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気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第3作業部会報告書の発表に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長ビデオ・メッセージ (ニューヨーク、2022年4月4日)

プレスリリース 22-017-J 2022年04月05日

陪審員は評決を下しました。

有罪の宣告です。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によるこの報告書には、守られなかった気候の約束が列挙されています。

報告書は、恥を明るみにし、確実に私たちを住むことができない世界へと導く空疎な誓約をまとめています。

私たちは、気候関連災害への最短コースにいます。

大都市の浸水。

未曽有の熱波。

恐ろしい暴風雨。

広範囲での水不足。

100万種もの動植物の絶滅。

これは、フィクションでも誇張でもありません。

私たちの現在のエネルギー政策がもたらす結果として、科学が示したものです。

私たちは、パリで合意された1.5℃の上限の2倍を超える地球温暖化への道を進んでいます。

一部の政府首脳やビジネスリーダーは、言行が一致していません。

簡単に言えば、嘘をついているのです。

結果は破滅的です。

これは、気候緊急事態なのです。

気候科学者たちは、連鎖的で不可逆的な気候への影響につながり得る転換点に、すでに危険なほどに近づいていると警告します。

しかし、排出量の多い政府や企業は目をつぶるだけでなく、火に油を注いでいます。

彼らは、化石燃料の既得権益と過去の投資のために地球を窒息させつつあります。より安価で再生可能な解決策が、グリーン・ジョブ、エネルギー安全保障、そして一層の価格安定をもたらすにも関わらず。

私たちは、新たな約束とコミットメントに基づく、うぶな楽観主義とともに、グラスゴーでの国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)を終えました。

しかし、多大で拡大しつつある排出量の隔たりという主要な問題は無視されたも同然でした。

科学は明白です。

パリで合意された1.5℃の上限を引き続き実現可能なものとするには、私たちは2030年までに世界の排出量を45%削減する必要があります。

しかし、現時点での気候変動に関する誓約では排出量が14%増加するのです。

その上、大半の主要排出国は、この不十分な約束を守るために必要な措置さえ講じていません。

気候活動家は時に、危険な過激派だと評されます。

しかし、真に危険な過激派は、化石燃料の生産を拡大している国々です。

新たな化石燃料インフラへの投資は、道徳的・経済的な狂気です。

そのような投資は、間もなく座礁資産となり、景観の汚点と投資ポートフォリオの不良資産となってしまうでしょう。

しかし、こうなる必要はないのです。

本日発表された報告書は、緩和、すなわち排出量削減に焦点を当てています。

あらゆる部門で温暖化を1.5℃に抑える可能性をつなぐために、実行可能で財政的に堅実な選択肢を提示しています。

まず、再生可能エネルギーへの移行速度を3倍にしなければなりません。

これは、投資と補助金を今すぐ化石燃料から再生可能エネルギーに振り替えることを意味します。

ほとんどの場合、再生可能エネルギーの方がすでにはるかに安価です。

各国政府が、海外だけでなく国内でも、石炭火力発電事業への資金提供を止めることを意味します。

主な新興経済国がこの移行を遂げるよう、先進国、多国間開発銀行、民間金融機関、企業からなる気候連合が支援することを意味します。

強力な気候変動解決策として、森林と生態系を保護することを意味します。

メタン排出量の削減を迅速に前進させることを意味します。

そして、パリとグラスゴーでの誓約を履行することを意味します。

指導者は、率先しなければなりません。

しかし全員に役割があります。

警鐘を鳴らし、指導者の説明責任を訴えてくれた若者、市民社会、そして先住民のコミュニティーに、私たちは恩義があります。

彼らの取り組みを足掛かりに、無視できない草の根運動を起こす必要があります。

あなたが、大都市、農村部、または小島嶼国に暮らしているなら、

株式に投資しているなら、

正義と子どもたちの未来を大切に思うなら、

私は、あなたに直接訴えます。

再生可能エネルギーを、直ちに、迅速かつ大規模に導入するよう求めてください。

石炭火力発電の廃止を求めてください。

化石燃料に対するあらゆる補助金の廃止を求めてください。

本日の報告書は、世界的混乱のさなかに発表されました。

不平等は、かつてない水準にあります。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックからの復興は、恥ずべきほどに不均等です。

インフレが進み、ウクライナでの戦争で食料とエネルギーの価格が急騰しています。

しかし、化石燃料の増産は、事態を悪化させるだけです。

各国が今行う選択で、1.5℃へのコミットメントは守られるか破られるかのいずれかです。

再生可能エネルギーへの移行は、破綻した世界のエネルギーミックスを修復し、気候変動による被害を今日受けている何百万もの人々に希望を与えます。

気候に関する約束は直ちに実現し、行動に移されなければなりません。

今こそ、私たちの地球を燃やすことをやめ、周りにある豊富な再生可能エネルギーへの投資を始める時なのです。

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原文(English)はこちらをご覧ください。