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UN75:私たちが望む未来、私たちが必要とする国連(プレスリリース・日本語訳)

プレスリリース 20-069-J 2020年09月29日

 

COVID-19パンデミックの中で実施された国連のグローバルな対話、
不平等や気候変動への対策と、連帯の強化を望む強い声を明らかに

プレスリリース(2020年9月21日)-国連は2020年1月、創設75周年を記念するグローバルな対話を開始しました。アンケート調査や対話を通じ、未来に向けた希望と不安を人々に問うこの対話は、国際協力、特に国連に対する期待を理解する取り組みの中で、これまでで最も野心的なものとなりました。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)からの復興にあたっての優先課題を問うものとしても、最大規模の調査となっています。

2020年9月21日時点で、あらゆる国、あらゆる職業に就く100万を超える人々から回答がありました。これらの回答は、世界にとって課題が山積するこの時代に、市民が何を望んでいるかについて、独自の知見を与えてくれています。その結果はきょう「私たちが望む未来、私たちが必要とする国連」をテーマに開催された国連総会の正式な75周年記念式典で発表されました。主な調査結果は次のとおりです。

 

対策が求められる優先課題

• 地域や年齢、社会集団の別に関係なく、回答者は将来に向けた優先課題について、幅広い一致を見せています。

• COVID-19危機が続く中で、ほとんどの回答者は医療や安全な水、衛生、教育など、基本的サービスへのアクセス改善を至急の対応が必要な優先課題としており、国際的な連帯の強化と最も大きな被害を受けた人々への支援強化がこれに続いています。その中には、不平等への対処や、より包摂的な経済の再建が含まれています。

• 将来については、気候危機と自然環境の破壊が圧倒的な懸念事項となっています。その他の優先課題としては、より一層の人権尊重を確保すること、紛争を解決すること、貧困に取り組むこと、腐敗を減らすことが挙げられます。

 

国連に対するイメージ

• 回答者の87%超が、今日の課題に取り組むためにはグローバルな協力が不可欠であり、COVID-19パンデミックによって国際協力はさらに急務となっていると考えています。

• 回答者の10人に6人が、創設75周年を迎えた国連が世界をより良い場所にしていると考えています。将来についても、回答者の74%が、課題への取り組みには国連が「不可欠」と考えています。

• しかし、回答者は国連に変化とイノベーションを望んでいます。21世紀のアクターの多様性に合わせて、国連が包摂性を高めるとともに、透明性や説明責任、実効性において向上することを望んでいます。

「記念の年にあたり、私たちはグローバルな対話に臨みました。そして、その結果は著しいものでした。人々は大きな絵を描いているだけでなく、国際協力とグローバルな連帯を切に望んでいることを明らかにしたからです。今こそ、こうした期待に応え、望みを実現すべきです。今年の創設75周年にあたり、私たちは1945年を追体験しているのです。当時の理想に立ち返らなければなりません。私たちはこれまで以上に結束を示すことで、今の緊急事態を克服し、世界を動かし、機能させ、豊かにするとともに、国連憲章のビジョンを守っていかねばならないのです」 – アントニオ・グテーレス国連事務総長

報告書の全文とプレスキットは、https://www.un.org/un75/presskit で入手できます。
対話には www.un75.onlineから参加できます。

 

背景

• 国連事務総長は2020年1月、UN75イニシアチブを立ち上げました。その目的は75周年を祝うことではなく、今の時代のグローバルな課題、そして、私たちが望む未来と、現状のトレンドが続いた場合に招く未来とのギャップについて、世界で最大規模の対話を行うことにありました。

• 事務総長はUN75を、国連が奉仕する人々の声を聴き、グローバルな協力に向けた優先課題と提案を把握する機会として考えていました。UN75は、自分たちが望む未来の姿を想像し、それを実現するためのアイデアを出し、すべての人にとってより良い、より持続可能な世界を築くにはどうしたらよいかについて考えるよう世界の人々に呼びかけることで、人々の未来に対する希望や不安を把握する取り組みとして発足しました。

• UN75の意図は、全世界で調査と議論を行うことにより、グローバルな懸案事項の概要を把握するとともに、地球規模の協力としてどのようなものが求められているかについて、全世界から見解を募ることにありました。そこには、私たちのグローバルな課題に取り組むために、国連がどのような役割を果たしうるのかについて、根本から考え直すという意図もありました。

• COVID-19パンデミックによって、世界各地で人と人が直接会うことが難しくなると、UN75イニシアチブはオンラインで人々に呼びかける取り組みを強化し、1分間のアンケートを拡充するとともに、ソーシャルメディアでのアウトリーチも広げ、可能な限り対話をオンラインへとシフトさせました。同時に、インターネットにアクセスできない人々への働きかけにも一層の労力と資源を投入し、現地の国連事務所やその他のパートナーとの連携や、電話やSMS(ショートメッセージサービス)でのコミュニケーションにも努めました。

• また、COVID-19パンデミックからのより良い復興に関する質問を加えることにより、パンデミック後の優先課題に関し、これまでで最大かつ最も多様なグローバル調査の実施も可能になりました。

• これまでに、国連の加盟国とオブザーバー国のすべてで、100万を超える人々が1分間のアンケートに回答し、世界82カ国で1,000回を超える対話も行われています。また、50カ国で5万人が、エデルマンとピュー・リサーチ・センターによる独自の世論調査に参加したほか、70カ国で人工知能(AI)によるソーシャルメディアと従来のメディアの分析、全地域で学術研究と政策研究のマッピングが行われています。

• こうした取り組みは全体的に、国連が地球規模の現状把握を行い、「われら人民」にその優先課題と、グローバルな課題の解決案について聞くための最も野心的な試みとして、私たちが望む未来と、私たちが必要とする国連について独自の知見を提供するものとなりました。

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原文(English)はこちらをご覧ください。

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