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事務総長報告:多国間主義こそ、世界の問題に取り組む唯一の道

2018年08月16日

バングラデシュのコックスバザールで、ロヒンギャ難民と面会するアントニオ・グテーレス事務総長(中央)©UNFPA Bangladesh/Allison Joyce

2018814日-アントニオ・グテーレス国連事務総長は本日発表した年次報告の中で、「世界で問題が山積する中、多国間主義こそ、今後の課題に対処するための最善の道と言えます」と述べています。

国連の活動に関する事務総長報告2018は、平和と安全の維持、人権の擁護、持続可能な開発促進の分野で、過去1年間に達成された前進を振り返るものとなっています。

事務総長は報告書の前書きで、「私は事務総長就任にあたり、2017年を平和の年とすることを求めましたが、平和はなかなか達成できていません」と述べるとともに、昨年1月以来、「紛争の激化に伴い、深刻な人権侵害と人道法違反が生じる一方で、不平等が高まり、不寛容が広がり、女性に対する差別は根強く残り、気候変動の影響は加速を続けている」ことを指摘しました。

グテーレス事務総長は「私たちが世界をよりより未来へと向かわせるためには、結束と勇気が必要です」と強調し、持続可能な開発目標(SDGs)が「貧困を緩和し、平和で豊かな包摂的社会を作り上げるための加盟国と市民社会による協調的な取り組みを生み出した」ことを認めました。

広範囲に及ぶ改革

グテーレス事務総長とアミーナ・モハメッド副事務総長の主導で、数十年ぶりに進められている包括的な国連開発システムの改革は、17の SDGs 達成に向け、国連が加盟国を支援できる能力の強化をねらいとしています。

事務総長報告は、労働生産性や電力へのアクセス、インターネットのガバナンス強化などの点で前進を認めつつも、進歩の状況はまちまちであり、期限内に持続可能な開発のための2030アジェンダを達成できるペースに達していないことも示しています。

“世界を目標達成に向けた軌道に乗せるためには、結束と勇気が必要 国連事務総長”

例えば2015年の時点で、10人に3人は安全な飲料水を利用できず、安全な衛生施設がない人々も全体の60%に達しています。さらに、紛争や災害、気候変動も、各地の人々に悪影響を与えています。

報告書は加盟国や地域・国際機関、市民社会との多様なパートナーシップをさらに強化し、「どの国も単独では解決できないグローバルな問題に対する解決策を見出す」ことの重要性を強調しています。

2018年の持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラムでは、いくつか前向きな取り組みも見られましたが、エネルギー協力や水、陸上生態系などの分野で、取り組みを緊急に強化する必要性も明らかになりました。

報告書によると「SDGsの達成には、パートナーシップが鍵」となりますが、オンライン・プラットフォーム「Partnerships for the SDGs」には6月の時点で、17の目標について各部門から3,834件のパートナーシップが登録されています。

技術面では昨年10月、経済社会理事会(ECOSOC)と第2委員会の合同会議にソフィアが出席し、国連の協議に参加する初のロボットとなりました。これは、人工知能(AI)の領域でどれだけの進歩が見られたかを示唆する出来事といえます。

若者に対しては、国連ユース担当事務総長特使を務めるジャヤトマ・ウィクラマナヤケ氏(スリランカ)が、あらゆるレベルでの政策決定プロセスや、若者問題への取り組みにおける国連システムの連携強化などの点で、若者のニーズや権利を継続的に主張しつつ、その参加拡大を訴えています。

国連報告書は、グローバルな移住の規模や複雑性、影響の高まりにも触れています。総会は7月、安全で秩序ある正規移住のためのグローバル・コンパクトに合意していますが、これは12月にモロッコで開催される政府間会議に提出され、採択されることになっています。

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原文(English)はこちらをご覧ください。