再生可能エネルギーの台頭(1):エネルギー安全保障の姿を変える4カ国(UN News 記事・日本語訳)
2026年06月17日

UN Photo/Eskinder Debebe
執筆者・ダニエル・ディキンソン
2026年4月25日 – 石油とガスの採掘量が世界で最も多い中東で情勢不安が続いていることで、多くの国が主に再生可能なエネルギー源の利用を通じ、いかに安価で安定的なエネルギー供給を確保できるか、真剣に考えざるを得なくなっています。
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なぜ重要か:世界の石油とガスのおよそ2割は、ホルムズ海峡を通って供給されています。イランとオマーンの間に横たわるこの狭隘な水路は、イラン・米国間の紛争勃発以来、ほぼ封鎖され、海上交通ができなくなっています。
このように供給が混乱していることで、価格の乱高下や地政学的ショック、供給の途絶に直面する国が出てきています。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は「私たちが中東で目にしている混乱は、全世界のエネルギー・システムの大部分が化石燃料と結びついていることを明らかにしています。供給源がわずかな数の地域に集中していれば、あらゆる紛争がグローバル経済を通じ、とりわけ最も脆弱な人々に対して衝撃波を送ることにもなりかねません」と述べています。
太陽光や風力、水力などの再生可能エネルギーは、安定的かつ国内で調達可能で、ますます安価な電力を提供しています。
また、気候変動関連の理由だけでなく、安全保障と経済的なレジリエンス(強靭性)を目指すという意味でも、現代のエネルギー・システムのバックボーンとして、急速に化石燃料と肩を並べつつあります。
【再生エネルギーの利用割合が高い国】
エスワティニ 100%
パラグアイ 99.76%
ブータン 99.62%
レソト 99.43%
ノルウェー 98.81%
ネパール 98.75%
エチオピア 98.25%
世界平均 43.25%
再生可能エネルギーの利点
グテーレス事務総長は昨年7月、「再生可能エネルギーは、すでに世界の発電設備容量では化石燃料とほぼ肩を並べています」と語り、さらに次のように付け加えました。「太陽光に価格の急騰はありません…風力に禁輸措置はありません」
事務総長は、再生可能エネルギーが今や「エネルギー安全保障と主権の基盤」になっているとも述べています。
再生可能エネルギーはまた、排出量を削減し、汚染を減らし、雇用を創出し、長期的コストを引き下げますが、こうした効果が相まって、一部の先進的な国々では、すでにグローバル・シフトが目に見える形で進んでいます。
ノルウェー:石油への依存度が低下し、水力が主力に
全体像:ノルウェーは今でも石油とガスの一大輸出国ですが、国内を見ると、再生可能エネルギーが電力システムで圧倒的に大きな割合を占めており、安定的な、国内で管理できるエネルギー供給が確保されています。

© Unsplash/Oscar Daniel Rangel
エネルギー構成:
- 水力が圧倒的に主力(発電量の90-95%程度)
- 風力発電部門が成長中
- 発電目的での化石燃料使用はごくわずか
ノルウェーはまた、輸送の電化、洋上風力発電所の増設、国内各部門の化石燃料使用からの段階的脱却を含め、全面的な移行に向けて歩を進めています。
どの国が再生可能エネルギーによる発電に舵を切っているかについて、さらに詳しくは、こちらをご覧ください:国連エネルギー統計ポケットブック2026
パラグアイ:再生可能エネルギーの発電大国
全体像:パラグアイは世界的なクリーン・エネルギー先進国であり、グリッド(送電系統)で供給される電力をすべて、水力をはじめとする再生可能エネルギーで賄っています。

UN News/Daniel Dickinson
エネルギー構成:
- ほぼ100%水力発電化(イタイプなどのダムを2国間で共有)
- 発電目的での化石燃料使用はごくわずかだが、輸送部門は依然として化石燃料に依存
水力資源が豊富なパラグアイは、極めて低コストの発電とエネルギー自給のほか、余剰電力による輸出収入も実現しています。
ネパール:水力発電で暮らしが一変
全体像:ネパールでは水力発電が急速に拡大し、今ではグリッド向け発電がほとんどすべて再生可能エネルギーで賄われていますが、輸送部門は依然として化石燃料に依存しています。

UN News/Vibhu Mishra
エネルギー構成:
- 水力発電が主力
- 太陽光・マイクロ水力発電システムも小規模ながら成長中
- 輸入化石燃料への電力依存度は低下
国連のデータによると、ネパールはその電力容量全体の約98%を再生可能エネルギーで賄っています。
水力発電は、ネパールの輸入燃料への依存度を低下させているほか、山が多くインフラ面で課題の多い国土でエネルギー供給を安定させることにも役立っています。
内陸国のネパールは、農村部の電化拡大や分散型の再生可能エネルギー・システム開発に努めるとともに、調理用の燃料を従来の木材から、よりクリーンなエネルギーへと転換することで、とりわけ女性と子どもに多くの影響が及ぶ家庭での空気の汚染の削減も図られています。
エチオピア:再生可能エネルギーでアクセスと機会が拡大
全体像:エチオピアは、水力発電を主力に、太陽光発電を拡大することで、アフリカの再生可能エネルギー先進国となりつつあります。

© IWMI/Petra Schmitter
エネルギー構成:
- 大型ダムを活用した大規模な水力発電
- 太陽光・風力発電が成長中
- 発電目的での化石燃料使用はごくわずか
国連のデータによると、エチオピアの電力容量の98%以上は再生可能エネルギーで賄われています。
再生可能エネルギーは、特に国内送電系統から遠く離れたコミュニティーへの電力の完全普及を実現し、輸入燃料への依存度削減と経済開発の支援を図るエチオピアの戦略で、中心的な位置を占めています。
まとめ
水力が極めて豊富なノルウェーとパラグアイから、ネパールやエチオピアなどの開発途上国に至るまで、地域は大きく異なっていても、共通のパターンが生まれつつあります。
- 再生可能エネルギーは、エネルギー自給率を高める。
- 再生可能エネルギーは、コストを安定させ、グローバルな危機による影響を小さくしている。
- 再生可能エネルギーは、雇用から健康、さらには機会に至るまで、人々に目に見える利益をもたらす。
移行は均一には進んでおらず、特に資金調達とインフラ整備の面で、まだ課題も残っています。
しかし、アントニオ・グテーレス国連事務総長が述べたように、「エネルギー移行を止めることはできません…再生可能エネルギーは、文字どおり、そして比喩的な意味においても、その「力」を人々や各国政府の手に委ねることができる」のです。
他の国々の電力事情
もちろん、すべての国が安定した水力発電や太陽光発電の恩恵を得られるわけではなく、また、このような再生エネルギーを活用できる資金を持ち合わせているわけでもありません。
天然資源に乏しく、より人口の多い他の国々が、エネルギー安全保障のためにどのような対策をとっているのかについて詳しくは、このUN News連載記事「再生可能エネルギーの台頭(2)」をご覧ください。
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原文(English)はこちらをご覧ください。


