データに基づく意思決定にも活用することができます。
経験豊富な地雷対策のリーダーであっても、この作業には通常、数時間の手作業が必要となるからです。
通信技術で予防を支援
技術(テクノロジー)は地雷が作り出す危険の増大を助長している一方で、技術革新(イノベーション)は地雷啓発活動の効果を大幅に高めます。
ヘスロップ氏は「今では、何か怪しいものを見かけた時には、写真を撮って送れば誰かが『これは危険物だから、チームを派遣しよう』とか、『いや、これは車のスペアパーツ…オイルフィルターかエアフィルターだろう』などの判断を下せるようになった」と語ります。
ヘスロップ氏は一例を挙げ、当初の対象者を20万人超と見積もっていたアフガニスタンのプログラムでは、民間人が持っていた技術のいくつかを活用した結果、500万人以上に恩恵をもたらすことができたと述べました。
さらにヘスロップ氏は「新技術による通信の改善で、対応能力は30年前よりもはるかに向上している」と付け加えました。
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原文(English)はこちらをご覧ください。


