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ミレニアム開発目標に大きな進展、2015年までにさらに多くの目標が達成可能

プレスリリース 13-038-J 2013年07月03日

援助資金の激減と消えぬ格差にもかかわらず、MDGs達成にさらに弾み

ジュネーブ、7月1日 – ミレニアム開発目標(MDGs)の一部がすでに達成される中で、2015年までにさらに多くの目標が達成可能な一方で、他の目標達成に向けた課題への取り組みも急務です。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長がきょう発表した報告書は、次のように述べています。

『ミレニアム開発目標報告2013』は、包括的な公式統計を基に、各国政府、国際社会、市民社会、民間部門の取り組みが相まって、MDGsの達成が現実のものになっていることを示しています。

「ミレニアム開発目標(MDGs)はグローバルな貧困対策として、史上最大の成功を収めています」事務総長はこう語ります。「MDGsは、焦点を絞ったグローバル開発目標が世界を大きく変えられることを立証したのです」。8つの目標は、2000年の「国連ミレニアム・サミット」から生まれ、すべての国の合意のもとに設定されたものです。

報告書は、貧困の削減、安全な水の利用拡大、スラム居住者の生活改善、小学校でのジェンダー平等に関する具体的目標の達成により、数百万人の暮らしが改善したことに加え、その他の分野でも大きな進展が見られていることから、2015年までにさらに多くのMDGs目標の達成が可能だとしています。

数百万人の命を救う
報告書によると、健康の分野で大きな前進が見られています。2000年から2010年にかけて、マラリアによる死亡率は25%以上も低下し、110万人の死亡が回避されたと見られます。全世界レベル、ならびにいくつかの地域では、結核による死亡率も2015年までに、1990年の水準から半減できると見られます。1995年から2011年にかけ、結核患者延べ5,100万人の治療が成功し、2,000万人の命が救われました。

新規のHIV感染件数は減少しているものの、2011年末時点でのHIV感染者数は3,400万人に上ると報告書は指摘しています。また、報告書によれば、開発途上地域では2011年末時点で、800万人のHIV感染者とエイズ患者が抗レトロウイルス療法を受けており、今のペースで前進が続けば、抗レトロウイルス療法を完全に普及するというMDGs目標は、2015年までに達成できると見られます。

報告書は、2015年までに飢餓に苦しむ人々の割合を半減するという目標の達成は可能だとしています。栄養不良の人々の割合は、1990~1992年の23%から、2010~2012年には15%へと低下しました。

行動の加速が必要
世界的に、5歳未満の幼児死亡率は、1990年の出生千人当たり87人から、2011年には51人へと41%減少しました。1日当たりの幼児死亡者数は1万4,000人減ったことになります。幼児の死亡は、最貧地域の生後1カ月以内の乳児にますます集中する傾向にあります。
全世界の妊産婦死亡率は、1990年の出生10万人当たり400人から、2010年の210人へと、この20年間で47%低下しました。報告書によると、4分の3の削減というMDGs目標を達成するためには、加速度的な介入の拡大と、女性と子どもに対する政治的支援の強化が必要となります。

2000年から2011年にかけ、学校に通えない子どもの数は1億200万人から5,700万人へとほぼ半減しましたが、報告書によると、依然としてあまりにも多くの子どもたちが、初等教育を受ける権利を奪われています。1990年から2011年にかけ、19億人が公衆便所、水洗トイレその他の改良衛生施設を利用できるようになりましたが、今でも25億人が改良衛生施設を利用できていません。報告書はまた、世界で気候変動の影響が現れる中で、森林、生物種、漁業資源の損失が続き、地球の資源基盤に深刻な劣化が見られることも指摘しています。

進展に格差
世界は格差を注視する必要がある、と報告書は提言しています。地域や国々の間だけでなく、国内の各層の間でも、MDGs達成に向けた進展に格差が見られるからです。貧困層や農村部の住民は依然として、不当に不利な状況に置かれています。2011年、農村部での出産に熟練医療従事者が付き添った割合は、53%にすぎませんでしたが、都市部ではこれが84%に上っています。改良飲料水源を利用できない人々の83%は、農村コミュニティで暮らしています。

最貧国に対する資金援助が急減
報告書の指摘によると、援助総額の減少によって目標の達成に影響が出ており、中でも最貧国は最も大きな悪影響を受けています。2012年の先進国から開発途上国への正味援助額は、合計で1,260億ドルとなっています。2011年に比べて4%の減少となっていますが、2011年の援助総額も2010年の水準を2%下回っていました。この減少で最も大きな影響を被っているのが後発開発途上国です。2012年の後発開発途上国に対する二国間政府開発援助(ODA)は13%減少し、約260億ドルとなりました。しかし、報告書は同時に、債務負担の軽減と貿易へのアクセス改善が、開発途上国に利益をもたらしているとも述べています。

MDGsとポスト2015年開発アジェンダ
国連は政府や市民社会その他のパートナーと連携することで、MDGsによって生まれた勢いをさらに強め、MDGs達成期限の2015年末以降の期間につき、野心的ながら現実的な開発アジェンダを策定しようとしています。報告書によると、MDGsを成功のうちに締めくくることは、これに続く開発アジェンダにとって重要な礎石となり、これまでにMDGsから得られた多くの経験や教訓は、継続的な進展への見通しをさらに高めることになります。

「行動を加速すれば、世界はMDGsを達成すると同時に、野心的で意欲的なポスト2015年開発枠組みに向けた弾みをつけることもできます」事務総長はこのように語っています。「今こそ、すべての人にとって、より公正、安全かつ持続可能な未来を作り上げるための取り組みを本格化させるべき時なのです」

「ミレニアム開発目標報告」は毎年、MDGsの達成に向けた世界と各地域の進捗状況を検証するもので、27を超える国連・国際機関が集計した最も包括的な最新データに基づき、国連経済社会局が作成しています。報告書作成に用いたデータはすべて、mdgs.un.org で閲覧できます。

さらに詳しい情報、報道資料、各機関の報道関係者お問い合わせ先については、www.un.org/millenniumgoals をご覧ください。

報道関係者お問い合わせ先

ジュネーブ: UN Information Service
Alessandra Vellucci, avellucci@unog.ch, +41 22 917 2336 or +41 79 2173065

ニューヨーク:UN Department of Public Information
Wynne Boelt, boelt@un.org, +1 212-963-8264
Mohsin Mohi-Ud-Din, mohi-ud-din@un.org, +1 212 963 8264

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