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プレスリリース 第3回国連防災世界会議が開幕しました-防災はすべての人の利益に-(2015年3月14日、仙台)

2015年03月15日

本メディア用参考資料は国連広報局が3月14日に発行した英文の抄訳です。

3回国連防災世界会議の開会にあたって、国連事務総長は防災は『すべての人々の利益に資する』と述べる
日本首相は「被災前よりも良い社会を目指す復興(ビルド・バック・ベター)」によって人命を救うことを強調

潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は日本で開催されている第3回国連防災世界会議の開会にあたって「持続可能性は仙台で始まる」と宣言した。さらに防災についての過去最大のハイレベル会議に対して「これは新しい未来への探求に向けた第1段階である」と述べた。

気候変動の影響に対する最前線の防御である防災は「すべての人々の利益に資するものであり、だれもが関係するものだ」と潘事務総長は述べ、防災はビジネスにとっては賢明な投資であり、救命のための賢い投資であると強調した。

その点につき、潘事務総長は世界の年間の損害額は3,000億ドルを上回り、この数字が増えれば増えるほど、苦しみが増すとし、貯蓄を開発に振り向ければ、その値を劇的に下げることが可能で、実際、60億ドルを毎年開発振り向ければ、2030年までには損害額を3,600億ドルまで減らせるだろうと述べた。

また、潘事務総長は個人に権限を与え、コミュニティを支援し、約束を実行するためのリソースの提供も極めて重要であると述べ、災害による死亡者の9割が中低所得国の国民であるがゆえに、最も貧困で、最も脆弱なものに手を差し伸べることを強く促した。

さらに、東日本大震災の4周年と現在バヌアツに熱帯サイクロンが直撃していることに言及しつつ、世界の数百万人の人々にとってここでの議論が「非常に現実的」なものであると彼は述べた。よって、成果に向けての交渉の間、彼らのニーズにしっかり焦点を合わせ続けることが肝要であると述べた。

潘事務総長は意欲的な会議の成果を得ることを強く促し、その成果が、普遍的な気候変動合意及び計画を結果に変えるための資金援助を核とする新たな世界目標を持つ、新たな持続可能な開発という行動方針の道を世界に歩ませるだろうと提唱した。

発言を締めくくるにあたり、潘事務総長は強靭さとは単に地震に耐えうる強い建物ということではなく、各国とコミュニティの間の強い絆の結果であると述べ、国連が統一された行動計画でこうした絆を強化することを誓った。

開催国日本の安倍晋三首相は、2万人の死亡者を出し、多くの人々の生活を奪った東日本大震災の重大さを思い起こしつつ、日本が災害を受けやすいがゆえに、長年にわたって防災に懸命に取り組んできたと述べ、実際、東京(江戸)が400年前に創られたとき、60年もの長い努力によって町を守るために川を移動したことに言及した。

安倍首相は、「ビルド・バック・ベター」すなわち、常に治水計画を見直し、ダムを強化し、水路を切り開き、防災教育を実施することの重要性を強調した。実際、60年前は大規模な洪水で頻繁に数千人の命が奪われたが、現在では洪水によって100人を超える死者を出すのはまれであり、2011年の震災の時でも、学生は昔からの言い伝えで高い場所に避難すべきであることを知っていた、と防災努力が報われつつあることを述べ、今重要なのは、近年の災害から学ぶことだと言及した。

第3回国連防災世界会議では、世界各地の現在と過去の経験が共有され、兵庫行動枠組に基づく活動が再検討され、新たなテクノロジーの活用が議論され、様々な利害関係者との効果的な連携が強化され、兵庫の時代から仙台の時代へと新たな行動枠組が確立されるだろうと安倍首相は述べた。

奥山恵美子仙台市長は、一瞬にして1千人近くが死亡し、2万人超の死者・行方不明者を出したと東日本大震災の影響を強調した。その災害から完全復興を成し遂げようという決意が生まれたとし、困難な道のりではあるが、頂いた支援を忘れることは決してないと被災地域を代表して、心から感謝を述べた。

奥山市長は、市民とコミュニティの力を活用した仙台市の防災の取り組みは、世界のすべての国・地域にとって啓発される例であろうと述べ、実際、東北地方の被災地域は、仙台市が学んだ教訓を取り入れており、これらの経験がこの会議で策定される新国際防災戦略に反映され、この会議が「実り豊かな成果」を生むことへの期待を表した。

山谷えり子当会議議長は、兵庫行動枠組の採択から10年で、地方、国、地域、世界の各レベルで防災上の進歩が遂げられてきたと述べた。しかしながら、4年前に東日本大震災を被災したここ東北地方含め、災害は引き続き莫大な喪失及び損害を引き起こし続けていると述べた。

山谷議長はこれからの5日間で、ここに集まった各国首脳、閣僚、様々なセクターの幹部がそのような課題によりよく対処するための枠組を策定することになると述べ、すべての参加者にこの会議を防災の転換点にすることに資するよう要請した。

今年開催される国連気候変動パリ会議(COP21)議長のローラン・ファビウス氏は、この仙台の会議と12月にパリで行われる気候変動会議はまったく別個のものと思われがちな2つの問題、すなわち災害リスクの削減と気候変動に対する闘いに取り組むと述べた。

「実際は、これらのテーマは完全に結び付いている」と同氏は述べた。今日、自然災害の70%超は気候変動と関連していると推定されており、それは20年前の2倍に上る。70カ国が台風、洪水、砂嵐、又は吹雪といった異常気象にとりわけ脆弱であると特定されてきた。また、干ばつ及び海面上昇などのゆっくりとしたペースで発生する現象も同様に壊滅的な影響を及ぼしうるだろう。日本が十分承知しているとおり、豊かな国々でも守られていはない。しかしながら、適応するための資源がより少なく、非常に脆弱なのはより貧しい国々だと同氏は話した。

ファビウス氏はさらに、各問題はそれぞれ独自の制度を必要とするので、各課題の交渉は混ぜ合わせるべきではないことは明らではあるが、これらの問題が結びついている以上、災害に対する闘いと気候変動に対する闘いは、その解決策が大部分同じなので、共に行われなければならないと述べた。例えば、大自然災害のための警報システムを整備する場合、そのシステムは気候変動への適応にも貢献し、建物の設計又は海岸地帯の管理において気候変動が考慮されれば、そうした考慮は気候変動にも関係するのである。

ファビウス氏はそのような点を考慮して、パリにおいて地球温暖化を2度、もし可能なら1.5度に抑えるという意欲的な合意に達するよう要請し、小さな島国にとってだけでなく、多くの他の地域にとっても「生き残りは危機的状況にある」と強調した。

非政府組織(NGO)の9つの主要グループの代表である、レジーナ・プリチェット氏は、恐らく多くのことが起きているであろうからいかなる種類のコミュニティ形成が各国で行われているか確認することが重要であると述べた。同氏は自身の経験によると、女性、若者、障害者といった最も脆弱な人々によってなされた仕事に感銘を受けることが多いとし、津波の後、仮設住宅で暮らす老人女性たちによって結成され、50年の回復期間後にそのような出来事を生き延びることができる花にちなんで命名された宮城県の「カメリア開発グループ」について一例として話した。同氏はそのような女性たちと地方自治体と彼女らの協力関係に賛辞を贈った。

「我々は、世界をより安全でより強靭なものにしようと努力している人々のグループ全体の一部としてここにいる」と同氏は強調し、さらに「つながりが見えなければ、捜し求めるべきだ」と述べた。ポスト2015防災枠組がそのプロセスにおいてすべての利害関係者のつながりを促進し、防災を包括的に見るものとなり、それにより「人々が皆自分たちだけの世界にいてその中でこの仕事を一人でできると思う錯覚に陥ることがならなくなる」という希望を同氏は表明した。

午前中の会議では、その他に、議長などの事務局のメンバーを選出し、議題、その他の組織上の事項、及び手続のルールを採択し、資格審査委員会のメンバーを任命した。

開会式の後、代表団が一般的な意見交換を始めた。それには、日本の安倍首相、グルバングル・ベルディムハメドフ・トルクメニスタン大統領、ムスワティ3世スワジランド国王、エマニュエル・モリ・ミクロネシア連邦大統領、ウフル・ケニヤッタ・ケニヤ大統領、ボールドウィン・ロンズデール・バヌアツ大統領、アルハジ・ヤヤ・A.J.J.・ジャメ・ガンビア大統領、ロバート・G・ムガベ・ジンバブエ大統領、ポール・ビヤ・カメルーン大統領、フォール・エソジムナ・ニャシンベ・トーゴ大統領の各演説を含む。

本日はその後、政府間組織などの組織の意見表明、及び「防災における女性リーダーシップ」と題された、ハイレベル多利害関係者間パートナーシップ対話も予定されている。

原文はこちらをクリック→http://www.un.org/press/en/2015/iha1354.doc.htm

会議で演説する潘基文事務総長   UN Photo/Eskinder Debebe