ジェンダー、地域性、勢力争いが次期国連事務総長の選出に影響?(UN News 記事・日本語訳)
2026年06月04日

UN Photo/Loey Felipe
執筆者・ダニエル・ディキンソン
2026年4月17日 – 来年1月に就任予定の第10代国連事務総長の選出は、今後10年間のグローバル外交や世界各地で生じている危機への対応、そして多国間システムの方向性を決定づける可能性があります。
なぜ重要か
現時点で継続中の選出プロセスでは、次の論点が重要となります。
- 次期国連事務総長の出身国はどこになるのか。
- 女性が初めて国連のトップに選出されるのか。
- 安全保障理事会の常任理事国5カ国は、ますます分断が進む世界において、それぞれの政治的な立場の食い違いをどのように克服するのか。
事務総長の役割について
国連の内部関係者の間ではしばしば “SG”(エス・ジー)の略称で呼ばれる事務総長(the Secretary-General)は、国連の最高管理責任者かつトップ外交官であり、下記の任務を担います。
- 国連事務局とグローバルな活動を主導する。
- 国際の平和を脅かす問題を国連安全保障理事会に付託する。
- グローバルな危機に対し仲介者、アドボケート(唱道者)、世論の代弁者としての役割を果たす。
- 加盟国の決定を実行に移す。

次期事務総長の選出時期
アントニオ・グテーレス現事務総長の任期は2026年12月31日で満了するため、次期事務総長は2027年1月1日に就任する予定です。
選出プロセスはすでに始まっています。
- 2025年11月:2026年4月1日までに候補者を推薦するよう加盟国に招請。
- 2026年4月21~22日:信託統治理事会議場で開催され、TV中継される「双方向対話」で、候補者が国連加盟国と市民社会メンバーからの質問に回答。
- 2026年7月下旬:15カ国で構成される安全保障理事会が非公開で候補者について審議。
- 2026年後半:国連総会が正式に任命を決定。
実際のところ、この最終決定は通常、8月から10月までの間に下されます。
候補者の顔ぶれ
候補者には外交官や首相、国連の内部関係者、シニアレベルの国際的な著名人が含まれることが多くなっています。
これまでに5人の候補者が推薦されています。
- ミシェル・バチェレ(チリ出身)
- マリア・フェルナンダ・エスピノサ(エクアドル)
- ラファエル・グロッシー(アルゼンチン)
- レベッカ・グリンスパン(コスタリカ)
- マッキー・サル(セネガル)

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選出の仕組み:
- 候補者は、少なくとも1カ国の国連加盟国から推薦を受けなければならない。
- 各国はそれぞれ(単独または共同で)1名の候補を指名できる。
- 自薦は認められない。
- 4月1日の期限を過ぎても、追加の候補者を推薦できる。
非公式ルール:
- P5と呼ばれる安全保障理事会の常任理事5カ国(中国、フランス、ロシア、英国、米国)の出身者は推薦されない。
- 事務総長の出身国に関して、正式な地域別輪番制はないものの、今回はラテンアメリカの「番」であるとの主張も見られ、これが現時点の候補者のうち4人が同地域の出身であることの理由になっている可能性もある。
総会と安全保障理事会での勢力争い
事務総長は193カ国で構成される総会が、安全保障理事会の勧告に基づき任命します(国連憲章第97条で規定)。
15カ国で構成される安全保障理事会、特にどの候補にも拒否権を行使できる常任理事5カ国は、勧告の内容を決めるうえで決定的な役割を果たしますが、最終的な任命自体は総会が行います。
候補者が事務総長に選出されるためには、下記が必要です。
- 安全保障理事会で過半数から支持を得る。
- いずれのP5理事国からも拒否権を行使されない。

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安保理理事国の間では、各国が特定の候補について好意的か、好意的でないか、特に意見がないかを示唆する非公式な模擬投票も行われます。
この模擬投票は、いずれのP5理事国からも拒否権の発動を受けず、かつ過半数を獲得する候補が現れるまで続きます。
女性が選出される可能性は高いか
気運は高まっていますが、その保証はありません。
- 国連創設から80年の間、9人の事務総長が就任していますが、女性がその地位に就いたことはこれまでない。
- 加盟国は女性(候補者)の推薦を奨励されている。
- しかし、ジェンダーは正式な選出基準ではない。
安全保障理事会の政治力学
最終決定は今でも、P5がコンセンサスに至ることができるか否かに大きく左右されます。最近のガザやウクライナ、そして今ではイランでの危機をめぐるP5の意見の不一致と安全保障理事会の行き詰まり状態は、今後の成り行きがどれだけ困難となりかねないかを如実に示しています。
第10代事務総長は、下記の歴代事務総長の後継となります。
- アントニオ・グテーレス(ポルトガル出身)、2017年1月に就任
- 潘基文(韓国)、2007-2016年
- コフィー・アナン(ガーナ)、1997-2006年
- ブトロス・ブトロス=ガリ(エジプト)、1992-1996年
- ハビエル・ペレス・デクエヤル(ペルー)、1982-1991年
- クルト・ワルトハイム(オーストリア)、1972-1981年
- ウ・タント(ビルマ、現ミャンマー)、1961-1971年
- ダグ・ハマーショルド(スウェーデン)、1953-1961年
- トリグブ・リー(ノルウェー)、1946-1952年
*記事の内容は2026年5月12日に更新されました。
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原文(English)はこちらをご覧ください。


