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東ティモール、総会の全会一致決定で国連の191番目の加盟国に

プレスリリース 02/095-J 2002年10月22日

57回総会
本会議

GA/10069
2002年9月27日

20回会合(午前)

東ティモール、総会の全会一致決定で国連の191番目の加盟国に

アンゴラ、チリ、パキスタン、ドイツ、スペイン
200311日から安保理理事国に

 総会の全会一致の決定により、東ティモールはけさ、国連の191番目の加盟国となりました。

 東ティモールのシャナナ・グスマン大統領は、国連と国際社会による貢献に感謝の意を表明した上で、同国が無事、独立を達成できた原動力は、その国民であると発言。ティモールの人々は、暴力を拒絶し、民主的かつ市民的にその権利を行使し、将来を見据えて自由を確立することにより、自らが賛辞に値する存在であることを証明したと述べました。グスマン大統領は、すでに今後20年間の発展に向けたビジョンを定め、貧困と非識字を根絶し、万人の生活水準を向上させる必要性に取り組んでいる人々を代表しているのです。

 グスマン氏によれば、東ティモールの人々は、数十年間にわたる独立闘争と苦悩を経て、平和と安定を望んでいます。しかし、平和と安定の雰囲気を醸成できるのは、寛容で公正な社会しかありません。同国は、正義を称え、あらゆる憎悪と復讐の感情を根絶する目的をもって、国民的和解への道を歩みだしました。平和に暮らすことは、東ティモールの運命です。そのためには、調和、寛容および連帯に基づく社会の創設が必要なのです。

 ヤン・カバン総会議長(チェコ共和国)は、国連の新加盟国として東ティモールを歓迎し、今日の成功をもたらす闘争を繰り広げた東ティモール人の勇気と決意を称えました。東ティモールは、21世紀最初の独立国となりました。その独立に到る過程で、国連は不可欠な役割を果たしました。しかし、独立によって国連の東ティモールへの関与が終わるわけではありません。それはむしろ、これまでの成果の足固めと進展を図るべき、新たな段階の始まりを意味するのです。

 東ティモールの国連加盟を承認する決議案を提出したポルトガルのジョゼ・マヌエル・ドゥラン・バロゾ首相は、東ティモールを「人間の精神の勝利」と称しました。東ティモールは、国連に加盟する前から、この国家で構成される家族の一員となってきました。東ティモールの成果は、基本的人権、人間の尊厳と価値、男女同権、および、国の大小を問わず平等な権利に対する信念を新たにするものです。同首相は、ポルトガルが東ティモールに友好の手を差し伸べつづけることを誓いました。

 決議の全会一致での採択に続き、コートジボワール(アフリカ諸国を代理)、イラン(アジア諸国を代理)、ウクライナ(東欧諸国グループを代理)、スリナム(ラテンアメリカ・カリブ海グループを代理)、ポルトガル(西欧その他諸国を代理)および米国(開催国を代理)などの代表が、きょうの東ティモールの国連加盟にあたり、祝辞を述べました。

 オーストラリア、インドネシア、ブラジル(ポルトガル語圏諸国を代理)およびセントルシア(植民地独立付与宣言履行特別委員会議長国)も祝辞を述べ、国際社会のこの新たなメンバーに対する支援を申し出ました。

 その他、けさの会合では、アンゴラ、チリ、パキスタン、ドイツおよびスペインが、2003年1月1日から2年間の任期で、安全保障理事会の非常任理事国に選出されました。

 これら各国は、12月31日に任期切れとなるコロンビア、アイルランド、モーリシャス、ノルウェーおよびシンガポールに代わる理事国となります。ブルガリア、カメルーン、ギニア、メキシコおよびシリアは引き続き、2年間の任期の2年目として、2003年も非常任理事国を務めることになります。

 また、第5委員会(行政と予算)の勧告に従い、総会はコモロ、グルジア、ギニアビサウ、モルドバ共和国、サントメ・プリンシペ、ソマリアおよびタジキスタンに対し、2003年6月30日まで、総会での投票を認めることを決定しました。総会はまた、ブルンジに対し、2003年6月2日に開催予定の次回の分担金委員会実質会期まで、総会での投票を認めることも決定しました。

 総会は10月3日(木曜日)に再び会合を開き、国際合同監視団のメンバー1カ国、および、経済社会理事会のメンバー18カ国を任命することになっています。

背景

 総会はけさの会合で、東ティモール民主共和国の国連加盟承認に関する決議案(文書A/57/L.3)を取り上げました。総会が東ティモールの国連加盟を決定するというのが、この決議案の内容でした。

 決議案の共同提出国となったのは、アフガニスタン、アルバニア、アルジェリア、アンドラ、アンゴラ、アンチグア・バーブーダ、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、バハマ、バングラデシュ、バルバドス、ベリーズ、ブータン、ボリビア、ブラジル、ブルキナファソ、ブルンジ、カンボジア、カメルーン、カーボベルデ、チリ、中国、コロンビア、コートジボワール、クロアチア、キューバ、キプロス、チェコ共和国、朝鮮人民民主主義共和国、コンゴ民主共和国、デンマーク、エクアドル、エジプト、赤道ギニア、エリトリア、エストニア、エチオピア、フィジー、フィンランド、フランス、ガボン、ドイツ、ギリシア、グアテマラ、ギニア、ガイアナ、アイスランド、インド、インドネシア、イラン、アイルランド、イスラエル、イタリア、日本、ヨルダン、カザフスタン、ケニア、クウェート、キルギスタン、ラオス人民民主共和国、ラトビア、レバノン、リベリア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マダガスカル、マレーシア、モルジブ、マリ、マルタ、モーリタニア、モーリシャス、メキシコ、モナコ、モンゴル、モザンビーク、ミャンマー、ナミビア、ナウル、ネパール、オランダ、ニュージーランド、ニカラグア、ニジェール、ノルウェー、オマーン、パキスタン、パナマ、パプア・ニューギニア、パラグアイ、ペルー、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、カタール、韓国、モルドバ共和国、ルーマニア、ロシア連邦、セントルシア、セントビンセントおよびグレナディーン諸島、サモア、サンマリノ、セネガル、セーシェル、シエラレオネ、シンガポール、スロバキア、スロベニア、ソロモン諸島、南アフリカ、スペイン、スリランカ、スリナム、スウェーデン、スイス、シリア、タイ、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国、トリニダード・トバゴ、チュニジア、ウガンダ、ウクライナ、アラブ首長国連邦、英国、タンザニア連合共和国、米国、ウルグアイ、ウズベキスタン、ベトナム、イエメン、ユーゴスラビアおよびザンビアでした。

 また、国際連合の支出配分のための分担率に関する第5委員会報告書(文書A/57/429)も取り上げられました。この中には、総会による採択が勧告される決議案が含まれていました。決議案の規定によれば、総会は、コモロ、グルジア、ギニアビサウ、モルドバ共和国、サントメ・プリンシペ、ソマリアおよびタジキスタンに対し、2003年6月30日まで、総会での投票を認める決定を下すことになっていました。総会はまた、ブルンジに対し、2003年6月2日から開催予定の次回の分担金委員会実質会期まで、総会での投票を認める決定を下すことになっていました。

発言

 東ティモールの国連加盟を承認する決議案(文書A/57/L.3)を提出したポルトガルのジョゼ・マヌエル・ドゥラン・バロゾ首相は、東ティモールを「人間の精神の勝利」として称賛しました。同国はまだ、国連に加盟しようとしている段階に過ぎないにもかかわらず、しばらく前から、国家の家族の一員となってきたのです。

 同氏は、東ティモールの成果が、基本的人権、人間の尊厳と価値、男女同権、および、国の大小を問わず平等な権利に対する信念を新たにするものだと発言。国連の東ティモールにおける役割を称えるとともに、総会が果たした役割も称賛しました。

 「ポルトガルは、ブラジリア・サミット以来、ポルトガル語圏内での結びつきも深めている東ティモールに対し、友好の手を差し伸べつづける所存だ」と同氏は誓い、「国連の東ティモールでの活動、および、独立以前にまでさかのぼる二国間協力には、数千人のポルトガル人が従事している」と述べました。

 バロゾ首相は、東ティモール国民を代弁できて極めて光栄だとしました。決議案の提出後、同氏は東ティモールの国連加盟を歓迎する言葉を述べました。

 総会議長のヤン・カバン氏(チェコ共和国)は、東ティモールを最新の国連加盟国として歓迎しました。カバン議長は、東ティモールの大統領、外務大臣、および、今日に到る成果をもたらした闘争を繰り広げたその他の人々の勇気と決意に敬意を表しました。

 同氏は、東ティモールが21世紀最初の独立国であることを指摘。東ティモールの独立への道は容易ではなかったものの、同国とその国民は見事に成功を収めたと述べました。独立プロセスの中で、国連は不可欠な役割を演じました。国連東ティモール支援団(UNAMET)および国連東ティモール暫定行政機構(UNTAET)は、数多くの困難と障壁に直面しながらも、東ティモールが独立の主権国家としての地位を達成するための援助に国連が参加する道を切り開きました。安全保障理事会と国連は、緊急課題に迅速かつ断固として対応する能力を実証したのです。

 しかし、カバン議長によれば、独立によって国連の東ティモールへの関与が終わるわけではありません。それはむしろ、これまでの成果の足固めと進展を図るべき、新たな段階の始まりを意味するのです。国連東ティモール支援ミッション(UNMISET)の結成は、この継続的関与の好例です。国連とその加盟国は、東ティモールと周辺地域による積み残された課題への取組みを助ける支援の増大を準備すべきです。例えば、東ティモールには、継続的援助の必要性をなくすために十分な収入を確保するため、有効に機能するインフラを整備する必要があるでしょう。

 ジョン・ドース氏(オーストラリア)は、東ティモールが今日ここにあるのは、何よりも、東ティモール国民の強さと勇気を証明するものだと述べました。それはまた、国連の類を見ない活動の成果でもあります。「このことは、国連にとって大きなサクセス・ストーリーとなりました。」オーストラリアは、UNMISETの枠内で、また、友好国およびパートナーとして、その役割を果たしつづける所存です。オーストラリアと東ティモールは、永遠の隣国となることでしょう。

 モチャマド・スラメット・ヒダヤット氏(インドネシア)は、4ヵ月前、東ティモール独立の前夜に、メガワティ・スカルノプトリ大統領がディリを訪れ、両国間の新しい将来性のある関係の足固めに助力したと述べました。同様に、7月初旬のシャナナ・グスマン大統領によるジャカルタ公式訪問は、この連携の強化に大きく貢献しました。

 同氏によれば、この2回の画期的な訪問以来、両国は和解とパートナーシップの道を歩み出しましたが、具体的な相互に利益をもたらす成果の増大は、このことを物語っています。このような成果の一つとして、共同委員会の設置があげられますが、これは、対話を通じて関連問題を話し合い、共通の関心事項に対する相互利益的な回答を模索するためのフォーラムです。このようなステップは、インドネシアと東ティモールの二国間および地域的関係を強化する具体的な数多くの取組みの一環であり、将来にとっての良い兆しとなるものです。目標をともにする将来の構築に向けて踏み出した両国の指導者と国民の勇気は、称賛されてしかるべきものです。

 しかし、同氏はさらに、東ティモールの国民が、特に能力建設、教育、保健、および、その他基本的サービスに関し、気の遠くなるような課題に直面しているとも述べ、インドネシアには、南南協力を通じたものも含め、このための援助を提供する用意があるとしました。

 ジェルソン・フォンセカ氏(ブラジル)は、ポルトガル圏諸国を代理し、東ティモール国民が「勇敢な」人々であり、その民族自決への闘争は「英雄的」だったと形容しました。同氏は、東ティモールの国連加盟が、国連のもたらしたサクセス・ストーリーのさらなる1ページであると述べました。

 この機会が国連にとって特別な瞬間だとした上で、同氏は、このことが、国家共同体の前途に控える諸課題、特に多角的経路を通じてのみ十分に取り組むことができる課題の解決にとって有効な手段として、国連に寄せられた希望と期待を新たにするものだと述べました。

 東ティモールの独立実現において国連が果たした役割は、政治的意志を結集させ、必要な資金と人材を活用すれば、国連が何を達成し得るかを如実に示すものでした。この例は、残されたその他の国際的課題の解決にも、着想を与えるものとなるでしょう。

 同氏はまた、東ティモールに対する援助の継続を呼びかけました。「この意味で、雇用創出プロジェクトの実施を継続し、国際援助の流入を維持し、持続可能な開発に向けた条件を整備することは、一層急務となっています。」

 アール・ハントリー氏(セントルシア)は、24カ国特別委員会を代表し、同委員会において非植民地化を進めようとした東ティモールの努力を想起しました。同氏は、東ティモールの今後の貢献もまた、国連の活動を豊かなものにしていくだろうとの期待を表明しました。

 ハントリー氏の発言は、まだ独立を達成していない国々の政治的な行く末に重点を置いたものでしたが、その中で同氏は、東ティモールがまだ草創期にあり、持続可能な開発のための諸条件を整備する上で援助を必要としていることを指摘しました。東ティモールの独立達成を援助したのと同様に、国際社会と国連は今、同国の発展のプロセスを支援しなければならないのです。

 同氏は、東ティモールが達成した地位を、未独立のその他の国々にも期待しました。21世紀には植民地主義の余地があってはならないとする事務総長の言葉を引用し、ハントリー氏は、残存する非自治地域の規模が小さく、このために忘れ去られる危険性がある中で、これら地域がその民族自決権を平和的に行使することを妨げるべきではないと述べました。

 同氏は、「もっとも重要視しなければならないのは、これら地域の人々が自由に表現した希望と利益が、その将来の統治形態を決定する上で常に優先されなければならないということだ」と発言。それ以外の対処を行えば、紛争の種をまくことになろうと述べました。

 東ティモールのシャナナ・グスマン大統領は自らを、今後20年の開発に向けたビジョンをすでに固め、貧困と非識字を根絶し、万人の生活水準を向上させる必要性に取り組む人々の代表だとしました。経済と社会の発展の前提条件としての初歩的な民主主義基盤の必要性を認識しながら、東ティモール国民は、地方自治体レベルで参加型民主主義を構築し、社会的正義と市民の権利を確保することを目指しています。

 グスマン氏によれば、東ティモール国民は、数十年間に及ぶ独立闘争と苦悩を経て、平和と安定を切望しています。しかし、平和と安定の雰囲気を醸成できるのは、寛容で公正な社会を置いて他にありません。よって、中東における暴力の激化は憂慮すべき事態といえます。パレスチナ人民には、民族自決、独立、平和および尊厳を手に入れる権利があります。その権利を拒絶することは、道徳的にも倫理的にも不当です。東ティモールは、イスラエルと外交関係を樹立したのと同様、パレスチナ国家を承認し、パレスチナ人民の正当な政権と外交関係を樹立する所存です。

 グスマン氏は、西サハラ情勢も憂慮すべき状況にあると発言。国連がサハラ人の民族自決権を、東ティモールに同じ権利を認める8年前に承認していることを指摘した上で、同氏は、西サハラにおける民族自決のための住民投票を実施する国連の計画を再開するよう、強く促しました。東ティモール国民はまた、アフガニスタンおよびハミド・カルザイ大統領との連帯も表明しています。

 同氏によれば、東ティモールは、問題、利点および背景を共にする開発途上国グループ内での参加を増大させる必要があります。太平洋諸国とのつながりも深いものの、東ティモールは地理的にアジアに近く、アジア地域の一員であることを誇りに感じており、同国の再建を援助したのもアジアの国々でした。グスマン氏はまた、東ティモールが最近、ポルトガル語圏諸国共同体に加わったと述べました。

 同氏は、文化的・宗教的不寛容、テロリズム、ならびに、人身、薬物および武器の密売に反対することを公約しつつ、東ティモールは、国際社会と手を携え、民主化、市民的・政治的権利の尊重、および、よい統治に向けて取り組むことを公約し、世界人口の過半数を苦しめている惨状、飢餓および病気に対処してゆくと述べました。東ティモールは、正義を守り、あらゆる憎悪と復讐の感情を根絶する意図をもって、国民的和解への道を進み始めています。東ティモールは平和に暮らす運命にあります。このためには、調和、寛容および連帯に基づく社会を築き上げる必要があるのです。

 グスマン氏によれば、東ティモール政府は、国際的な公約を守り、関連する諸条約の署名国となることが、国民の最大の利益であることを認識しています。マウベレ人は、社会と経済の発展、その文化と伝統の強化、ならびに、世界のあらゆる民族との対話、協力および友好の政策への積極的関与を公約しています。東ティモール国民は、平和が世界を支配する未来を信じています。グスマン氏はこの意味で、毎年921日から27日を「世界平和週間」と宣言する提案を出しました。

 最後に、国連と国際社会の貢献に感謝の意を表しながら、同氏は、東ティモールが独立にこぎつけた核心的要素は、その国民にあると述べました。東ティモールの人々は、暴力を拒絶し、民主的かつ市民的にその権利を行使し、将来を見据えて自由を確立することにより、自らが賛辞に値する存在であることを証明したのです。

総会は次に、安全保障理事会非常任理事国5カ国の選出に移りました。

選挙

 5カ国の非常任理事国は、アフリカおよびアジアから2カ国、ラテンアメリカ・カリブ海から1カ国、および、西欧その他諸国から2カ国が選出されることになっていました。また、アジアおよびアフリカから選出される2カ国については、1カ国がアフリカ、もう1カ国がアジアから選出されるという了解がありました。

 会合は午前1145分に中断し、午後1225分に再開しました。

 投票の結果は次のようになりました。

アフリカおよびアジア諸国

投票用紙数:183
無効投票数:0
有効投票数:183
棄権:1
投票加盟国数:182
必要過半数:122

得票数:

アンゴラ 181
パキスタン 172
インド 1

ラテンアメリカ・カリブ海諸国

投票用紙数:183
無効投票数:0
有効投票数:183
棄権:5
投票加盟国数:178
必要過半数:119

得票数:

チリ 178

西欧その他諸国

投票用紙数:183
無効投票数:0
有効投票数:183
棄権:0
投票加盟国数:183
必要過半数:122

得票数:

ドイツ 180
スペイン 180

 3
分の2の必要過半数を獲得したアンゴラ、パキスタン、チリ、ドイツおよびスペインは、200311日から2年間の任期で、安全保障理事会理事国に選出されました。

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GA/10069