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新年のご挨拶 ~ 国連広報センター所長より

2012年01月01日

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

1年半前に国連広報センターに着任した私にとって、昨年2011年は、所長としてまさに、本格始動の年として、当センターの活動を活発化し、ネットワークを広げ、日本の皆さまと国連とのつながりを深めていく年となりました。

この1年間、厳しく困難なこともありましたが、講演やイベントなどで、日本各地を訪れるたびに、多くの皆さまから、国連に対するご支援と励ましのお言葉をいただくことが多くあり、その都度、勇気を得て参りました。国連広報センターを代表し、まずは、この場をお借りして、深く感謝申し上げたいと思います。

2011年を、私たちは多くの歴史的な動きがあった「激動」の年として記憶するのではないでしょうか。何よりも、3.11の東日本大震災は、日本と世界に大きな衝撃を与えました。地震と津波、そして福島第一原発事故を受け、私たちは防災のあり方、エネルギー源としての原子力、復興の方向性など、実に多くの事を考えさせられました。

潘基文(パン・ギムン)事務総長も8月の訪日の際、成田空港から真っ先に福島を訪れ、被災者した多くの方々の話に熱心に耳を傾けると共に、日本語で激励しました。なかでも、高校生に向けた言葉がとても印象に残っています。「日本は必ず復興する力を持っています。皆さんは大変つらい思いをされたわけですが、その経験によって他の人の痛みを誰よりも理解することができるようになりました。その大切な気持ちをぜひ世界にも向けてください」。事務総長は福島の高校生にこう語りかけ、励ましたのです。

震災から得た教訓を様々な視点から考え、また学生ボランティアの生の声を発信することを目指して、国連デー(10月24日)には「復興と新生-東北から世界へ」をテーマに、仙台の東北大学で記念シンポジウムを開きました。被災された多くの方々の痛みを決して忘れることなく、東北の教訓を世界と共有し生かしていく必要が私たちにはあります。日本が新生・復興に向け、新しい力を発揮していくことを、世界が見守っています。

一方で、「アラブの春」と言われる中東・北アフリカでの民主化の動きも2011年の大きな出来事でした。きっかけとなったチュニジアの青年による焼身自殺が2010年の12月。民主化運動はエジプト、リビアに広まり、そのうねりはさらにシリア、イエメン、バーレーンにまで及んでいます。リビア国民の闘いを支えた多国籍軍の軍事行動は、「保護する責任」という新しい概念を盛り込んだ歴史的な国連安全保障理事会(安保理)決議により可能となりました。「保護する責任」は、2005年の国連首脳会合の成果文書に盛り込まれた概念で、国民を保護するべき政府がその能力を失った、あるいは意思がないとわかった場合は、国際社会がその国民を保護する責任があるという考え方です。これら一連の、始まったばかりの民主化運動を、国連をはじめ、世界が全面的に支援していく必要があります。

こうして振り返ってみると、2011年は若者のパワーが際立った1年だったとも言えるのではないでしょうか。アラブの春を主導したのは、若者と、彼らのツールであるソーシャルメディアでした。アラブ世界では人口の6割が25歳以下で、その23%が失業していたとされています。自分たちの将来に深刻な不安を感じ、それが怒り、行動へとつながり、その結果、過去数十年続いた独裁政権が次々と倒されていきました。

将来の不安を感じているのは、アラブの若者ばかりではありません。ヨーロッパやアメリカで広がった「占拠」運動は、将来の展望が見えないことに不満を持った人たちが変化を求めて動き出したものです。国連でも貧困撲滅を目指して多くの変化を促してきました。開発の視点が世界経済に組み入れられ、地球を守りながら進める持続可能な成長。世界の指導者が集う世界経済フォーラムやG8、G20などで、潘事務総長は一貫して次のように唱えてきました。「消費一辺倒の時代は終わり、今こそ持続可能な世界を目指して革命を起こすとき」、「グリーンエコノミーを構築しよう」

こうした観点からも、2012年を展望するにあたって一番の注目は、今年6月にブラジルのリオデジャネイロで開かれる国連持続可能な開発会議(リオ+20)です。これは、20年前に同じ場所で行われた地球サミットで決められた目標がどこまで達成され、この先どうしていくべきなのかを、持続可能な社会という観点から議論するものです。2011年に70億人に達した私たち地球市民が、いかにバランスを取りながら地球と共生していくべきかを、世界のリーダーが話し合います。7つの主要テーマには、エネルギーや防災、雇用など、日本の抱える今日的な課題も含まれます。キーワードの一つが「グリーンエコノミー」ですが、こうした国レベル、地域レベルの枠を超えて取り組まないと解決できない地球規模問題について、世界のフォーラムで日本が何を打ち出せるのか、期待が集まります。こうした分野で活躍してきた日本のNGOや、省エネなど技術を持った企業が日本には数多くあります。日本からの多くの参加を期待しております。

最後に、若い人たちに対するメッセージで新年の挨拶を締めくくりたいと思います。私は長く国連で仕事をしてきましたが、その間、日本に対する尊敬と期待を肌で感じてきました。食文化やポップカルチャーもありますが、それ以上に象徴的なのは、戦後の復興、急成長、そして長年にわたって平和な社会を維持してきたという事実が他国の人々に与える意味の重みです。日本人が考えている以上に、「ジャパン」というブランドを世界は高く評価しています。平和構築や国づくりを大きな課題にしている国々にとって、原爆の惨禍に遭い、第二次世界大戦で敗北しながらも力強く立ち上がった日本の姿は大きな励みになっています。日本の若い人たちには、こうした「ジャパン」の象徴する複数の側面を忘れることなく、自信を持ってほしいと強く感じます。水準の高い教育を受け、文化と伝統も受け継いでいる日本の若い人々には、その素晴らしい財産を世界と分かち合う責任があるのではないでしょうか。日本中から東北に駆けつけたボランティアが被災者の助けとなったように、日本人は世界の助けとなることができるのです。

2012年、世界はさらに多くの課題と直面することになると思われますが、国連はそれぞれの課題に全力で挑戦していきます。地球市民、特に、日本の皆さまの国連に対するご支持、ご支援こそが、私たちのエネルギーの源になります。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

2012年元旦
国際連合広報センター(UNIC)
所長 山下真理
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