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人権デー(12月10日)に寄せる
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ

プレスリリース 05/099-J 2005年12月09日

世界人権宣言があらゆる形態の拷問や残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰を禁止してから57年が過ぎました。しかし許し難いことに、拷問は今でも幅広く行われています。最近では、国家安全保障の立場から拷問禁止の例外を主張する国が現れるなど、特に不穏な動きが見られます。

拷問がテロ対策の手段となることはありえません。なぜなら、拷問そのものがテロの手段だからです。この点は明らかにしておきましょう。

拷問の禁止は、国際法でしっかりと確立されています。それは疑う余地のない、絶対的な原則でもあります。この原則は支配権あるいは実効的支配権が及ぶすべての地域において、あらゆる国々を拘束します。また、戦時、平時を問わず、あらゆる状況で適用されます。もちろん、別の名前で呼ばれたからといって、拷問が許されるわけではありません。どのような名前で呼ぼうとも、残虐で非人道的な取り扱いは違法で、受け入れることなどできないのです。

各国は拷問禁止の原則に厳密に従い、拷問の実行犯が処罰を逃れることのないよう、全力を尽くさなければなりません。何らかの形態の拷問や、その他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いを考案したか、これを許可した者、そして、このような行為を働いた者は、必ず処罰すべきです。また、いかなる国も第三者による拷問を黙認してはなりません。つまり、いかなる個人も、拷問を受けるおそれがある国に引き渡してはならないのです。

国際社会は声を一つにして、あらゆる形態の拷問を許さないという強い意志を示さなければなりません。私はきょう、「拷問およびその他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰を禁止する条約」とその選択議定書を批准していない国々に対し、これを行うよう呼びかけたいと思います。そして、国連の拷問問題特別報告者がそれぞれの支配下にある抑留者と面談することを認めるよう、すべての国々に求めたいと思います。抑留者は隔離されていることで、特に拷問を受けやすいため、こうした人々を保護するためには、無条件での面会が欠かせないのです。私たちはともに、虐待を受けた抑留者だけでなく、すべての拷問の犠牲者と生存者にも発言権を与え、その救済を図らなければなりません。

人類は今、大きな課題に直面しています。テロの脅威は目に見える形で迫っています。それでも、テロリストに対する恐怖を理由に、これと同じ手段を用いても構わないということにはなりません。また、残虐で非人道的な処罰の広がりを見過ごすわけにもゆきません。多くの社会で、こうした処罰は受刑者、政治的に非力な人々、経済的に困窮した人々など、最弱者層をねらい打ちしているからです。私たちはその代わりに、人類のもっとも基本的な価値観を再確認することで、どこで発覚しようとも、この悪に立ち向かわなければならないのです。

きょうの人権デーにあたり、世界人権宣言の原則を守り抜くことを改めて約束するとともに、拷問の惨禍を地球上から一掃するという決意を新たにしようではありませんか。