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国連事務総長の年次報告書:ミレニアム宣言の実施
~平和維持活動は新たな高みへ~

プレスリリース 04/082-J 2004年09月14日

国連平和維持活動はその件数においても、規模においても、過去最高の水準に近づきつつあり、紛争解決への見通しが改善する一方で、能力の分散が生じている - コフィー・アナン国連事務総長は2004年9月7日、総会への報告でこのように述べました。

2000年のミレニアム宣言実施に関する事務総長の年次報告書は、「2004年に入ってからの国連の平和維持活動に対する需要の急速な高まりは、1990年代に活動の規模と複雑性が急速に増して以来、もっとも大きな課題を投げかけている」ことを指摘しています。

国連は現在、平和維持に対する本部からの支援を強化し、17件の活動を実施中です。その対象にはアフガニスタン、エチオピアとエリトリア、グルジア、コソボなど、政治情勢が複雑かつ不安定な国々も含まれています。シエラレオネの国連部隊は、政府による平和確立に対する支援を終え、撤退を始めています。東ティモールでも、独立に貢献した国連平和維持軍が計画どおり、その規模を縮小しています。

この1年間ではリベリア、コートジボワール、ハイチおよびブルンジについて新たな平和維持活動が承認されたほか、スーダンでも大規模な展開を行う計画が進んでいます。事務総長はまた、コンゴ民主共和国の平和維持活動を大幅に強化し、和平プロセスの逆行を防ごうとしています。

事務総長は、平和維持活動への需要急増に対処するため、2004年前半に展開済みの5万人あまりに加え、さらに3万人以上の制服要員が必要と予測しています。国連平和維持活動局によれば、その場合、国連平和維持部隊の軍事要員と文民警察は、1993年の78,000人を超え、過去最大の規模に達する可能性があります。

 

国連平和維持活動-需要の増大 展開中の国連平和維持活動の主要年別制服要員数(兵員、軍事監視員および文民警察) 出所:国連平和維持活動局 / 作成:国連広報局(DPI) - DPI/2363-B

 

●拡大は資源供出が前提
アナン事務総長は、平和維持活動への需要増を新たな平和のチャンス到来を示すものとして歓迎する一方で、そのためには政治的、財政的、物質的、人的資源の供出が必要であることを指摘。どの活動についても、明確な撤退戦略が不可欠だとしています。

国連は途上国にも先進国にも同様に、平和維持への支援を求めていることを事務総長は強調。部隊を確保することは可能かもしれないが、高度な戦術を用いた航空支援や現地での救護施設など、専門的軍事能力には大きな格差があると指摘しています。また、フランス語を話す警察官が不足していること、および、平和維持活動向けの戦略備蓄が不足する恐れがあることにも警鐘を鳴らしています。

事務総長はまた、現地機関との着実な連携を続け、持続可能な経済発展とよい統治を促進するとともに、法治を確立する必要性も指摘しています。

「国際社会は、国際の平和と安全の維持から貿易の管理、人権の保護に至るまでのあらゆる領域で、国際的な法治を尊重、堅持する必要性を意識しなければならない」と事務総長は報告書で述べています。同報告書は、2000年9月にニューヨークで開催されたミレニアム・サミットで各国首脳が合意した目標について、毎年、進捗状況を評価する役割を果たしています。

報告書はさらに、2003年9月の「国連国際組織犯罪防止条約」の採択と82カ国による署名、さらには2003年12月のメリダ(メキシコ)における「国連腐敗防止条約」の採択と署名式により、薬物と越境犯罪へのグローバルな対策が強化されたと述べています。

報告書によれば、組織犯罪は今日、かつての「一家」やカルテルといった階層構造を弱め、複雑な財閥的様相を呈するようになっています。犯罪捜査の多様化と機構の分散により、法執行には困難が生じています。犯罪ネットワークはこうした中で、内戦や政治不安に付け込んだり、テロ組織と手を組んだりしているのです。

また、報告書によれば、自然災害の頻度と、その貧困層および弱者層への影響はともに増大していると見られます。2003年だけでも、バムやアルジェリアの地震など、700件の自然災害で75,000人が命を失っています。6億人に被害が及び、経済的損失は合計で650億ドルを超えるものと見られます。海面上昇、気温と降雨量の較差増大、農業生産パターンの変化など、多くの動きを見ると、危険はこれからも続く可能性があります。

幸いなことに、国際社会は災害予防とリスク軽減のための新戦略を適用しています。7月の南アジアでの洪水は、広範な被害を及ぼしたものの、現地での備えと対応能力の高まりにより、これまでの洪水ほどの破壊的影響は見られませんでした。「アフリカの角」地域では、食糧安全保障に対する構造的障害への取り組みがあったため、2002年から続いた干ばつでも深刻な飢饉は生じませんでした。

事務総長の年次報告書では、ミレニアム開発目標達成に向けた進歩が一様ではないとの評価も下されています(関連のプレスリリースを参照)。

詳しくは下記にお問い合わせください。

Susan Manuel
Peace and Security Section, UN Department of Public Information
電話:(1-212) 963-1262
Eメール:manuels@un.org

作成:国連広報局(DPI)DPI/2363-D