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GCに関する記者会見(ニューヨーク、2004年6月16日)

プレスリリース 04/048-J 2004年06月16日

- 6月9日、ニューヨーク国連本部にて -

 

グローバル・コンパクト(GC)事務所のギオルク・ケル所長は6月9日、国連本部で記者会見を開き、コフィー・アナン国連事務総長が6月24日、国連本部で「グローバル・コンパクト・リーダーズ・サミット」を招集すると発表しました。企業の最高経営責任者(CEO)、政府高官、さらには市民社会と労働運動の指導者が一堂に会するこのサミットは、企業責任という問題に関するこれまでで最大規模の会議となります。

サミット参加者は、GCイニシアチブの進捗状況を審査し、今後の道のりを明らかにすることになります。2000年7月に事務総長が発足させて以来、GCは目覚しい成長を遂げてきました。国際的な労働組織と市民社会団体に加え、1,400社を超える企業が参加するGCは、企業責任に関するものとしては世界最大の自主的イニシアチブとなりました。

記者会見にはケル氏のほか、アナン国連事務総長のGC担当特別顧問であるジョン・ラギー氏と、GCに関する包括的調査報告書を作成したマッキンゼー社のレス・シルバーマン部長も出席しました。

ラギー氏は、企業責任に関する自主的イニシアチブについて、外部の中立的第三者が体系的かつ詳細な分析を行ったのはこれがはじめてであることを指摘。GCの主眼は引き続き、人権、労働基準および環境の持続可能性という分野での国連原則の実施に企業を参加させることにあると述べました。

ラギー氏によれば、「企業の社会的責任に関する星のように数限りないイニシアチブ」の中で、GCを際立たせているのは、企業の半数が開発途上地域から参加しているという事実です。また、GCの活動とネットワークは各国レベルで広がっていますが、その3分の2は開発途上国でのものです。GCの影響は、多国籍企業だけでなく、開発途上国の一般市民や民間セクターにも及んでいるのです。

GCが体現するのは、人権、労働基準および環境の持続可能性という分野で政府自身が支持してきた普遍的原則である、とラギー氏は説明。サミットの目的は、GCの4年間の歩みを検証し、経験を分かち合い、さらなる前進のための新たな戦略的理念を策定、提示することにあるとしました。

シルバーマン氏は、マッキンゼー社が作成したGCに関する包括的な報告書『グローバル・コンパクトの影響評価(Assessing the Global Compact’s Impact)』について詳しく説明。報告書は、外部の観測筋や批判者だけでなく、GC参加者を含む幅広いステークホルダー(利害関係者)を対象とする詳しいデータ分析やインタビュー、調査に基づくものだと述べました。

シルバーマン氏によれば、GCが最終的に目指すインクルーシブ(包括的)なグローバル化は、企業世界の多くで数量化が困難な目標です。調査では、GC事務所との協力により、参加企業内でのGC原則の採用状況と、企業との協力という点での市民社会、政府および国連への影響を検討しました。

ケル氏は調査の要点をまとめ、基本的にはよい結果が出ており、GCが3つの点で体系的な変革に貢献したという証明が得られたと述べました。すなわち第1に、多くの参加企業(回答者の67%)は、社内の方針転換に着手しています。また、GCは企業のCEOや取締役会に対し、株式公開によって内部の変革推進者を育成するよう求めています。開発途上地域の企業には、企業責任にはじめて取り組むものも多くありましたが、中でも人権は最大の課題となっています。

また、ケル氏によれば、環境や職場の問題と比べて、企業の人権への取り組みには大きな遅れが見られます。「大事なこと」は、CEOや企業に対して、人権は自分たちには関係なく、政府の仕事だという主張が今日の世界ではもはや通用しないことを理解してもらうことです。財界指導者にとっての選択肢は、人権侵害が起こりかねない状況を壁の上からただ眺めているか、現場に下りていって、事前の防止策を探るかの2つに1つです。最近では人権問題について、事前防止のスタンスを取る企業が増えてきています。が、人権は未開拓の分野であり、これを企業人の「DNA」に組み入れることは、GCにとって比較的新しい要素といえます。

ケル氏はさらに続けて、国連システムの中でも、実業界全体との関係を再構築するための変革が行われていると発言。ミレニアム開発目標(MDGs)をはじめとする国連の目標達成を支援するプロジェクトが数十件実施されているとしました。しかし、この勢いをさらに持続させるためには、その焦点を絞り、前進の方向性を慎重に見極める必要があることを、調査ははっきりと認識しています。「行く手には大きな問題が控えている」とケル氏は語り、サミットではこれについて、さらに活発な意見が出されると見られるものの、真の意味でグローバルなイニシアチブを前進させるための組織としての支援構造は、全体としてはまだ見えていない、との考えを示しました。

ケル氏は付け加えて、GCの取り組みを支えてきた小さな事務所は、あまりサービスを重視せず、チャンスを効果的に活用できていないとの報告書の認識は的を射ているとして、「GCはいわば継続的な実験に止まっている」と発言。今の勢いを持続させることが課題となるのは明らかだとしました。

ケル氏は質問に答え、変革を加速したことは、GCの重大な貢献だと指摘。アンケートに回答した企業の一部で、まったく変革が起きていないことには2つの理由があると述べました。第1の理由としては、GC参加企業の半数は参加1年足らずだという事情があげられます。トップの公約が組織の変化となって現れるのには時間がかかるからです。

ケル氏は第2の理由として、GCの重大な貢献はその変革の加速にあるという点を改めて指摘。GCは組織内の変革推進者に対し、人権、労働基準、環境、腐敗対策などの問題への取り組みを前進させる力を与えていると述べました。すべきことはまだ多く残っています。

ラギー氏はこれに付け加えて、2003年以降に参加した企業が660社程度あるため、このような短期間でGCを取り込むことは期待し得ないと指摘。その多くは開発途上国の企業であり、長期的にはここで大きな成果が期待できるとしました。開発途上地域の企業の圧倒的多数は、企業責任に関するイニシアチブへの参加がまったく初めてであり、GCへの参加を通じて、企業責任とは何かを学び、自国の他社との差別化を図りたいと回答しています。

北米からの参加企業の割合が低いのはなぜかとの質問に対し、ラギー氏はGCが他の企業市民イニシアチブと何ら変わらないことを指摘。主として訴訟の恐れから、同様のイニシアチブでも北米企業の参加率は低いとしつつ、「地球上でこれほど訴訟の多い社会は、他に見当たらない」と述べました。

ケル氏は付け加えて、GAPをはじめとする多数の米国企業が最近になってGCに参加していることを指摘し、「前途は極めて明るい」と語りました。

サミットに何を期待するかとの質問に対し、ラギー氏は、GCが過去数年間、新たなチャンスが出てくるたびにこれを捉えるという「極めて日和見的」な性格を持っていたとのマッキンゼー報告書の評価を指摘。戦略性を高め、重要な優先的機会のいくつかに集中的に資源を投入する必要があると述べました。報告書はまた、原則の普遍性、および、開発途上国における理解の高さこそが、GCの大きな比較優位ではないかとしています。グローバルとローカルの連携をさらに重視し、新たな戦略的理念にこれを組み込む必要があるでしょう。

ケル氏によれば、マッキンゼーの調査では、GCの取り組みの中に、大きな付加価値を持たず、変革の促進をあまり期待できないものがあるとの結果も出ています。よって、再検討を行う必要性がありますが、サミットはこれに関する優先順位の設定に役立つものと期待できます。

なぜ企業の参加があるのかという質問に対し、ケル氏は、社会が繁栄しなければ事業も存続し得ないとの認識があると回答。健全な社会は、長期的投資を長期的に持続可能とするための前提条件だと述べました。

ラギー氏は、企業が行っている戦略的スタンスを強調。企業の社会的責任の諸課題に関わるグローバル企業の中には、社会的、環境的側面を含めた企業リスク管理を理念として開発するものが増えていると述べました。こうした企業は、社会的リスクの検討と、社内でより幅広いリスク管理理念を主流にしようと努めています。

「企業が突如として軟化したわけではない」とラギー氏は語ります。人道問題の中にも、戦略と業績に実質的インパクトを与えかねない側面があることを企業は発見しています。よって、リスク管理と同じやり方で、これを取り込む必要があるのです。企業が突如として聖人と化したわけではありません。

別の質問に対し、ケル氏は、GCが企業と社会の関係を再び活性化させたと回答。開発途上国の視点から見れば、これには多くの理由があると述べました。第1に、供給者になりたいという視点があります。つまり、これらの問題が消費市場で重要であるということを知っているわけです。また、これを競争力の問題として捉える企業も多くあります。極めて貧しい国々のなかには、GCが主として、企業に貧困対策への貢献を促すものと捉えられています。

本サミットについての詳細は、国連本部発行の記事資料ECO/64とその日本語訳(非公式訳)をご覧ください。

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