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ポスト2015開発アジェンダ:ハイレベル・パネルの提言とは?

プレスリリース 13-034-J 2013年06月21日

持続可能な開発による貧困根絶と経済変革に向け、全世界の有識者が新たなグローバル・パートナーシップを要求

「ポスト2015年開発アジェンダに関するハイレベル・パネル」は2013年5月30日、報告書『新たなグローバル・パートナーシップ:持続可能な開発を通じ、貧困の根絶と経済の変革を(A New Global Partnership: Eradicate Poverty and Transform Economies through Sustainable Development)』を発表しました。2030年までに地球上から極度の貧困を一掃し、持続可能な開発という約束を果たすための普遍的な課題を定める内容となっています。

全世界に対し、世界中の一人ひとりに希望と役割を与える新たなグローバル・パートナーシップの下に結集するよう呼びかける報告書。そのメッセージを一緒に見てみましょう。

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「ポスト2015年開発アジェンダに関するハイレベル・パネル」は潘基文(パン・ギムン)国連事務総長が設置したもので、インドネシアスシロ・バンバン・ユドヨノ大統領リベリアエレン・ジョンソン=サーリーフ大統領英国デービッド・キャメロン首相が共同議長を務めています。

ユドヨノ大統領は発表にあたり、「この報告の優れているところは、できる限り多くの方面からの意見を把握していることに加え、パネリストも共同議長もそれぞれの国益を乗り越え、真に普遍的な観点からグローバル・パートナーシップと持続可能な開発の問題に取り組むことができたという点にあります」と述べました。

サーリーフ大統領は、次のように語っています。「このハイレベル・パネル報告書は、政府、市民社会、学識者、民間部門の見解を取り入れた9カ月間にわたる集中的なグローバル協議の産物です。私たちはともに、幅広い関係者と協議しながら、持続不可能な経済成長、紛争、気候変動といった、21世紀の諸課題について検討しただけでなく、現代的なテクノロジーや革新的な連携などの機会も明らかにしました。この報告書は、人間開発に対する障害に立ち向かい、新しい機会を活用する手段を備えた世界を実現するための斬新なビジョンを定めるものです。報告書がポスト2015年開発アジェンダに関するグローバルな話し合いに大きく貢献できること、そして、私たちが明らかにした原則や変革が、継続的な対話の枠組み作りに役立つことを期待しています」

また、キャメロン首相は、次のように述べました。「この報告書は、2030年までに極度の貧困を根絶するためのロードマップをはっきり定めています。現在のミレニアム開発目標 (MDGs) に関する作業を完結し、貧困の根本的原因に取り組み、持続可能な開発を擁護していくためには、新しいグローバル・パートナーシップが必要です」

ロードマップ

ハイレベル・パネルは報告書の中で、5つの大変革を推進するため、新たなポスト2015年目標の設定を求めています。

落後者を出さない。私たちは2015年以降、単に極度の貧困を削減することから、そのあらゆる形態に終止符を打つことへと軸足を移すべきです。民族、ジェンダー、地域、障害の有無、人種、その他の身分に関係なく、誰もが基本的な経済的機会と人権を拒絶されないようにすべきです。

持続可能な開発を中心に据える。私たちは、持続可能性の社会面、経済面、環境面を統合しなければなりません。私たちは今すぐ、人類に未曾有の脅威を及ぼしている気候変動と環境破壊の恐ろしいペースを和らげるよう、行動を起こさねばならないのです。

雇用と包摂的な成長に向け、経済を変容させる。経済を根本的に変容させれば、変革や技術、企業の潜在力を活用することにより、極度の貧困に終止符を打ち、生活を改善させることが可能になります。経済をさらに多様化し、すべての人が平等な機会を得られるようにすれば、特に若者の社会的包摂が進み、持続可能な消費や生産のパターンも育成できるでしょう。

平和と、すべての人にとって実効的で開かれた責任ある制度を構築する。紛争や暴力からの自由は、人間にとって最も基本的な権利であり、また、平和で豊かな社会を築くうえで欠かせない基盤でもあります。同時に、全世界の人々は、そのニーズに応えてくれる、誠実で責任ある政府を望んでいます。私たちは、平和とよいガバナンスを贅沢なおまけではなく、幸せの中心的要素として認識するという、根本的な意識変革を求めます。

新たなグローバル・パートナーシップをつくり上げる。新しい連帯、協力、相互責任の精神で、ポスト2015年アジェンダを支えなければなりません。この新たなパートナーシップは、 私たちが共有する人間性に対する共通の理解と、相互尊重、相互利益に基づくものとすべきです。また、貧困や疎外に苦しむ人々、女性、若者、高齢者、障害者、先住者をはじめ、人間をその中心に据えるべきです。さらに、市民団体、多国間機関、政府や地方自治体、科学者や学識者、企業、民間慈善団体もこれに含まれるべきです。

報告書全文とパネルに関するさらに詳しい情報は、www.post2015hlp.org でご覧になれます。

*注記

プロセス

この報告書は、MDGs の歴史的な前進を踏まえて作成されたものです。また、ハイレベル・パネルの全世界の人々との協議で表明された驚くべき熱意と多様な意見も反映しています。ハイレベル・パネルは提言の作成にあたり、121カ国の5,000を超える市民団体と話し合いました。

この報告書は MDGs が2015年に達成期限を迎えることを受け、その後の開発アジェンダを策定するために国連が実施中の協議プロセスで用いる資料として、国連事務総長に提出されたものです。

事務総長は2013年9月、世界の次なる開発アジェンダに関する自らのビジョンを国連加盟国に提示する予定です。

ハイレベル・パネルのメンバー

スシロ・バンバン・ユドヨノ氏、インドネシア大統領、共同議長
エレン・ジョンソン=サーリーフ氏、リベリア大統領、共同議長

デービッド・キャメロン氏、英首相、共同議長

ラーニア・アル=アブドッラー王妃、ヨルダン・ハシェミット王国

ヒセラ・アロンソ氏(キューバ)
フルベール・アムスガ=ジェロ氏(ベナン)
アビジット・バネルジェ氏(インド)
グニッラ・カールソン氏(スウェーデン)
パトリシア・エスピノサ氏(メキシコ)
マリア・アンヘラ・ホルギン氏(コロンビア)
菅直人氏(日本)
タワックル・カルマン氏(イエメン)
キム・スンホワン氏(韓国)
ホルスト・ケーラー氏(ドイツ)
グラサ・マシェル氏(モザンビーク)
ベティ・メイナ氏(ケニア)
エルヴィラ・ナビウリナ氏(ロシア連邦)
ンゴジ・オコンジョ=イウェアラ氏(ナイジェリア)
アンドリス・ピエバルクス氏(ラトビア)
エミリア・ピレス氏(東ティモール)
ジョン・ポデスタ氏(米国)
ポール・ポルマン氏(オランダ)
ジャン=ミシェル・セヴェリノ氏(フランス)
イザベラ・ティシェイラ氏(ブラジル)
カディル・トプバス氏(トルコ)
ワン・インファン氏(中国)

アミナ・J・モハメド氏、職権により

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潘基文事務総長(右)に報告書を手渡すインドネシア大統領で共同議長のスシロ・バンバン・ユドヨノ大統領(左)©UN Photo/Mark Garten
報告書の提出にあたり記者会見を行うハイレベル・パネルのメンバー。左から、事務総長特別顧問のアミナ・J・モハメド氏、ケニア製造業者協会のベティ・メイナ氏、元メキシコ外相のパトリシア・エスピノサ氏、アメリカ進歩センター所長のジョン・ポデスタ氏©UN Photo/Mark Garten