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UN75 最終結果の発表:気候や健康、雇用への不安の中、国連の全世界的な対話により、 将来に対する楽観と変革をもたらすグローバルな行動への意欲が明らかに(プレスリリース・日本語訳)

プレスリリース 21-014-J 2021年01月08日

 

 

国連は2021年1月8日、創設75周年を記念して1年にわたって実施した対話の最終報告書を発表しました。

過去12カ月の調査と対話を通じ、国連は全世界の人々に、将来に向けた希望と不安や、国際協力、特に国連に関する期待とアイデアについて意見を聞きました。193カ国から150万人を超える参加がありました。UN75は、全世界の一般市民から話を聞くために国連がこれまでに展開した取り組みの中で、最も野心的なものであると同時に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)からの復興にあたっての優先課題に関する最大の調査にもなりました。

「UN75の世界的対話では、回答者の97%がグローバルな課題に対処するための国際協力を支持していることが明らかになりました。これはマルチラテラリズムと、国連のミッションに対する非常に強いコミットメントを示すものです。加盟国と国連事務局には、私たちが奉仕する人々の期待に応える責任があります」
―アントニオ・グテーレス国連事務総長

最終報告書の主な調査結果は、次のとおりです。

  • COVID-19が人間開発の成果を後退させ、不平等を広げる中で、回答者は医療、教育、水と衛生などの基本的サービスへのアクセス改善を短期的な最優先課題としています。特に低・中所得国では、最も大きな影響を受けた人々やコミュニティーに対する支援を優先課題とする回答者が多くありました。人間開発の水準が非常に高い国々で、この課題に同じような優先度を認める回答者はさほど多くありませんでした。長期的には、気候と環境の問題が最大の脅威と捉えられています。ラテンアメリカ・カリブ地域では、これを選択する回答者の割合が73%で最大となっています。その割合が最も小さかったのは、サハラ以南アフリカ(37%)です。
  • その他の優先課題については、所得水準によって違いがありますが、その中には雇用機会や人権、紛争に対する懸念の高まりが含まれています。例えば北アフリカと西アジアでは、人権の尊重改善が最優先課題とされています。全世界的に見ても、これは3大優先課題の1つに数えられています。
  • こうした懸念にもかかわらず、全世界の回答者の49%は、2045年の人々の暮らし向きは今よりも改善すると見ており、暮らし向きが悪くなると予測する人々の32%を上回っています。人間開発の水準が比較的低い国や、紛争状態の中で暮らす回答者は、人間開発の水準が比較的高い国や、紛争下にはない国で暮らす人々よりも、将来をはるかに楽観視しています。
  • 回答者の97%は、グローバルな課題に取り組むために国際協力が重要だと考えています。国際協力の重要度に対する見方には、地域によって開きがあり、北米はこれを肯定的に捉える回答者の割合が最も大きくなっています。
  • 短期的、中長期的な世界的課題に取り組む国際協力の主導を国連に期待する回答者が多くなっています。こうした回答者は、包摂性やエンゲージメント、説明責任、実効性を高めるためのイノベーションを国連に求めています。

UN75のチームが作成した最終報告書は、www.un75.onlineで見ることができます。このイニシアチブの実施中に収集されたプレスキットやデータも、同じリンクから閲覧、分析、ダウンロードできます。

さらに詳しい情報や取材の申込みについては、ニューヨークのJahan Rifai (jahan.rifai@un.org)とジュネーブのAlessandra Vellucci (alessandra.vellucci@un.org) までお問い合わせください。

 

背景

  • 国連事務総長が2020年1月に立ち上げたUN75イニシアチブは、単なる記念行事ではなく、現時点で世界が抱える課題や、私たちが望む未来と、現在のトレンドが続いた場合に私たちが向かっていくことになる未来との間のギャップに関する世界最大の対話の場として発足しました。
  • 事務総長はUN75を、国連が奉仕対象である人々の声に耳を傾け、グローバルな協力の強化に向けたその優先課題と提案を把握するための機会と考えました。UN75は、世界各地の人々に自分たちが望む未来について想像し、すべての人にとってより良く、より持続可能な世界を構築することで、それを実現する方法に関するアイデアを提案するよう促すことにより、人々の希望と不安をよりよく理解するために立ち上げられました。
  • 全世界で実施された公式、非公式の調査や対話を通じ、UN75はグローバルな懸案事項の現状を把握し、どのような世界的協力が必要とされているのかについて、全世界から見解を募ることを目指しました。また、私たちのグローバルな課題への取り組みを支援するために、国連がどのような役割を果たしうるかを考え直すという意図もありました。
  • COVID-19の世界的大流行(パンデミック)によって、世界の多くの場所で対面による集会が難しくなったことを受け、UN75では、1分間のアンケートや、ソーシャルメディアを通じたアウトリーチの拡充により、可能な限り対話をオンライン環境へと移行させるなど、オンラインで人々とつながるための取り組みを強化しました。同時に、各地の国連事務所やその他のパートナーとも密接に連携し、インターネットへのアクセスがない人々との接触をさらに重視するとともに、そのための資源も追加しました。
  • UN75は多くの人々にとって、不確実性が増す中で不安感を高める人々を巻き込む手段として、さらに大きな重要性を持つようになりました。また、パンデミックからの「より良い復興」に関する質問を追加することにより、COVID-19以後の優先課題に関するものとしては、これまでで最大かつ最も多様性の高い世界調査の実施も可能になりました。
  • UN75の対話には、195の加盟国とオブザーバ国すべてから、150万人を超える参加がありました。1分間のアンケートには、130万人以上から回答があったほか、100カ国以上から数十万人がUN75の対話に参加し、エデルマン・インテリジェンスとピュー研究所による世論調査にも、50カ国の5万人が回答しました。また、数十万人の若者がUN75ゲームに参加したほか、数百人の研究者が研究のマッピング・プロセスに関わりました。私たちの協業者の広範なネットワークとそのメンバーを通じ、6万を超える組織と9億を超える人々がUN75のニュースやイベント、最新情報を目にしたものと見られます(さらに詳しい情報は、un75.onlineをご覧ください)。
  • 国連加盟国は9月21日、国連創設75周年記念に関する宣言を採択し、グローバル対話の結果に対応することを約束したほか、グローバルな課題に取り組むための12のコミットメントを定めました。
  • これらのコミットメントと、UN75のイニシアチブを通じて受け取ったフィードバックを指針として、事務総長はマルチラテラリズムの将来について考えるプロセスを立ち上げました。そのねらいは、共有の問題に取り組み、不可欠なグローバル公共財を届け、将来の脅威と機会に備えるための変革につながる地球規模の行動に関する提言を策定することにあります。これに関する報告書は2021年9月、第75回国連総会の会期末に発表される予定です。

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