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国連会議、核兵器禁止条約を採択

2017年07月07日

後に広島平和記念碑(通称「原爆ドーム」)として保存されることになった広島県産業奨励館の残骸©UN Photo

201777ニューヨーク国連本部での会議に参集していた各国はきょう「核兵器禁止条約」を採択しました。法的拘束力を持つ核軍縮関連の条約としては、実に20年ぶりの交渉成立となります。

アントニオ・グテーレス事務総長報道官は条約採択を受け、「条約は、核兵器のない世界という共通の夢の実現に大きく貢献する重要な一歩です」と語りました

また、報道官は「事務総長は、この新たな条約が、核軍縮という長年の目標達成を目指す包摂的な対話と国際協力の再活性化を促進することを期待しています」と付け加えました。

賛成122票、反対1票(オランダ)、棄権1票(シンガポール)で採択されたこの条約は、核兵器やその他の核爆発装置の開発、実験、生産、製造、取得、保有または備蓄のほか、これらの兵器を使用したり、使用の脅しをかけたりすることを含め、ありとあらゆる核兵器関連の活動を禁じています。

「現在と将来の世代の希望と夢に応えることができ、感無量です」国連総会からのマンデートを受けた条約交渉会議で議長を務めたコスタリカのエレイン・ホワイト・ゴメス大使は、このように語っています。

“現在と将来の世代の希望と夢に応えることができ、感無量です”
条約交渉会議議長

ホワイト・ゴメス議長は国連本部で開かれた記者会見で、条約の成立により、世界は核兵器の全面廃絶に「一歩近づいた」と述べました。

条約の署名式は2017年9月20日、ニューヨークの国連本部で行われ、50カ国以上による批准の90日後に発効する予定です。

しかし、米国やロシアをはじめとする核保有国と、その同盟国を含め、多くの国は交渉に参加しませんでした。朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)も話し合いに加わっていません。

米国、英国、フランスの代表団は共同声明を出し、3カ国が「条約の交渉に参加しておらず…これを署名することも、批准することも、これに加入することも意図していない」と述べました。

3カ国は「この取り組みが国際安全保障の現実を無視していることは明らかだ」としたうえで、「核兵器禁止条約への加入は、70年以上にわたってヨーロッパと北アジアの平和の維持に不可欠となっている核抑止という政策と相入れない」と述べています。

共同声明で提起された問題点に関し、ホワイト・ゴメス議長は、核兵器不拡散条約(NPT)が数十年前に採択された際にも、多くの国の加入が得られなかったことを指摘しました。

1968年に署名が開始されたNPTは、1970年に発効しました。そして1995年には、その有効期間が無期限に延長されています。これまでに191カ国がNPTに加入していますが、その中には国連安全保障理事会で常任理事国を務める中国、フランス、ロシア、英国、米国という5つの核保有国も含まれています。

ホワイト・ゴメス議長は、これらの国のNPT加入は当初、考えられなかったことを指摘し、「世界が変われば、状況も変わるのです」と述べました。

議長はさらに、核兵器の被害を経験した被爆者が、核兵器禁止条約成立の原動力となったと語りました。そして、被爆者が共有している経験は「人間の魂に触れる」ものだとしたうえで、今回の交渉が「理性と感情の協働」によって進められたと付け加えました。

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原文(English)はこちらをご覧ください。