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前チリ大統領、注目を浴びる新しい国連の女性機関の最高責任者に就任

プレスリリース 10-070-J 2010年10月05日

2010年9月14日-潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は、前チリ大統領のミチェル・バチェレ氏をUN Womenの最高責任者に任命しました。UN Womenは、女性の権利とグローバル問題への全面的な参加の推進をねらいとする国連プログラムを統括するため、新たに設立された機関です。

この新機関は大幅な予算増額を受け2011年1月に発足予定で、国連女性開発基金(UNIFEM)、女性の地位向上部(DAW)、ジェンダー問題に関する事務総長特別顧問室(OSAGI)、国際婦人調査訓練研修所(UN-INSTRAW)という国連の4つの機関と部署を統合するものです。

「UN Womenは全世界で女性と女児の利益を促進していきます」潘事務総長は任命発表の記者会見でこのように語りました。「バチェレ氏はこの重要なポストで、力強いグローバルなリーダーシッブ、磨き上げられた政治手腕、そして、国連機関と官民多数のパートナーの間で合意と焦点を作り上げることのできる優れた能力を発揮することになります。私は、バチェレ氏の強力なリーダーシッブのもと、国連が全世界で数百万人の女性と女児の生活を改善していけると確信しています」

3人の最終候補の中から選ばれたバチェレ氏は、チリ初の女性大統領として、その任期中、女性問題に優先的に取り組んだほか、大統領職を離れてからもUNIFEMと連携し、1月のハイチ大地震で被害を受けた女性たちの窮状を訴えてきました。

新機関の年間予算は少なくとも、統合される4機関の現時点での予算総額の2倍に当たる5億ドルとなる予定です。

「皆様もご存知のとおり、UN Womenはほぼ4年間にわたる努力の賜物であり、きょうの発表も加盟国と、女性問題に対する私たちの決意を共有する多くのパートナーの懸命な作業により可能となったものです。私自身にとっても、この問題は個人的な最優先課題でした」と潘事務総長は述べています。

事務総長はミレニアム開発目標(MDGs)に関する国連サミットで、極度の貧困と飢餓、母子死亡率、疾病のまん延、そして教育や保健サービスへのアクセス欠如をすべて2015年までに大幅に削減するという意欲的な目標の実現に向け、女性と子どもが「私たちの最後の一押しの主役」になることを強調しました。

「私たちに残された時間は3カ月半ほどしかありません」事務総長はこう語っています。「私はバチェレ氏を正式に任命する際、スタッフの任命と採用に向け、プロセスをどのように加速できるかを話し合う予定です。私たちには独自の方針も必要です。原則的に、機構はすべて整っています。この機構を迅速に機能させ、政策やビジョンを実現していくことが、今の課題です。私はすべての加盟国と市民社会指導者、政府、そして財界に対し、全面的な支援と協力をお願いしたいと思います」

きょうの発表は、総会が去る7月2日、ジェンダー平等に注力する4つの部局を統合し、新たな活力のある機関を創設することを全会一致で議決したのを受けて行われたものです。新機関の主目標には、女性の地位委員会(CSW) をはじめとする政府間政策立案機関に対する支援も含まれることになっています。

また、加盟国の基準実施への支援や、要請があった諸国に対する技術・資金援助の提供、市民社会とのパートナーシッブ構築も、新機関のねらいとなっています。国連の内部では、ジェンダー平等の推進に向けた国連自身の公約を果たさせていく役割も担います。

国連教育科学文化機関(UNESCO)のイリーナ・ボゴバ事務局長もバチェレ氏の任命に賛意を示し、次のように述べました。

「国連総会の全会一致の承認によるUN Womenの創設はそれ自体、重要な動きでした。才能にあふれ、経験も豊富なミチェル・バチェレ氏がトップに任命されたことで、その重要性は一層高まっています。UNESCOは教育、科学、文化、通信、そして情報面での女児と女性の権利推進に尽力しています。ジェンダー平等は私たちのグローバル戦略上の優先課題でもあります。私たちの機関は、UN Women最高責任者としてのバチェレ氏の活動を支援し、私たちのすべての活動分野でUN Womenとの連携を進めるべく、全力を挙げて取り組んでゆきます」

前回の総会議長アル・トレキ氏は、192カ国が参加した第64回国連総会を締めくくる最後の演説で、UN Womenの設立を「ジェンダー平等と女性の地位向上の定着と強化につながりうる歴史的な成果」と評しています。