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世界は、複合する危機という“究極の嵐”の瀬戸際にあると国連事務総長が警告、 ウクライナでの戦争による連鎖的な影響を回避するための緊急行動を呼びかけ(2021年4月13日付プレスリリース・日本語訳)

プレスリリース 22-021-J 2022年04月22日

世界の食料、エネルギー、金融市場に与える戦争の甚大な影響が、数百万人の生命を奪う恐れ

ニューヨーク、4月13日 — ウクライナでの戦争は、食料、エネルギー、資金という3方面の危機を引き起こし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と気候変動によってすでに疲弊している世界経済に憂慮すべき連鎖的な影響を与えていることが、グローバル危機対応グループ(GCRG)の新たな報告により明らかになりました。

「私たちは今、開発途上国の経済を壊滅させる恐れすらある破滅的な局面にあります。ウクライナの人々は、自分たちに加えられる暴力を甘んじて受けることなどできません。そして、世界で最も脆弱な立場に置かれた人々も、自分たちにまったく責任のない、更なる惨禍の巻き添えを受けるわけにはいかないのです」アントニオ・グテーレス事務総長はこのように述べました

「世界はこのような事態を許すことはできません。私たちは今、行動する必要があります。この3方面の危機に対し打つ手立てがありますし、痛手を和らげる力があるのです」と事務総長は強調し、最も危険にさらされている国々とコミュニティーが、相互につながり合った危機を回避するための、緊急、具体的、かつ協調的な行動を呼びかけました。

究極の嵐の瀬戸際にある

世界的な穀倉地帯を有するロシアとウクライナは、私たちが消費する小麦と大麦の約30%を生産しています。ロシアは依然として世界最大の天然ガス輸出国であり、世界第2位の石油輸出国、そして肥料の重要な生産国です。この戦争は食料、エネルギー、金融市場に深刻な影響を及ぼし、商品価格の記録的な高騰を招いています。世界経済は2022年に1%縮小すると見込まれています。

予備的分析によると、107の経済圏に住む17億人もの人々が3つの危機のうち少なくとも1つにさらされると見られ、その大半はアフリカ、アジア太平洋、ラテンアメリカ・カリブ海地域で生活しています。COVID-19の危機と気候変動により壊滅的な影響を受けている状況にあっては、たった1つのリスクにさらされるだけでも過剰債務、食料不足、停電を生じさせるに十分なほど甚大な影響があります。

事務総長が立ち上げたグローバル危機対応グループは、各国政府や多国間システム、セクターと協働し、相互につながり合った危機に対する協調的な解決策を策定することを目指しています。危機対応グループの運営委員会は、アミーナ・J・モハメッド国連副事務総長が率います。

危機対応グループは、ハイレベルな調整とパートナーシップ、緊急行動、重要なデータ・分析・政策勧告へのアクセスを通じて、脆弱な立場に置かれた国々が大規模な危機を回避できるように支援することを目的とします。第1弾となる本日の概要は、国連貿易開発会議(UNCTAD)のレベッカ・グリンスパン事務局長の調整によって作成されました。

世界は緊急行動を必要としている

概要は、緊急的勧告から長期的勧告まで一連の提言を行います。その中には食料、肥料などの農業投入物、エネルギーの入手を確保するために市場と貿易を開かれた状態に保つ必要性など3方面の危機を回避・対応するための提言が含まれます。さらに、最も危険にさらされている国々への緊急資金拠出を国際金融機関に呼びかける一方、こうした衝撃に対する長期的なレジリエンス(強靭性)を備えるために十分な資源を確保することも必要であるとしています。

食料については、市場を開いた状態に保ち輸出規制がかけられないようにするだけでなく、人道的な食料支援への速やかな資金供給も呼びかけています。投入コストと輸送コストの上昇に直面している食料生産者は、次の生育期に向けた支援を早急に必要としています。

エネルギーについては、各国政府に対し、戦略的備蓄、追加備蓄を使用して、このエネルギー危機の短期的な緩和に役立てることを呼びかけています。さらに重要なこととして、市場変動に影響されない再生可能エネルギーの導入を世界中で加速させ、石炭やその他すべての化石燃料を段階的に廃止する必要があります。

「今こそ、この危機を機会に変える時でもあります。私たちは、石炭やその他すべての化石燃料の積極的な段階的廃止と、再生可能エネルギーの導入と公正な移行の加速化に向けて協力しなければなりません」と事務総長は述べました。

資金については、G20諸国と開発銀行を含む国際金融システムに対し、特に後発開発途上国向けに柔軟性のある十分な資金を緊急に拠出し、現在の状況での債務返済を緩和することを要請しています。

「私たちは、開発途上国を金融危機から引き戻す必要があります。国際金融システムには十分な資金があります」事務総長はこのように述べ、「資金を最も必要とする国に対し、政府が債務不履行を回避し、最も貧しく最も脆弱な立場に置かれた人々に社会的セーフティーネットを提供し、持続可能な開発に不可欠な投資を続けられるように」資金を利用可能にするよう要請しました。

「何よりも、この戦争を終わらせなければなりません。今すぐ戦闘行為を停止させ、平和に向けた交渉を加速させる必要があります。ウクライナの人々のために。この地域の人々のために。そして、世界の人々のために」事務総長はこのように付け加えました。

概要の発表は、国際通貨基金および世界銀行グループの2022年春の会合(4月18日-24日)に先立って発表されました。

報道関係者のお問い合わせ先:

国連グローバル・コミュニケーション局(UN DGC)
Devi Palanivelu
palanivelu@un.org

国連貿易開発会議(UNCTAD)
Dan Teng’o
dan.tengo@unctad.org

編集者向け注記:

2022年3月14日、アントニオ・グテーレス国連事務総長は、ウクライナでの戦争による広範な影響への世界的な対応を調整するため、「食料、エネルギー、資金に関するグローバル危機対応グループ(GCRG)」の設置を発表しました。危機対応グループは、食料安全保障、エネルギー、および資金調達という相互につながり合った途方もない課題に先んじて、ハイレベルな政治的リーダーシップを確保し、進行中の危機に対する協調的なグローバルな対応を確保します。アミーナ・J・モハメッド国連副事務総長がグループの運営委員会を率い、国連システムとパートナーらを戦略的に調整します。

概要の全文はこちらからご覧ください。

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プレスリリースの原文(English)はこちらからご覧ください。