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世界のリーダー、国連サミットで 難民と移民の保護強化に向けた“大胆”な計画を採択

プレスリリース 16-086-J 2016年09月22日

トルコからエーゲ海を渡り、レスボス島に漂着したボートから幼い子どもを抱え上げるギリシャのボランティア救助員Photo: UNHCR/Achilleas Zavallis

トルコからエーゲ海を渡り、レスボス島に漂着したボートから幼い子どもを抱え上げるギリシャのボランティア救助員Photo: UNHCR/Achilleas Zavallis

第2次世界大戦以来、故郷を離れることを強いられる人々が最多の数に達する中で、国連本部に集った世界のリーダーは2016年9月19日、「ニューヨーク宣言」を採択し、難民と移民の権利を守り、人命を救うとともに、世界規模で生じている大規模な人の移動に対する責任を共有するという政治的意志を表明しました。

国連総会初の難民と移民に関するサミットの開会にあたって各国代表団が採択した画期的な宣言には、現状の課題に取り組み、かつ、将来的な課題に向けて世界の態勢を整えるという大胆な公約が盛り込まれています。後者には、2018年の国際会議の開催と、安全で秩序ある正規移住のためのグローバル・コンパクト採択に至る交渉の開始をはじめ、以下の対策を講じることが含まれます。

  • その地位に関係なく、すべての難民と移民の人権を守る。その中には、女性と女児の権利や、解決策の模索に対するその全面的、平等かつ有意義な参加を促進することが含まれる。
  • 難民と移民の子どもたちが全員、到着から2~3カ月以内に教育を受けられるようにする。
  • 性的暴力とジェンダーに基づく暴力を予防するとともに、これに対処する。
  • 大量の難民と移民を救出し、受け入れている国々を支援する。
  • 移住の地位を判定する目的で、子どもの身柄を拘束するという慣行に終止符を打つよう努める。
  • 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が再定住の必要性を認めた難民すべてにつき、新たな住居を確保するとともに、国境を越える労働移動や教育制度などを通じ、難民がさらに他国へ移住できる機会を拡大する。
  • 国際移住機関(IOM)を国連システムに組み込むことにより、移住のグローバル・ガバナンスを強化する。
一致団結した行動の重要性を強調する国連のリーダーたち

一致団結した行動の重要性を強調する国連のリーダーたち

潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は加盟国を祝福し、「きょうのサミットは、人の移動という課題に私たちが集団的に取り組むための突破口となります」と述べました。また、事務総長は「ニューヨーク宣言」の採択によって「学校に通える子どもが増え、犯罪的な密入国斡旋業者の餌食になることなく、海外で安心して求職できる労働者が増え、また、母国での紛争に終止符が打たれ、平和が持続し、機会が拡大した後も、移住するかどうかの選択を実質的に下せる人々が増える」ことになると語っています。

ピーター・トムソン第71回国連総会議長は、「移住に関するグローバル・コンパクトに至るプロセスに着手し、難民に関するグローバル・コンパクトも支持する」という加盟国の公約をさらに進めることを誓いました。「私は加盟国に対し、このプロセス全体を通じて、大きな野心を持ち続けること、そして常にさらなる高みを目指すことを強く訴えていきます。数百万の難民と移民の運命は、私たちにかかっているのです」
モーエンス・リュッケトフト第70回国連総会議長は、このグローバルな課題への対応において、すべての国がその役割を果たさねばならないことを強調し、次のように述べました。「家を追われた人々の絶望と苦難は、私たちの集団的な良心を揺さぶり、明らかにグローバルな課題となっている問題に関し、思いやりのあるグローバルな対応を結集するための行動を私たちに迫っています」

リュッケトフト議長は、すべてのパートナーにニューヨーク宣言の公約実現を支援するように呼び掛けるとともに、排外主義や不寛容に対処するための事務総長のキャンペーンを歓迎し、「世界が目まぐるしく変化する中で、私たちは不安に負けず、自分たちの原則と、共有する人道精神の維持に努めていかねばならないのです」と述べました。

難民と移民の大規模な移動に関する国連ハイレベル・サミット開会式で挨拶するピーター・トムソン第71回国連総会議長©UN Photo/Cia Pak

難民と移民の大規模な移動に関する国連ハイレベル・サミット開会式で挨拶するピーター・トムソン第71回国連総会議長©UN Photo/Cia Pak

ヤン・エリアソン国連副事務総長は、国際移住担当事務総長特別代表の声明を代読し、難民を保護する能力は、国際機関の実効性を測る「バロメーター」であると述べました。

副事務総長は、危機に最も近い場所にいる人々にしばしば責任が転嫁されてきたことを遺憾としつつ、「きょうをその転換点にしよう」と力強く訴えました。そして、特別代表室が近日、難民その他の移民に対する適切かつ公平な支援を調整する国連の能力を強化するための計画を提出する予定であると述べ、移住と難民に関するグローバル・コンパクトのできるだけ早い策定と採択を求めました。

事務総長は宣言の求めに応じ、「排外主義の台頭に対処し、不安を希望に変える」ための新たなキャンペーン「Together – Respect, Safety and Dignity for All(力を合わせよう。すべての人の尊重、安全、尊厳のために)」も発足させました。そして「世界のリーダーに対し、このキャンペーンに参加するとともに、さまざまな事情により、故郷を離れてよりよい暮らしを求めることを強いられたあらゆる人の権利と尊厳の堅持をともに約束する」よう、強く訴えました。

また、事務総長とウィリアム・レイシー・スウィング国際移住機関(IOM)事務局長は、IOMが正式に国連システムの関連機関となることで、移住に対する包括的なグローバル・アプローチを強化するための新たな協定にも署名しました。

スウィング事務局長は開会式での挨拶で、グローバルな趨勢、信頼、そしてタイミングが今回の画期的合意に至る3大要素だったと述べました。人口変化や災害、デジタル革命、テクノロジー、南北格差、環境破壊といった数多くの要因により増大する移住はまさに、あらゆる政府にとって優先課題といえるのです。

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【関連資料】

難民と移民に関する国連サミット – 9月19日開催へ

国際移住機関(IOM)が9月19日、国連システムに加わりました