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事務総長、国際平和デー記念式典で、脆弱な世界を支え、さらに強化することを呼びかけ(UN News記事・日本語訳)

2020年09月22日

ニューヨークの国連本部で、平和の鐘をつくアントニオ・グテーレス国連事務総長© UN Photo/Mark Garten

2020年9月17日-アントニオ・グテーレス国連事務総長はきょう、9月21日の国際平和デーにちなんで国連本部で開かれた年次記念行事に出席し、私たちが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)の終息を図る中で、壊れたものに美を見出す日本の理念を、今日の亀裂を深める世界の指針とすべきだと語りました。

 

グテーレス事務総長は、日本国際連合協会から寄贈され、国連事務局の敷地内に設置された「平和の鐘」の前でスピーチを行い、コロナウイルスが平和をいかに大きなリスクにさらしているかについて語りました。パンデミックが宣言されて間もない今年3月、事務総長はこうした理由からグローバル停戦を呼びかけています。

「このパンデミックは紛争地帯以外でも、あらゆる不平等を浮き彫りにし、これに付け込むことで、コミュニティーや国々の対立を煽っています」事務総長はこのように述べました

事務総長は鐘をつくのに先立って、全世界の戦争と紛争の犠牲者に1分間の黙とうを捧げるよう呼びかけました。

 

「年に一度の静寂」

事務総長にとって「平和の鐘」式典は、国連総会のハイレベル・セグメントを前にした「年に一度の静寂」にあたります。来週、幕を開けることになる今年のハイレベル・セグメントは、人で溢れかえった廊下や満員の会議場とは無縁な、これまでに類を見ない状況下で開かれます。

ほとんどがオンラインで行われる一般討論で、グテーレス事務総長は「私たちは銃声を鎮め、ウイルスという共通の敵に集中する必要がある」という言葉で、グローバル停戦を改めて呼びかけることになっています。

国連がちょうど創設75周年を迎える今年、パンデミックが生じたという事情から、きょうの式典は、戦争を予防し、平和を促進するという国連創設時の目標について、改めて考える機会にもなりました。

事務総長は、世界各地の人々から寄付された硬貨やメダルを鋳直して作られた「平和の鐘」を、結束の象徴と捉えました。この鐘は1954年、日本国際連合協会から国連に寄贈されたものです。

 

「新品をしのぐ」ために

グテーレス事務総長は、日本文化には自然の不完全さや欠点を愛でるという特徴があることを指摘しました。これをよく表している「金継ぎ(きんつぎ)」は、欠けた陶磁器の欠片を漆によって接着し、金粉で装飾する技法です。

「その結果生まれるのは『新品同様』のものではなく『新品をしのぐ』器です。私たちも国際平和デーを記念するにあたり、亀裂を深める私たちの世界にこの理念を用いようではありませんか」事務総長はこのように呼びかけています。

「平和を損なう脆弱性や不平等に取り組み、これまでよりもさらに強くなって復興を遂げようではありませんか。紛争の嵐が吹き荒れている場所で、そして、銃声を鎮めるための外交のチャンスがある場所で、常に平和の実現に努めようではありませんか。平和を最優先し、すべての人にとってより安全な未来を築こうではありませんか」 

 

最も苦しむのは弱い立場に置かれた人々

全世界に向けてライブ配信された「平和の鐘」式典では、グテーレス事務総長とトルコのヴォルカン・ボズクル第75回国連総会議長がCOVID-19対策を守り、適切な距離を取って演壇に並ぶ姿が映し出されました。

ボズクル議長は、パンデミックがあらゆる場所で、人々の健康や安全、暮らし方を脅かしていると語りました。

「きょう私たちは、マスクを着け、距離を保って立っています。このパンデミックは多くの人々に、予期せぬ不幸と苦境をもたらしました。しかし、紛争であれ、今回の感染症であれ、最も苦しむのはいつも、社会的に最も脆弱な立場に置かれた人々なのです」議長はこう述べています。

 

若者による記念行事

通常であれば、米国のチェロ奏者ヨーヨー・マ氏をはじめとする国連ピース・メッセンジャーも、ニューヨークに足を運んで「平和の鐘」式典に参加するところでした。

マ氏は今年、チンパンジーに関する先駆的研究で有名な英国の霊長類学者ジェーン・グドール氏とともに、オンラインで記念式典に参加しました。

正式な式典に先立ち、2人のピース・メッセンジャーはオンラインで開催された学生による国際デー記念行事にも参加しました。同じくピース・メッセンジャーを務めるバイオリニストの五嶋みどり氏、指揮者のダニエル・バレンボイム氏、『アルケミスト 夢を旅した少年』の著者であるパウロ・コエーリョ氏も、人々の心を動かすビデオ・メッセージを寄せています。

グドール氏は、世界がやがてパンデミックを克服すると断言しました。「しかし、その暁には、私たち人類が家族としてまとまらなければなりません」グドール氏はこう助言しました。「私たちは国や宗教、文化の違いを脇に置き、気候危機という、ずっと大きな脅威に立ち向かわなければならないからです」

マ氏は、さまざまな世代間で信頼を築くことが、平和の達成に必要な手段だと述べました。

「世代間の交流は、とてつもなく重要です」マ氏は若い聴衆にこう語りかけました。「世界は皆さんのものです。私たちは皆さんに、できる限り最高の世界を引き継ぐ必要があり、今後半世紀の間、皆さんが管理人として素晴らしい手腕を発揮してくれると信じています」

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原文(English)はこちらをご覧ください。

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