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GDPは上昇しているのに満足度は低下:進歩の新しい測定方法はなぜ必要か(UN News 記事・日本語訳)

2026年06月12日

インド、ムンバイの人口過密なスラム地区
© Unsplash/Alfarnas Solkar

執筆者・コナー・レノン

202657 国内総生産(GDP)はこれまで数十年にわたり、社会の進歩を測るベンチマークとして用いられてきました。ところが、GDPの数値が上昇を続ける一方で、一般市民に奉仕すべき政治・経済システムに対する幻滅感も高まっています。本当に大切なものを測るため、新たな方法を見つけるべき時が来ているのではないでしょうか。

ビジネスニュースにまったく興味や関心がない人でも、GDPという言葉を耳にしたことはあるでしょう。進歩を体現する指標として、マスメディアで取り上げられることが多いからです。

簡単に言えば、GDPとは一国が生産、販売するあらゆるものの総計を指しますが、経済学者はずっと以前から、これが経済の全体像を描けていないことを認識していました。

例えば、育児や障害を持つ家族の介護といった無給の労働は、プラスの要素として算入されません。不平等の指標も、汚染や資源採取のコストも考慮されません。

これは政策立案の際に間違ったインセンティブや目的が生じるという意味で、問題の多い状況です。政策立案者はGDPの成長のみを目指すことによって、人々や地球にとって最も大切なものを追求しなくなるおそれがあるからです。

大切なものを測る

進歩を把握するための、GDPよりも精緻な指標が存在しないことは、国際社会でも長く問題視されてきましたが、アントニオ・グテーレス国連事務総長は1年前、この問題を取り上げ、Beyond GDP(GDPのその先へ)に関するハイレベル専門家グループを発足させました。

専門家グループは1年間の協議の末、その検討結果を『大切なものを測る(Counting what Counts)』と題した報告書で発表し、それは「人間と地球のための羅針盤」と評されています。

報告書は、GDPという限定的な尺度のさらに先へと進むため、国連が初めて提供した世界規模の青写真であり、政策と意思決定の指針として、さらに幅広い一連の指標を用いるべきことを説得力のある形で示しています。

Beyond GDPは、新たな進歩の測定方法を見つけるための取り組み
© ADB/DERAriel Javellana

報告書は、経済的なアプトプットの測定にGDPを用いること自体に異議を唱えてはいないものの、この指標を考案した経済学者でノーベル賞も受賞したサイモン・クズネッツの言葉を引用し、一国の福祉を測定するのにGDPだけでは不十分だと警告しています。

きょう行われた報告書の発表にあたり、アントニオ・グテーレス国連事務総長は、GDPがその考案者の意図しなかった形で用いられているとして、次のように述べました。「私たちは、各国の長期的な成功を判断する指標としてGDPを用いていますが、GDPが測定するものと、人々が大切にしているものとの間には、大きなギャップが見られます。GDPは、国際的な政策ルールを策定する際の頼りになるツールとなっています。しかし、それぞれの国が直面する脆弱性や課題、潜在可能性を効果的に識別できていません」

グテーレス事務総長は、より精緻な指標の必要性を裏づけるものとして、人工知能(AI)の普及率の上昇を挙げています。「AIは世界全体の成長と生産性を劇的に引き上げる潜在的可能性を秘めています。しかし同時に、何百万人分もの雇用を奪い、ますます高度化する致死兵器の開発や使用への道を開くおそれもあります。私たちがAI技術のメリットをそのGDPに対する効果のみをもって判断すべきでないことは明らかです

専門家グループは、数十年にわたる研究と、進歩を測るよりよい方法を見つけようとする数多くの国内的、国際的な試みに依拠しながら、各国政府や国際システムが、GDPが指標として不適切な場合にGDPに過度に依存することのないようにできる実践的なアジェンダを提供しています。

専門家グループ報告書の要となるのは、4本の柱に立脚した指標のダッシュボードです。具体的には、根本原則(平和、人権、地球の尊重を含む)、現在のウェルビーイング、公平性と包摂性、そしてサステナビリティ(持続可能性)とレジリエンス(強靭性)の4つです。

次のステップ

専門家グループは、各国に順位を付ける指標としてGDPに代わるものを提案するのではなく、進歩の状況を政策立案者や一般市民により明確に伝達するため、限られた数のヘッドライン指標を開発することを提言しています。

報告書には、各国の優先課題に合わせ、政策立案プロセスに組み込まれた国別の「進捗状況ダッシュボード」の早期採用など、Beyond GDPアジェンダを前進させるための実践的なステップが盛り込まれています。

また、持続可能な開発目標(SDGs)のモニタリングと整合する年次進捗状況報告書など、国連独自のグローバルな報告メカニズムも提案されているほか、学術界や市民社会、民間セクター、メディアは研究や報告、実質的な参画を通じて、議論のあり方を変え、GDPのさらに先を行く進歩の尺度についてリーダーの説明責任を求めることに貢献するよう促されています。

グテーレス事務総長は最後に、「GDPを補完するこれらの新指標を受け入れようではありませんか。そして、歴史上でも極めて特別なこの時期に、私たちの世界が直面する課題と機会の全体像を明らかにしようではありませんか」と呼びかけました。

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原文(English)はこちらをご覧ください。