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第80回国連総会での アントニオ・グテーレス国連事務総長演説 (ニューヨーク、2025年9月23日)

プレスリリース 25-067-J 2025年10月17日

©UN Photo

まず、この議場でこれまであまり使う機会に恵まれなかったこの言葉から始めさせていただきます。

総会議長(“マダム” プレジデント)、

そして各国代表の方々、

皆様、

80年前、戦争で焼け野原となった世界で、指導者たちは選択をしました。

混乱ではなく、協力を。

無法状態ではなく、法を。

紛争ではなく、平和を。

その選択が、国連に命を与えました。完璧を求める夢想ではなく、人類の生存のための現実的な戦略として。

創設者たちの多くは、死の収容所での地獄や戦争の恐怖を直接目にしていました。

彼らは、真のリーダーシップとは、そのような恐怖が繰り返されることを防止するシステムを生み出すことだと知っていました。

紛争や第三次世界大戦の戦火に対する防火壁を。

主権国家が対話や協力を追求できる場を。

そして、「私たちは皆、同じ共同体の一員である」という人類の本質的な真理を明確に肯定していくことを。

この総会議場は、その真理の鼓動そのものです。

世界の指導者たちが何十年にもわたって、この唯一無二の演壇に集ってきた理由はここにあります。

皆様が今日、ここにいらっしゃるのもそうです。

なぜなら国連は、その役割が最大限発揮されるとき、単なる会議場以上の存在となるらです。

それは、道徳的な羅針盤であり、

平和と平和維持のための力であり、

国際法の守護者であり、

持続可能な開発を促進する力であり、

危機に直面している人々の命綱であり、

人権を導く灯台であり、

加盟国である皆様の意思を、行動へと変える中心的存在なのです。

80年を経て、私たちは再び、国連の創設者たちがかつて直面した問いに向き合っています。しかも、より切迫した、より絡み合った、より容赦のない形で。

私たちは、共にどのような世界を築くことを選択するのか。

皆様、

国連は、多くの困難な仕事を抱えていますが、その仕事を遂行する能力を奪われつつあります。

私たちは、無謀な混乱と絶え間ない人々の苦しみの時代に突入しています。

周囲を見渡してみてください。

皆様が築き上げてきた国連の原則が、四方から攻撃を受けています。

耳を傾けてみてください。

平和と進歩を支える柱は、不処罰、不平等、そして無関心の重みに押しつぶされつつあります。

主権国家が侵略され、

飢餓が武器化され、

真実が沈黙させられ、

爆撃された都市からは煙が立ち上り、

分断された社会では怒りが沸き立ち、

海面上昇が海岸線を飲み込もうとしています。

一つひとつが警告であり、

一つひとつが問いかけなのです。

私たちは、どんな世界を選ぶのでしょうか。

力が支配する世界か、法が支配する世界か。

自己利益に奔走する世界か、国々が協力し合う世界か。

力こそ正義の世界か、万人の権利が擁護される世界か。

皆様、

私たちの世界は、ますます多極化しています。

それ自体は前向きなことであり、より多様性のある、よりダイナミックな世界の状況を反映していると言えます。

しかし、ヨーロッパが第一次世界大戦に至った苦い経験を通して学んだように、効果的な多国間機関を伴わない多極化は、混乱を招きます。当時は多極化していたものの、多国間機関が存在していませんでした。

はっきり申し上げましょう。国際協力は、無邪気な理想ではありません。

それは、冷静な現実主義なのです。

脅威が国境を飛び越える世界では、孤立は幻想に過ぎません。

いかなる国も、単独でパンデミックを止めることはできません。

いかなる軍隊も、気温上昇を止めることはできません。

いかなるアルゴリズムも、失われた信頼を再構築することはできません。

これらは、私たちのシステムや連帯、決意に対する世界規模のストレステストなのです。

私は確信しています。

私たちはこのテストを乗り越えられると。

そして、乗り越えなければなりません。

なぜなら、あらゆる場所で人々がより良い世界を求めているからです。

私たちは、そうした人々の信頼に値するシステムと、その夢にふさわしい未来をつくる責務を負っています。

だからこそ、私たちは選択しなければならないのです。能動的な選択を。

国際法の必要性を改めて確認する選択を。

マルチラテラリズム(多国間主義)の中心的役割を再認識する選択を。

正義と人権を強化する選択を。

そして、国連創設の基礎となった原則と、その最初の言葉に込められた約束に再コミットするという選択を。

「われら人民は」という言葉に。

皆様、

私たちが直面している選択は、イデオロギー論争の一部ではありません。

何百万もの人々の生死に関わる問題なのです。

世界情勢を見渡すとき、私たちは5つの重大な選択を迫られています。

第一に、国際法に根差した平和を選択しなければなりません。

平和は、私たちの第一の責務です。

しかし現在、私たちが決して許容しないと誓ったはずの野蛮さで、戦争が猛威を振るっています。

国連憲章が都合の良い時には振りかざされ、そうでない時には踏みにじられることが、あまりにも多くなっています。

しかし憲章は、選択肢ではありません。私たちの基盤なのです。

そして基盤にひびが入れば、その上に築かれたすべてのものが崩れ落ちます。

世界中で、自分たちにはルールが適用されないかのように振る舞う国々が見受けられます。

人間が、人間以下の扱いを受ける様を目の当たりにしています。

そして私たちは、それに対して声を上げなければなりません。

不処罰は混乱の元であり、現代で最も残虐な紛争のいくつかを生んできました。

スーダンでは、民間人が虐殺され、飢えさせられ、沈黙させられています。

女性と女児たちは、言葉にできないような暴力に直面しています。

軍事的な解決策など存在しません。

この議場におられる方々も含め、すべての関係者に求めます。この流血を助長している外部からの支援を止めてください。民間人を守るよう働きかけてください。

なぜならは、スーダンの人々が、平和と尊厳、そして希望に値するからです。

ウクライナでは、容赦のない暴力が民間人を殺害し、民間インフラを破壊し、世界の平和と安全を脅かし続けています。

私は、米国をはじめとする各国の最近の外交努力を称えます。私たちは、国連憲章、国連決議、国際法に基づいて、完全な停戦と公正で持続的な平和の実現に向けて取り組まねばなりません。

ガザでは、恐るべきことに恐怖の日々が3年目を迎えようとしています。これは、基本的な人道に背く決定がなされてきたことの結果です。

その死と破壊の規模は、私が事務総長を務めてきた年月での他のいかなる紛争をも上回るものです。

国際司法裁判所(ICJ)は、「集団殺害罪の防止および処罰に関する条約のガザ地区における適用」と題する訴訟において、法的拘束力のある暫定措置命令を発出しました。

その後、飢饉が宣言され、殺戮が激化しています。

ICJによって定められた措置は、完全かつ直ちに履行されなければなりません。

2023年10月7日にハマスが行った恐ろしいテロ攻撃と人質拘束は、いずれも私が繰り返し非難してきたものであり、いかなる理由によっても正当化されるものではありません。

同様に、パレスチナの人々に対する集団的懲罰やガザ地区の組織的な破壊も、いかなる理由によっても正当化されるものではありません。

必要なことは明らかです。

即時の恒久的な停戦。人質全員の即時解放。人道支援への即時かつ完全なアクセス。

そして、昨日雄弁に再確認されたように、持続可能な中東和平に向けた唯一の現実的な答えである2国家解決について、私たちは決して手をゆるめてはなりません。

現地で進行している危険な傾向を、早急に逆転させなければなりません。

絶え間ない入植者の拡大や暴力、そして差し迫った併合の脅威を止めなければなりません。

ハイチからイエメン、ミャンマー、サヘル地域や他の地域に至るまで、私たちは国際法に根差した平和を選択しなければなりません。

過去1年間に、米国が仲介した、カンボジアとタイの停戦やアゼルバイジャンとアルメニアの合意など、希望の光も見られました。

しかし、あまりにも多くの危機が依然として放置されています。

不処罰が蔓延しています。

無法状態は伝染します。

それは混乱を招き、テロを加速させ、制限のない核の使用の危険をもたらします。

説明責任が縮小すれば、死者の数が増えるのです。

国連の職員や施設が攻撃されるとき、それは法的義務の違反であると同時に、奉仕と支援という私たちの中核的な能力も攻撃を受けるのです。

安全保障理事会は、その責任を果たさなければなりません。

より代表性を高め、より透明性を増し、より効果的にならなければなりません。

そして、発生した危機に対応するだけでなく、紛争を引き起こす不公正、すなわち排除、不平等、不処罰、腐敗にも対処しなければなりません。

銃声を鎮める最も確実な方法は、正義の声を大きくすることです。

真の安全保障は、すべての人々にとっての公平さと機会から生まれるのです。

皆様、

それが、第二の点につながります。私たちは人間の尊厳と人権を選択しなければなりません。

人権は、平和のお飾りではなく、基盤です。

経済的、社会的、文化的、政治的、市民的であれ、人権は普遍的であり、不可分であり、相互に依存しています。

権利を選択するということは、単に言葉以上の意味を持ちます。

沈黙よりも正義を選ぶことを意味します。

自由と市民空間を保護すること、

女性と女児たちにとっての平等を前進させること、

あらゆる形態の人種差別と偏見に立ち向かうこと、

人権擁護活動家、ジャーナリスト、および言論の自由を守ること、

難民や移民の権利を擁護し、移動が安全かつ国際法に基づいたものとなるようにすることを意味します。

人権の擁護は日々の闘いです。それはオンラインでもオフラインでも同じです。

それには政治的な意志が必要です。

しかし尊厳とは、単に権利が守られるということではありません。

それは、権利が実現されるということです。包摂的に、レジリエント(強靭)な開発を通じて。

貧困や飢餓に終止符を打つ権利。

教育、健康、機会への扉を開く権利。

持続可能な開発目標(SDGs)は、これらの権利を実現するための、私たちの共有のロードマップです。

しかし、どんな道を進むにも、燃料が必要です。

資金こそ、その燃料です。

私たちは、開発が適切に進めばす、何をもたらすことができるかを目にしてきました。

過去10年で、さらに数百万人が電気、クリーンな調理、インターネットにアクセスできるようになりました。

児童婚が減少しています。

女性の代表性が高まっています。

しかし、援助の削減が大打撃をもたらしています。

それは、多くの人々にとって死刑宣告です。

さらに多くの人々にとって、未来を奪われることです。

ここに、現代のパラドックスがあります。

私たちは必要なものはわかっていながら、それを可能にする命綱そのものを自ら引き抜いているのです。

尊厳を選択するためには、私たちは金融における正義と連帯を選ばねばなりません。

私たちは、国際金融アーキテクチャを改革し、すべての人々のための開発を推進するようにする必要があります。

より多くの民間投資と資金を貸し出し、活用する、より大きくかつより大胆な国際金融機関によって。

中所得経済国も含め、危機にあるすべての国に届く、より迅速かつより公平な債務救済によって。

社会から未来を奪う不正な資金の流れや悪質な税慣行に対処することで、資源を本来あるべき場所に留めることによって。

そして、開発途上国の参加を大幅に拡大させた、今日の世界を代表する国際金融機関によって。

すべての人々のために機能する世界経済を選択しましょう。

人権と尊厳を選択しましょう。

そして、人と地球のための公正な移行を推進しようではありませんか。

皆様、

それが、第三の選択につながります。私たちは気候正義を選択しなければなりません。

気候危機は、加速しています。

解決策もまた、加速しています。

クリーンエネルギーの未来は、もはや遠い未来の約束ではありません。すでに今ここにある現実です。

いかなる政府、産業、利益団体も、これを止めることはできません。

しかしながら、妨害しようとしている者たちがいます。経済に打撃を与え、高価格を固定化させ、歴史的な機会を無駄にしようとしています。

皆様、

化石燃料は見込みのない賭けです。

昨年、新規発電容量のほぼすべてが再生可能エネルギー由来であり、再生可能エネルギーへの投資が急増しています。

再生可能エネルギーは、最も安価で最も手間のかからない新たな発電源です。

それは雇用を創出し、成長を促進し、不安定な石油・ガス市場から経済を保護し、孤立した人々をつなぎ、化石燃料の支配から私たちを解放する可能性を秘めています。

ただし、今のペースではそれは無理です。

クリーンエネルギーに向けた投資には、依然として偏りが見られます。

21世紀型の電力網と蓄電システムは、十分な速さで整備されていません。

そして、納税者の税金で賄われている公的補助金は、依然として化石燃料に9割、クリーンエネルギーに1割の割合で流れています。

その間に、排出量、気温上昇、災害は拡大し続けています。

そして、最も責任のない人々が、最も苦しんでいます。

科学は、今世紀末までに世界全体の気温上昇を1.5℃に抑えることは、依然として可能だと教えてくれています。

しかし、その機会は失われつつあります。

国際司法裁判所は、各国の法的義務を認めています。

私たちは、とりわけ強化された国別気候計画を通じて、行動、そして野心を拡大させなければなりません。

明日、私は各国の指導者たちが新たな目標を発表することを歓迎します。

最大の排出国であるG20諸国は、共通だが差異ある責任の原則に基づいて、率先して行動しなければなりません。

しかし、ブラジルで開催される国連気候会議(COP30)に向けて、すべての国々が取り組みを強化しなければなりません。

エネルギー、森林、メタン、産業の脱炭素化における行動を加速させることによって。

開発途上国に向けて、2035年までに年間1兆3,000億米ドルの気候変動対策資金を動員するための、信頼できるロードマップを策定することによって。

公正な移行を支援することによって。

適応資金を今年中に少なくとも400億米ドルに倍増させ、さらに数十億ドルの譲許的融資を可能にするために、すでに実績のあるツールを迅速に展開することによって。

そして、多額の拠出金をもって「損失と損害基金」に資金を投入することによって。

これらすべてにおいて、各国政府、国際金融機関、慈善団体、市民社会、そして民間セクターの連携が必要です。

開発途上国に財政余力を提供し、高排出部門に対する連帯税や債務スワップも含め、新しい革新的な資金源を大規模に開放するために。

私たちは、解決策とツールがあります。

私たちは、気候正義と気候行動を選択する必要があるのです。

第四に、私たちはテクノロジーが人類に奉仕することを選択しなければなりません。

人工知能(AI)は、まさにリアルタイムで、人間の存在を書き換えようとしています。

私たちがどう学び、働き、コミュニケーションをとるのか、そして、何を信頼できるのかを変えつつあります。

問題は、それをどう止めるのかではなく、より大きな公益のためにどう進めるかなのです。

テクノロジーは、私たちの従者とすべきでものあり、私たちの主人にしてはなりません。

それは、人権、人の尊厳、そして人間の介在を促進するものでなければなりません。

しかしながら現在、AIの進歩は規制や責任が追いつかない速度で進んでおり、しかもそれがごく少数の人々の手に集中しています。

そしてそのリスクは、バイオテクノロジーから自律型致死兵器に至るまで、新たな領域へと拡大しています。

私たちは、大規模な監視や社会統制、大きな混乱、さらには大量破壊をもたらすツールの台頭を、目の当たりにしています。

エネルギーを枯渇させ、生態系を傷つけ、重要鉱物の争奪戦を激化させ得るツールであり、それによって不安定化や紛争が助長される恐れがあります。

にもかかわらず、そうしたテクノロジーは、依然としてほとんど管理されていません。

私たちには、プラットフォーム全体にわたり、普遍的なガードレールと共通の基準が必要です。

いかなる企業も、法を超えるべきではありません。

いかなる機械も、人の生死を決定すべきではありません。

いかなるシステムも透明性、安全性、説明責任なく、導入されるべきではありません。

先月、総会は歴史的な一歩を踏み出しました。「AIに関する独立した国際科学パネル」と、年次の「AIガバナンスに関するグローバル対話」の設置です。

これらは、私たちが共有するアーキテクチャの2つの新たな柱であり、

科学と政策を結びつけて、明確さと先見性をもたらすものであり、

イノベーションが開花する環境を整え、私たちの価値観と権利を前進させるものであり、

各国政府、企業、市民社会が共通の規範の形成に貢献できるようにするものでもあります。

私たちは、これらの仕組みを基盤として発展し、能力格差を解消しなければなりません。

すべての国々が、単にAIを利用するだけでなく、それを設計・開発できるようにならなければなりません。

私は、開発途上国においてAIの計算能力、データ、スキルを構築するための自発的な資金調達オプションを提案しました。

いかなる国も、デジタルの未来から締め出されるべきではありませんし、自国で形成できない、または信頼ができないシステムに閉じ込められるべきではありません。

各国政府は、ビジョンを持って先導しなければなりません。

企業は、責任を持って行動しなければなりません。

そして、私たち国際社会は、テクノロジーが人類を向上させるようにしていかねばなりません。

ですから、選択しましょう。

分断ではなく、協力を。

利己主義ではなく、倫理を。

そして、不透明性ではなく、透明性を。

テクノロジーは私たちを待ってはくれません。

しかし私たちはまだ、テクノロジーが何に奉仕するのかを選択できるのです。

賢明な選択をしようではありませんか。

最後に第五として、これらすべての目標を達成するために、私たちは21世紀に合わせた国連の強化を選択しなければなりません。

今、私たちの世界を揺るがしている力は、国連システムの基盤をも試しています。

国連は、高まる地政学的緊張、広がる分断、慢性的な不確実性、増大する財政的負担に襲われています。

しかし、国連を頼っている人々が、その負担を強いられるべきではありません。

とりわけ、平和をつくるという国連の中核的な活動を支援するために投資される1ドルに対して、世界が戦争兵器に750ドルを費やしている現状を考えれば、なおさらです。

それは持続不可能であるばかりか、到底擁護できるものではありません。

この危機的な時期において、国連の存在はかつてないほど必要とされています。

世界は、国連ならではの正統性を必要としています。その結集力を。国々を団結させ、分断に橋を架け、目の前の課題に立ち向かうという私たちのビジョンを。

「未来のための協定」は、より強力で、より包摂的で、より効果的な国連を構築するという皆様の決意を示しています。

それが、私たちの「UN80イニシアチブ」の論理であり、それが持つ緊急性なのです。

私たちは、迅速にかつ断固として行動しています。

私は、以下の具体的な提案を行っています。

説明責任を強化し、成果を向上させ、コストを削減する2026年改定予算案。

マンデートをより効果的かつ効率的に遂行し、より大きな影響力をもたらすための実践的な改革。

そして、国連の構造や各部門の連携方法にパラダイムシフトを起こすための構想。

これらの決定の大半は、加盟国である皆様に委ねられています。

確立された手順を完全に尊重しながら、私たちは前進します。

あらゆる場所の人々に奉仕するために適応し、革新し、強化された国連に投資することを、共に選択しようではありませんか。

皆様、

私の最も重要なメッセージは、「今こそ選択の時」だということです。

正しい選択が何か、それを知っているだけでは不十分です。

実際にその選択をしていただきたいのです。

私自身は、ほぼ選択肢がないような世界で育ちました。

恐怖で声が封じられ、希望はほとんど押しつぶされそうな独裁政権の闇の中で成長しました。

それでも、その最も暗澹たる時期でさえ、いえ、むしろそうした時だったからこそ、私は決して忘れることのない真理を見出しました。

力は、支配したり分断したりする者の手に宿るのではありません。

真の力は、人々から生まれるのです。尊厳を擁護するという、私たちの共有の決意から。

平等を守り抜くという決意から。

私たちの共通の人間性と、あらゆる人の可能性を、固く信じるという決意から。

私は幼い頃から、辛抱強くあることを学びました。声を上げることを。屈しないことを。

どんな困難があろうと。どんな障害があろうと。どんな時であろうと。

私たちは乗り越えねばなりませんし、乗り越えられるでしょう。

なぜなら、多くの選択肢がある世界において、一つだけ、決して選んではならない選択肢があるからです。

それは、諦めるという選択です。

私たちは、決して諦めてはなりません。

それが私の、皆様への約束です。

平和のために。

尊厳のために。

正義のために。

人類のために。

私たちが一つになって取り組むなら、実現できると知っている世界のために。

私は決して、絶対に諦めません。

ありがとうございました。

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原文(English)はこちらをご覧ください。