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議場は静かでも、議題は満載: オンライン開催の第75回国連総会について、知っておくべき5つのこと(UN News 記事・日本語訳)

2020年09月15日

国連総会議場で、モップがけの車を運転する清掃スタッフ©UN Photo/Manuel Elias

2020年9月6日-第75回国連総会の会期は9月15日に始まります。新型コロナウイルス感染症の世界的大流行が続く中、今年の総会は国連の75年に及ぶ歴史の中で、一度も見られたことのない様相となります。

 

今年9月、ニューヨークの国連本部では、人々が忙しく動き回り、時には人で溢れかえる返る廊下で、どこかの国の大統領や世界的著名人に出くわすといった光景は見られなくなります。

マンハッタンの1番街で、際限なく続く各国首脳の車列に驚くことも、金色に輝く総会議場が「立ち席のみ」の状態になることもありません。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、国連にとって1年で最も忙しい時期が、大きく姿を変えることとなったからです。

ほとんどのリーダーは国連本部に参集せず、会合もオンラインで行われますが、だからと言って、グローバルな外交と持続可能な開発という両輪が、通常のスピードで回転しないというわけではありません。

第75回国連総会の注目点は5つあります。

国連総会議場で、選挙の投票用紙に記入するハンガリーのカタリン・ボギャイ国連常駐代表© UN Photo/Eskinder Debebe

 

1)各国首脳が録画で演説

新たな総会)会期でいつも注目の的となるのは、間違いなく一般討論です。一般討論は正式な開会の1週間後にあたる9月22日から始まります。

一般討論は、大統領をはじめとする各国首脳(場合によってはその代理または外務大臣)が演壇に立ち、自分で選んだ課題について全世界の聴衆に訴えかけるという、世界的に見ても他に類を見ない機会です。今年はコロナ禍の影響で、世界のリーダーたちは議場に足を運ぶことなく、事前に録画された演説の動画を送信するよう要請されていますが、この動画が「ライブ」で放映される予定です。

演説の動画は、議場にじかに出席する予定のニューヨークにいる各国の代表によって紹介される予定です。

しかし、世界のリーダーには、実際に議場に姿を見せ、基調演説を行うという権利もあります。少なくとも今年、再選を目指している1人の大統領は、この可能性を検討中だと報じられています。

初のオンライン総会について詳しくは、こちらをご覧ください。

国連本部とニューヨークのミッドマンハッタンの眺望(1955年10月24日)© UN Photo

 

2)創設75周年を祝う

1945年に設立された国連は、今年で創設75周年を迎えます。これを記念して国連のアントニオ・グテーレス事務総長が呼びかけている「人々による対話」は「私たちが望む未来の構築についての、これまでで最大かつ最も幅広いグローバルな話し合いとなる見込み」です。

創設75周年を祝うため、9月21日に国連本部で開かれるイベント(オンラインとリモートでも開催)は「マルチラテラリズムに対する支持を改めて強化する」ことをねらいとしています。世界が新型コロナウイルスの世界的大流行に直面する中で、この問題の緊急性が高まったと見る向きも多くあります。総会議場で開催される創設75周年記念ハイレベル・イベントには、グテーレス事務総長も姿を見せ、発言する予定です。

若者の未来に合わせて国連をつくり変えるために、ユースリーダーが果たす役割について詳しくは、こちらをご覧ください。

ケニアの共同農場で、豆を収穫する女性©FAO/Fredrik Lerneryd

 

3)持続可能な開発を通じて「世界を変革する」

持続可能な開発目標(SDGs)、すなわち、貧困を削減し、平和を維持しながら、地球を守るため、国際的に合意された17の目標は、2020年も引き続き国連の最優先課題に掲げられており、コロナ禍はその重要性の根拠をさらに際立たせたと論じる向きは、国連副事務総長をはじめ多く見られます。

第75回総会会期では、SDGsが「過去に類を見ない30分間の世界放送番組」と呼ばれる取り組みで脚光を浴びることになります。作家兼ディレクターでSDGsアドボケートでもあるリチャード・カーティス氏が制作するこの番組の視聴者は、世界各地を巡って「私たちが暮らす時代、地球が直面するさまざまな転換点」、そしてSDGsのターゲット達成が望まれる2030年までに「私たちの世界を変革しうる対策」について、視覚的に理解を深めることになります。

一方、昨年は国連本部で持続可能な開発アジェンダを世界的に推進する拠点と集いの場として機能した「SDGsアクション・ゾーン」は、オンラインに移行しますが、ここでは「感動を呼び起こすリーダーたち」の出演が予定されています。

また、「SDGsメディア・ゾーン」では、新型コロナウイルス感染症の影響、ワクチンの開発と入手可能性、新型コロナウイルスに関する誤情報やデマのほか、ジェンダー平等、世界で低下を続ける生物多様性を緊急に守る必要性など、「今日の最も特徴的な課題のいくつか」について、一連の話し合いを行います。

国連はまた、Al Jazeera Englishの人気ソーシャルメディア番組「The Stream」とも連携し、SDGsにまつわる一連の議論を行います。

オーストラリアのグレートバリアリーフ© Coral Reef Image Bank/Matt Curno

 

4)地球の生物多様性の「かつてない喪失」に向き合う

地球の生物多様性、すなわち豊かな生物資源は、国連が「かつてないペース」と警告する速さで減少しています。100万を超える生物種が絶滅の危機に瀕し、現状で20億ヘクタールの土地が劣化しているほか、海洋の66%、サンゴ礁の50%、湿地の85%が人間活動によって大幅な悪化を強いられています。

加速化する自然環境破壊をいかに逆転させるか、また、それが人々の生活にどのような悪影響を与えているかについて話し合うため、今年は中国の昆明で、主要な国際サミットが予定されていましたが、この会議は2021年5月に延期されています。

この間、9月30日には総会の傘下で、終日のオンライン会合が開かれることになっています。これに先立ち、9月15日には2020生物多様性概況(2020 Biodiversity Outlook)が発表されます。

ヨルダン、北ショウネーの再生利用工場で、フォークリフトを運転する女性従業員© UNDP/Sumaya Agha

 

5)ジェンダー:北京会議25周年

ジェンダーの平等と女性の権利に関する前進は、新型コロナウイルス感染症によって深刻な影響を受けました。不当に大きな社会的、経済的負担が女性と女児にのしかかっているからだ、とアントニオ・グテーレス国連事務総長は指摘しています。

10月1日には、北京行動綱領に関する国際的合意の成立から25周年にちなみ、この問題のほか、ジェンダーの平等とエンパワーメントに関連する諸課題が国連で話し合われることになっています。北京行動綱領は、女性と女児の権利を前進させるための最も包括的かつ先進的な計画として、広く認識されています。

これに先立つ9月18日、私たちは男女の賃金格差是正に焦点を絞った初の「平等な賃金の国際デー」を迎えます。

新型コロナウイルスが蔓延するニューヨークで、緊急対応の医療従事者を称えて赤くライトアップされたエンパイアステートビル© UN Photo/Evan Schneider

 

おまけに…ニューヨーク市民もハッピーに

総会の一部ではないものの、これと表裏一体をなす問題もあります。多くのニューヨーク市民は、毎年9月の総会開会を恐れています。道路が閉鎖されたり、大統領たちの車列で1番街や周辺のミッドタウン地区で交通渋滞が起きたりして、一般市民が気力を失うほど生活が混乱するからです。

コロナ禍で観光収入が数十億ドル失われるなど、厳しい状況に置かれているとはいえ、今年は世界のリーダーが総会に足を運ばないため、ニューヨーカーたちが1週間か10日にわたり、その国際都市の一部を各国の大統領や首脳に占拠されるという憂き目に遭わなくて済むことは間違いありません。

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原文(English)はこちらをご覧ください。

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