再生可能エネルギーの台頭(2):変動の激しい化石燃料市場に対する安定を(UN News 記事・日本語訳)
2026年06月17日

© ADB/Viet Tuan
執筆者・ダニエル・ディキンソン
2026年4月26日 – 中東の情勢不安と紛争を受けて、全世界でエネルギー市場が激しい変動を続け、石油価格が高騰する中で、化石燃料への依存から生じるショックから自国経済を守り、輸入コストを抑え、重要な気候変動対策目標を達成するために、再生可能エネルギーへの投資に目を向ける国が増えています。
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石油やガスが各国を価格の乱高下や地政学的リスクにさらすのとは対照的に、再生可能エネルギーは安定した国内で生産できる電力を提供し、エネルギー安全保障を強化し、有害な温室効果ガスの排出量を削減し、長期的な成長を支えることができます。
再生可能エネルギーがエネルギー安全保障の未来の姿をどう変えてゆくかを占う連載記事の第2弾として、UN Newsはさらに環境に優しいエネルギー源の割合を引き上げようと努める4カ国の事例をご紹介します。
なぜ重要か:
アントニオ・グテーレス国連事務総長は3月、次のように発言しています。「エネルギー安全保障、経済安全保障、そして国家安全保障を最速で達成するための道のりは、はっきりしています。それは化石燃料から再生可能エネルギーへの公正な移行をスピードアップすることです」
ドイツ:エネルギー移行が加速
全体像:ドイツは世界的な経済大国ですが、その環境当局によると、ヨーロッパに位置する同国が化石燃料からの長期的な移行を図る中で「再生可能エネルギーは着実な成長を遂げて」います。
再生可能エネルギーは燃料輸入への依存度を低下し、消費者を世界的な価格変動から守るとともに、気候変動対策としても機能しています。

エネルギー構成:
再生可能エネルギーは電力消費量の55%をカバー
- 主力は風力発電、次いで太陽光発電
- バイオマス(有機物質から生じるエネルギー)と水力も電源に
- 化石燃料は工業・輸送部門で引き続き使用
重要課題:
風力発電は圧倒的に重要なエネルギー源となっていますが、これによって、発電量が安定しない場合も出てきます。よって、工業部門の需要を確実に満たしつつ、グリッド(送配電系統)の安定を保つことが大きな課題となっています。同時に、再生可能エネルギーへの移行期には、これを化石燃料で引き続きバックアップする必要があります。
全面的な移行に向けた進捗状況:
- 洋上風力発電と太陽光発電が拡大
- グリッドの現代化・拡大と蓄電施設への投資が移行プロセスに「不可欠」との判断
インド:開発に向けた再生可能エネルギーの普及へ
全体像:世界で最も人口が多い国であるインドは、経済成長のさなかにあります。必要な電力は依然として石炭で賄っているものの、太陽光発電や風力発電も急速に拡大中です。
再生可能エネルギーは、多額に上る燃料輸入を削減し、活力ある経済でエネルギー供給を安定化させることに役立ちます。

© World Bank
エネルギー構成:
- 再生可能エネルギーが設備容量(潜在的な最大発電量を測る尺度)に占める割合は30%程度
- 太陽光発電が急拡大中
- 依然として石炭が主力
重要課題:
とりわけ再生可能エネルギーの再生可能エネルギーの費用対効果に関する懸念と、広大な国土全体への安定的電力供給を確保する必要性があることから、経済の拡大に伴い急増するエネルギー需要を充足しつつ、いかに石炭への依存度を低下させるかが引き続き大きな課題となっています。
全面的な移行に向けた進捗状況:
- メガソーラーと屋上ソーラーパネルの設置が拡大
- 風力・ハイブリッド発電システム
- グリーン水素への取り組み
農村部では、太陽光発電による生計向上プログラムが所得とエネルギーへのアクセスを改善しています。詳しくはこちらをご覧ください。
ボリビア:ガスから再生エネルギーへの転換
全体像:ボリビアは、天然ガスへの依存度が高いエネルギー・システムの多様化を図っているところです。南米に位置する同国では、長期的なエネルギーの安定と経済のレジリエンス(強靭性)を実現するうえで、水力発電が鍵を握っています。

© Practical Action Bolivia
エネルギー構成:
- 再生可能エネルギーが発電量に占める割合は30~35%程度
- 主な再生可能エネルギー源は水力
- 太陽光・風力発電が拡大
- 依然として天然ガスが主力
重要課題:
ボリビアでは、天然ガスによる収入への依存度が引き続き高く、これを燃料として抽出、処理、供給するためのインフラが整備されています。この構造的依存度の高さと、再生可能エネルギーを大規模に活用できる十分な資金へのアクセスの問題は、化石燃料源からの迅速な移行を図るうえで大きな課題となっています。
全面的な移行に向けた進捗状況:
- 太陽光発電は農村部と高地で拡大
- 風力発電所の開発
- 政府は再生可能エネルギーの普及に向けたロードマップを策定
太陽光発電による灌漑がボリビア農村部の農業生産性向上に役立っている様子について、詳しくはこちらをご覧ください。
ナイジェリア:太陽光発電の潜在的可能性の活用へ
全体像:ナイジェリアは経済規模でも人口でも、アフリカ最大の国です。国連の統計によると、2億4,100万人を数える国民の60%以上が貧困の中で暮らしています。
ナイジェリアは開発課題に直面する一方で、再生可能エネルギー活用の大きな可能性も秘めていますが、化石燃料への依存度は依然として高い状態にあります。頻繁に生じる停電やディーゼル発電機への依存は、再生エネルギーに基づくさらに強靭なシステムの必要性を浮き彫りにしています。

IOM/Jorge Galindo
エネルギー構成:
- 再生可能エネルギーが発電量に占める割合は20-25%程度
- 最も発電量が大きい再生可能エネルギーは水力
- 太陽光発電は拡大しているものの、まだ発展途上
- 発電の主力はガス
重要課題:
西アフリカのナイジェリアでは、2030年までに発電量の50%を再生エネルギーで賄うことを目指していますが、この目標を達成するためには、より信頼性の高いグリッドをはじめとするインフラを整備し、投資を増額するとともに、産業のガス火力発電に対する依存度を低下させる必要があります。
全面的な移行に向けた進捗状況:
- オフグリッド太陽光発電とミニグリッドが拡大
- 政府は全国電化プログラムを策定
- 住宅用太陽光発電システムへの投資増大
国連の支援による太陽光ミニグリッド・プログラムがナイジェリアの農村部に電力を供給し、ビジネスを支え、生活の質を改善している様子について、詳しくはこちらをご覧ください。
まとめ:
工業先進国のドイツから、インドのような新興大国、さらにはボリビアやナイジェリアのような開発途上国に至るまで、経済状況は異なっていても、明らかなトレンドが生まれつつあります。
- 再生可能エネルギーは、エネルギー安全保障を強化している。
- 再生可能エネルギーは、変動の大きい化石燃料市場への依存度を低下させている。
- 再生可能エネルギーは、人々と経済に目に見える利益をもたらしている。
とはいえ、資金調達やインフラ整備から、信頼性と急速な拡大のバランス確保に至るまで、まだ多くの課題も残っています。
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原文(English)はこちらをご覧ください。


