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より野心的な気候変動対策を求める NDC 統合報告書の一次報告書を発表 (UNFCCC プレスリリース・日本語訳)

プレスリリース 21-017-J 2021年04月01日

都市部の地平線©Pexels

2021年2月26日、ボン/ニューヨーク - 国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局は本日、「自国が決定する貢献(NDC)」に関する統合報告書の一次報告書を発表しました。同報告書は、今世紀末までに世界の平均気温上昇を2℃(理想的には1.5℃)に抑えるというパリ協定の目標を達成するには、各国が取り組みを倍増させ、より強力で野心的な気候変動に関する国別行動計画を2021年中に提出する必要があることを示しています。

「気候緊急事態に立ち向かう世界にとって、2021年は命運を左右する年になります。世界の気温上昇を1.5℃に抑えるには、2030年までに世界の温室効果ガス排出量を2010年比で45%削減しなければならないことを科学が明確に示しています。本日のUNFCCCの暫定報告は、私たちの惑星に対する緊急警報です。気温上昇を1.5℃に抑え、パリ協定の目標を達成する上で必要とされる野心の水準には、各国政府が程遠い状況にあることを報告書は示しています。主要排出国は、今年11月にグラスゴーで開催される国連気候変動会議(COP26)までに十分な余裕をもって、2030年年に向けた一層野心的な排出削減目標を自国のNDCに定める必要があります」アントニオ・グテーレス国連事務総長はこのように述べています。

「今がその時です。2050年までに排出量正味ゼロを目指すグローバルな連帯は、各国政府、企業、投資家、都市、地域、そして市民社会へと広がっています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)からの復興計画は、よりグリーンでクリーンな復興を行うチャンスなのです。意思決定者には言行一致が求められます。長期的なコミットメントには、人々や地球が切実に必要としている“転換の10年”に乗り出す即時の行動が結び付けていかなければなりません」事務総長はこのように続けています。

本報告書は、11月にグラスゴーで開催されるCOP26に先立ち、NDCとして知られる国別気候計画の進捗を評価するために、パリ協定の締約国から要請されたものです。2020年12月31日時点までに提出された情報を統合した報告書は、地球全体の温室効果ガス排出量の約30%を占める75の締約国が新たな、あるいは更新したNDCを提出したとしています。

「本報告書は、私たちがパリ協定の目標達成の軌道にのるには、気候変動に対する野心が現在の水準ではまるで足りていないことを示しています」と語るのは、UNFCCCのパトリシア・エスピノーサ事務局長です。「近年、より強力な気候変動対策へと向かう政治的な機運が世界中で勢いづいていることは認めているものの、気候変動対策を加速させ、あらゆる方面へ拡大させるための決定がただちに下されなければなりません。COP26を、人類がグリーンでクリーンな、そして健康的で豊かな世界に向かうための契機としなければならない理由はここにあります」

報告書によれば、NDCを提出した国の多くは、排出量削減に対する野心の水準を個々に引き上げてはいるものの、それらを合計したインパクトで見ると、2030年までに2010年比で1%未満の削減しかできないと指摘しています。これに対し、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、1.5℃目標を達成するための排出削減レベルには約45%の削減が必要だとしています。

エスピノーサ事務局長は、COVID-19によって2020年中の提出が困難になった国が多かったため、統合報告書はNDCの「一側面であり全体像ではない」ことを明言しています。事務局長は、二次報告書はCOP26に先立って発表する予定とし、すべての国々、とりわけ未提出の主要排出国に対し、最新版の報告書に情報を含められるよう、早期の提出を呼びかけていると述べました。

「私たちは、2020年にCOVID-19がもたらした困難に直面しながらも、パリ協定における約束を守り、期日までにNDCを提出した締約国に敬意を表します」と事務局長は述べています。「一方で、残るすべての締約国が努力を重ね、パリ協定での自らの約束を果たすべく、できるだけ早期にNDCを提出する時にあります。この務めが以前は“急務”だったとすれば、今では“喫緊の課題”なのです」

エスピノーサ事務局長は、2021年が気候変動への取り組みを前進させる上で前例のない機会であるとし、COVID-19から立ち直り、より持続可能で気候に順応できる経済に向かうようすべての国々に促しています。「これは取りこぼしてはいけない稀有な瞬間なのです」と事務局長は言います。「復興にあたり、オールドノーマル(旧態)に戻るわけにはいきません。NDCはこの現実を反映する必要があり、主要排出国、特にG20の国々は先頭に立たなければなりません」

来たるCOP26のアロク・シャーマ議長は「報告書は緊急の“行動喚起”となるべきであり、私はすべての国々、特に主要排出国に対し、2030年までの野心的な排出削減目標の提出を求めます」と語りました。
また、「私たちの惑星を守るための行動をとれる機会が急速に小さくなりつつあることを認識しなければならない」としました。

COP25のカロリーナ・シュミット議長は、このNDC統合報告書について、「とりわけ主要排出国が相当な努力をする必要があることを明示しています。排出量の多い上位18カ国のうち、イギリスとEUのみが、温室効果ガス排出削減目標を大幅に上方修正した最新のNDCを2020年に発表しています。他の主要排出国のNDCは、野心の水準をわずかに高めただけか、未提出となっています。統合報告書は2020年に提出されたNDCが、適応に関する情報がより多く盛り込まれた点や、持続可能な開発目標(SDGs)との関連付けが増加した点など、当初に比べより明確かつ包括的になったことを示してはいるものの、今回の一次報告に示された主要排出国の全体的な野心の水準は、極めて低く留まっています」と指摘しています。

エスピノーサ事務局長は、新たな、あるいは更新したNDCを提出済みの国も含め、すべての国々に対し、より強固なNDCを作成するためにさらなる分野を調査するよう求めています。さらに、野心の向上においては、パリ協定の主要な要素である、開発途上国の気候変動対策に対する支援の大幅な拡大も伴わなければならないことを付け加えました。

NDC統合報告書はこちらからダウンロードできます。

 

国連気候変動枠組条約(UNFCCC)について

197の締約国を擁する国連気候変動枠組条約(UNFCCC)は、ほぼ全世界的なメンバーシップを持ち、2015年の気候変動に関するパリ協定の母体になっている条約です。パリ協定の主な目的は、今世紀の地球全体の気温上昇を産業革命以前の水準と比べて2℃よりも十分に低く抑えること、そしてさらに気温上昇を1.5℃に抑える努力を推進することです。UNFCCCは、1997年の京都議定書の母体になっている条約でもあります。UNFCCCに基づく全ての協定の目的は、生態系が気候変動に自然に適応し、持続可能な開発が可能であるような時間枠内において、大気中の温室効果ガス濃度を気候システムに対する人間の危険な干渉を防げる水準に安定させることにあります。

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