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UNCTAD:モーリシャス沖の石油流出事故、国際海事法の重要性を明らかに(UN News記事・日本語訳)

2020年09月01日

モーリシャス、グラン・ポール県ボワデザムレットで、石油流出の影響を調査する国際移住機関(IMO)職員と専門家©IOM

2020年8月20日-国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、モーリシャス東海岸沖で起きた深刻な石油流出事故は、海洋を統治し、小島嶼国とその脆弱な海洋環境を船舶による汚染から守る国際法を世界の国々が採択する必要性を明らかにしています。

先月、環境保護を要し、また生物多様性に富む海域で生じた貨物船「わかしお」の座礁は、モーリシャスの海洋生物や食料の安定確保、人々の健康だけでなく、すでに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)で大きな被害を受けている16億ドル規模の観光業も危険にさらしています。

「既存の国際法の枠組みにすべての国が参加し、協定締約国となることで、このような事故が生じた場合でも、脆弱な国が守られるようにする必要があります」UNCTADで技術・物流責任者を務めるシャミカ・N・シリマネ氏はこのように語っています。

 

歴史的な石油流出事故

UNCTADによると、今回の事故は、美しいビーチで有名なインド洋の島国、モーリシャスの歴史上、最悪の石油流出事故となっています。

日本の企業が所有するパナマ船籍のばら積み貨物船「わかしお」は、中国からブラジルに向けて航行中だった7月25日、海上公園と2つの国際湿地保護区に近接するサンゴ礁で座礁しました。原因はまだ分かっていません。

この船は貨物を運んでおらず、中には燃料油3,894トン、ディーゼル油207トン、潤滑油90トンが積まれていたと見られています。

8月11日までに、最大で2,000トンの燃料油が流出したと報じられ、船はその数日後、2つに割れました。船主によると、船内の燃料油はそれまでにほとんど回収されています。

 

「生存と開発への脅威」

UNCTADは今週発表した記事の中で、モーリシャスで深まっている環境危機が、このような災害発生時に有効な国際法の枠組みを整備することの重要性を示していると述べています。

この枠組みは、海域での原油流出によって「生存と開発への脅威」に直面する小島嶼開発途上国(SIDS)にとって、特に欠かせません。

UNCTADは、開発途上国のグローバル経済への公正なアクセスを支援する国連機関です。

モーリシャスと同様、SIDS諸国の多くは世界的海上交通路に近接しています。これら諸国はまた、観光や漁業、養殖を海洋環境とその生物多様性に依存しています。


石油流出事故で脅威にさらされるモーリシャスの豊かな海洋環境©Unsplash/Xavier Coiffic

 

異なる船舶に、異なる法が適用

海洋とその利用方法を統治する国際協定はいくつかあるものの、その中にはすべての国の批准が得られていないものや、まだ発効していないものもあります。

しかも、船舶が違えば適用される国際条約も異なり、UNCTADはこの点をモーリシャスでの事故における課題として指摘しています。

貨物船「わかしお」からの石油流出には、燃料油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約(バンカー条約)が適用されますが、経済的損失と環境的被害に対する賠償額は、船舶がオイルタンカーであった場合よりも低くなります。

バンカー条約による最大賠償額はおよそ6,517万ドルであるのに対し、国際油濁補償基金(IOPCF)制度が適用される場合、支払額はその4倍の2億8,600万ドルとなります。

船舶による汚染事故は、そのコストが大きく、環境や経済にも幅広い影響を及ぼすおそれがあるという点からも、UNCTADは、すべての国がグローバル公共財のために、最新の国際協定を採択する必要性を改めて強調しています。

「持続可能な開発目標のゴール14は私たちに対し、海の豊かさを守るよう呼びかけていますが、そのためには、石油流出のような環境災害が起きた場合の管理に必要となる予防措置をすべて導入するなど、可能なあらゆる点で汚染を最小限に抑えることが必要となります」シリマネ氏はこう語っています。

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原文(English)はこちらをご覧ください。

 

 

 

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