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コフィー・アナン国連事務総長、
より安全な世界と国連の強化に関する提言を歓迎

プレスリリース 04/104-J 2004年12月03日

ニューヨークの国連本部において12月2日、アナン・パニャラチュン元首相(タイ)が座長を務める独立パネルは、世界で新たに生じつつある脅威への対処に関する待望の報告書を提出。これを受け、国連のアナン事務総長は同日、報告書に対する強い支持を表明しました。

「より幅広く包括的な集団安全保障体制を求める主張を、私は全面的に支持します。それは新旧の脅威に対処するとともに、貧富や大小を問わず、すべての加盟国が直面する安全保障上の懸念に取り組むものだからです」。パネルによる報告書「より安全な世界:私たちに共通の責任(A more secure world: Our shared responsibility)」を国連総会に送付し、その検討と対応を求める書簡の中で、アナン事務総長はこのように述べています。

事務総長はさらに、「報告書は国連にとって、その刷新と再生を図るための絶好の機会を与えるものです」と語り、自らの権限内に入る具体的提言はすぐに検討し、実施に移すことを約束。他の国連機関にも同じ対応を求めました。

事務総長は特に、新たな包括的テロ対策を率先して促進すること、そして、自らのビジョンを明らかにして、年明けには各国政府による検討を求めることを公約しています。

元国家元首や外務大臣、安全保障担当者、軍関係者、外交官、さらには開発担当者16人からなるパネルは、攻撃が差し迫っている場合の先制攻撃を含めた国家の自衛権を再確認。大量破壊兵器がテロリストの手に渡った場合など「悪夢のシナリオ」が現実のものとなった場合、国連安全保障理事会がこれまでよりも早期かつ事前に決定的な行動を起こす必要も生じうるとしています。

武力行使のルールなど「国連の根幹に関わる」問題について、事務総長は、来年9月に予定されている国連特別サミットで世界の指導者が決定を下すべきだと述べ、次のように付け加えています。「集団安全保障体制を刷新するうえで、この問題に関する新たなコンセンサスの重要性はとても語り尽くせません」

アナン事務総長は来年3月、パネルの提言を盛り込んだ独自の報告書を提出する予定です。この報告書は、2005年の国連ミレニアム宣言の実施に関するサミットの議題を定めるにあたって、たたき台となるものです。
脅威が絡み合う危険な世界
「現代の安全に対する脅威は互いに絡み合っているという認識が必要というパネルの主張は、特に重要です」。事務総長は書簡でこのように述べています。「テロや内戦、極端な貧困などの問題を別々に取り扱うことはできません」

事務総長はさらに、開発が集団安全保障に「不可欠な基盤」であり、貧困や疫病の根絶はより安全な世界を作る取り組みに必要な要素だとするパネルの見解にも賛同。「市民の安全をよりよい形で守ってゆくためには、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成に十分な関心を向け、必要な資源を確保することが欠かせない」と述べています。

事務総長はその他「脅威・挑戦・変化に関するハイレベル・パネル」の報告書から、次のような結論を引き出しています。

  • 人権と法の支配を尊重し、効果的で理に適ったテロ対策戦略を進めるため、国連はさらに取り組みを行う必要あり。今までのところ、加盟国がテロの定義に合意できないことが障害の一つ。パネルが提示した定義は有意義なコンセンサスの形成を促進。
  • パネルが提言したように、グローバルからローカルまで、あらゆるレベルで公衆衛生の再建に力を入れれば、病気の蔓延を防ぐだけでなく、生物テロに備える意味でも効果あり。
  • 加盟国に対しては、予防措置で武力紛争を回避できなかった場合、制裁と調停の改善に関するパネルの提言を前向きに検討するよう呼びかける。
  • パネルが指摘するとおり、世界の核不拡散体制は不安定な状態にある。パネルの提言は国家、非国家主体双方による核攻撃の恐れを小さくできる可能性を秘めており、早急な対応が必要。
  • パネルは21世紀の国連のビジョンを提示し、各主要機関の改革を提言。安全保障理事会改革の必要性を含め、これらの問題点は事務総長による改革への取り組みでも検討の対象。パネルが安保理拡大の代替的案を示したことで、2005年には議論と決定が促進されるはず。

パネルの報告書を総会に提出するに当たり、アナン事務総長は、この報告書が「新世紀の緊急課題のいくつかに答えるうえで大きな一歩となるだろう」との期待を表明しました。

「脅威・挑戦・変化に関するハイレベル・パネル」には座長のほか、ロベール・バダンテール(フランス)、グロ・ハーレム・ブルントラント(ノルウェー)、メアリー・チネリー=ヘス(ガーナ)、ガレス・エバンス(オーストラリア)、デイビッド・ハネー(英国)、エンリケ・イグレシアス(ウルグアイ)、アムル・ムーサ(エジプト)、サティシュ・ナンビアール(インド)、緒方貞子(日本)、エブゲニー・M・プリマコフ(ロシア)、銭其シン(中国)、ナフィス・サディク(パキスタン)、サリム・アハメド・サリム(タンザニア)、ブレント・スコウクロフト(米国)、ジョアン・バエナ・ソアレス(ブラジル)の各氏も参加。調査と研究書の編纂はスタンフォード大学のスティーブン・ステッドマン教授が担当しました。