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開発と女性の役割に関する世界調査報告書2009 国連、女性の経済的エンパワーメントに向けた政策を促す ~男女間の経済・金融資源の不平等分配がもたらす影響を報告書で測定~

プレスリリース 09-061-J 2009年11月10日

“経済に女性が占める地位の大幅な向上は長年の課題であり、しかも現在の金融・経済危機により、その緊急性は増している”。国連は2009年10月26日に発表された『開発における女性の役割に関する世界調査報告書』の中で、このように指摘しています。この報告書は、国連経済社会局が5年ごとに発行しているものです。

「女性による経済資源の統制と小規模金融を含む資金へのアクセス」をテーマとする2009年の調査では、女性が資源をさらに広く利用できるようになれば、貧困の削減や子どもの福祉、さらには経済成長を含め、幅広い開発目標の実現に向けて乗数効果が期待できるとの議論が展開されています。

国連経済社会局長の沙祖康(シャ・ズカン)事務次長は「(ジェンダー差別に)適切に対応すれば、ジェンダーの平等と女性のエンパワーメントだけでなく、経済成長と長期的な繁栄が促される」と述べています。

女性は長い間、経済・金融資源へのアクセスの不平等により、経済開発で男性よりも不利な立場に置かれてきました。労働力への参加率は高まっているにもかかわらず、女性は相対的に、概して不安定で賃金も安く、労働法や社会的保護の適用も受けないインフォーマルな仕事に多く従事しています。国際労働組合総連合によれば、女性の賃金は男性よりも16.5%低くなっています。育児や介護を含む無給労働の負担が相変わらず男女間で不平等になっていることも、女性の労働市場での選択の幅を狭めています。

金融サービスへのアクセスが必要

女性が経済的機会をフルに活用するためには、貯蓄や保険、送金や貸付といった幅広い金融サービスへのアクセスも必要です。多くの女性は依然として、担保物件が必要とされることや、女性に対する貸付リスクが大きいと見られていることにより、フォーマルな金融部門から疎外されています。貧困層がフォーマルな金融システムを利用できない現状に対処すべく生まれたマイクロ・ファイナンス機関は、特に女性が直面する制約に具体的な取り組みを行い、その支援に成果をあげてきました。それでも報告書は、女性のエンパワーメントに対するマイクロ・ファイナンスの効果について、コンセンサスができ上がっていないとしています。マイクロ・ファイナンスは女性起業家による事業の成長と拡大のニーズを満たせていないからです。報告書はまた、マイクロ・ファイナンスが商業化する中で、女性が融資を受けにくくなるおそれがあることも指摘しています。

世界の多くでは、女性が生計戦略を立てていく上で、幅広い生産資源を利用することを必要としています。しかし、女性が差別により、土地や住宅、財産のほか、こうした資源の効果的利用を容易にするために必要なインフラやサービス、技術も利用できない場所が少なくありません。また、社会的保護を通じて提供される経済資源を利用できなければ、世界の多くの女性は高齢、病気、障害、失業その他の生活上の危機から生じる緊急事態に備えることができません。

報告書は、女性の経済的権利が存在する場合でも、権利の行使ができないか、社会文化的な規範や慣行により、女性がこれら権利を主張できないことを強調しています。女性にとって利用しやすく、対応力のある司法制度を整備し、権利の主張を望む女性に法的支援を提供するための取り組みが必要です。

マクロ経済分析は、女性の経済的エンパワーメントに対する構造的な制約に十分取り組めていないばかりか、女性の人的資本を育成、構築することもできていません。これは経済成長に大きく影響します。報告書は、マクロ経済政策が有給、無給労働の男女間の分配不平等を無視していることを、特に懸念すべき点として指摘しています。

報告書は、経済開発と社会開発の相互依存関係、および、主として労働力の養成と維持に主たる責任を担うことが期待されている女性の無給労働によって、労働が「生産」されているという認識を踏まえつつ、ジェンダーに配慮した雇用促進に重点を置く成長戦略の必要性を強調しています。経済成長戦略の策定においては、実体経済を注視し、生産的か再生産的か、有給か無給か、フォーマルかインフォーマルかにかかわらず、経済活動を総体的に考慮するとともに、経済的目標だけでなく社会的目標も盛り込んでいくべきです。

意思決定から疎外される女性

報告書は、意思決定への女性の参加がプラスの影響を及ぼすという証拠があるにもかかわらず、官民双方で資源の分配に影響力を及ぼす重要な意思決定機関に女性が加わっていないことを、懸念事項として指摘しています。政府の省庁や国際機関、企業の取締役会、銀行部門などの最高レベルを含め、あらゆる経済的意思決定の分野で、女性の平等な参加を追求する必要があります。

金融と経済が危機を迎えている今、経済成長戦略を考え直し、女性の経済的エンパワーメントへの関心を高めることは、さらに緊急な課題となっています。危機の影響により、世界各地で女性が直面する課題がさらに深刻化し、ジェンダーの平等に向けて利用できる資源が目減りしかねないからです。景気刺激策では、雇用機会の平等のほか、物理的インフラはもちろん、社会的インフラの整備も目指すべきです。危機の影響を克服するためには、ジェンダーに配慮した予算編成により、男女の平等と女性のエンパワーメントのために十分な資金を確保する必要があります。

さらに詳しい情報は、http://www.un.org/womenwatch/daw/ws2009/ をご覧ください。

メディアのお問い合わせ先:
Danielle Loff-FernandesSibel Selcuk
UN Department of Public InformationUN Division for the Advancement of Women
Email: loff-fernandes@un.org Email: selcuk@un.org
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