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2021年の優先課題に関する加盟国へのアントニオ・グテーレス国連事務総長非公式ブリーフィング(ニューヨーク、2021年1月28日)

プレスリリース 21-006-J 2021年02月24日

©UN Photo

総会議長、
各国代表の方々、
皆様、

2020年は世界が死と災害、絶望に見舞われる悪夢のような年(annus horribilis)となりました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)は、あらゆる国とあらゆる経済に大混乱をもたらしました。

私たちは国連ファミリーの親愛なるメンバーを含め、200万人の命を失いました。

犠牲者の数はさらに増え続けています。

経済的なコストも増大する一方です。

5億人が職を失いました。

極度の貧困は、一世代前の水準へと逆戻りしてしまいました。

不平等は拡大しています。

飢餓も再び蔓延しています。

そして、全世界の脆弱性がますます露わになっています。

私たちは自然に宣戦布告し、自然は私たちに反撃を加えています。

気候危機は深刻化しています。

昨年は自然災害で2,100億ドルの損害と、計り知れない人的損失が生じました。

生物多様性は崩壊しようとしています。

その一方で、地政学的緊張は私たちの平和への集団的な取り組みを根底から損なっています。

人道支援のニーズは増大の一途をたどっています。

昨年は強制的に故郷を追われる人の数も記録的な数に達しました。

核兵器と化学兵器の拡散のリスクも高まっています。

人権は反発に直面しています。

ヘイトスピーチが台頭しています。

サイバー空間での不法な振る舞いは、犯罪や暴力、デマ、混乱の新たな温床を生み出しました。

そしてCOVID-19は、世界の女性と女児に特に致命的な影響を及ぼしています。

皆様、

2020年は私たちに悲劇と危難をもたらしました。

2021年はギアチェンジによって、世界を軌道に乗せる年としなければなりません。

私たちは死から健康へ、災害から復興へ、絶望から希望へ、従来通りのやり方から社会変革へと前進を遂げる必要があります。

持続可能な開発目標(SDGs)は、以前にもまして重要となっています。

今こそ、人々と経済、社会、そして私たちの地球の福利を確保すべき時です。

それは可能です。ですから、私たちは一緒に、その実現を図らなければなりません。

皆様、

私たちが2021年に対峙する最初の優先課題は、COVID-19への対応です。

ワクチンは、私たちに課された大きな道徳上の試金石の一つ目です。

ワクチンをグローバルな公共財、すなわち人々のワクチンとみなし、すべての人が物理的、金銭的に利用できるようにしなければなりません。

低・中所得国向けにワクチンを調達、分配するとともに、きわめて重要な研究開発を継続するため、COVAXファシリティーは緊急に追加的資金を必要としています。

私は、COVAXを支援する国と組織に加え、世界保健機関(WHO)のリーダーシップにも感謝します。

そして、主要先進国による新たな参画も歓迎します。

しかし、世界の取り組みはそれでも不十分です。

ワクチンは一握りの国に素早く供給される一方で、最貧国には一つも届いていません。

科学は成功を収めているのに、連帯が失敗しているのです。

各国政府には、それぞれの国民を守る責任がありますが、COVID-19を1カ国ずつ克服していくことはできません。

グローバル・サウスでウイルスが山火事のように蔓延する状況を許せば、これが変異し、伝染しやすくなり、致死性を増して、最終的にはワクチンへの耐性も強め、グローバル・ノースを再び襲う構えを見せることは避けられません。

しかも、最近の研究によると、ワクチンの買い占めはグローバル経済にとって最大で9.2兆ドルの負担となり、その影響の半分近くは最も豊かな国々で現れることになります。

この金額は、ACTアクセラレーターの資金不足分270億ドルの340倍を超えます。

ワクチンを持てる国と持たざる国が生まれる世界では、ウイルスだけが勝者となるのです。

私はきょう、6つの具体的な措置をお願いしたいと思います。

医療従事者と最もリスクの高い人々を優先すること。

最貧国の医療制度を崩壊から守ること。

医薬品メーカーにCOVAXへの供給を優先させるなどして、十分な供給と公正な分配を確保すること。

余ったワクチンをCOVAXファシリティーと共有すること。

幅広い使用許諾によって、製造を拡大すること。

そして、ワクチンの信頼性を高めることです。

私たちの「Verified(ベリファイド/検証済み)」イニシアチブは、誤情報の世界的蔓延(インフォデミック)との闘いを繰り広げています。

しかし、パンデミックに万能薬はありません。

私たちは、感染を減らすことが科学的に証明された対策を取り続けなければなりません。

マスクを着けること、身体的距離を確保すること、そして手洗いをすることです。

COVID-19に打ち勝つことは可能です。

私たちは一緒に、その実現を図らなければなりません。

皆様、

第2の課題として、経済が生命維持装置につながれている状態で、世界が新型コロナウイルスから立ち直ることはできません。今すぐ、包摂的で持続可能な復興をスタートさせなければなりません。

私たちには、各地の医療制度に多額の投資を行う必要があります。

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)。

メンタルヘルスのケア。

社会保障。

ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)。

そして、子どもたちが学校へ安全に戻ること。

開発途上国は仕送りや観光収入、一次産品による所得を断たれています。

比較的豊かな国々は、数兆ドル規模の経済復興・刺激策を実施に移しています。

その一方で、最貧国が復興に当てられている金額は、国内総生産(GDP)の2%程度に留まっています。

復興は包摂的なものとしなければなりません。

いかなる国も、基本的サービスの提供と債務返済のどちらかを選ぶよう、強制されるべきではありません。

私が昨年、カナダ、ジャマイカ両国の首相と共同で招集したハイレベル・イベントでは、金融支援の飛躍的な増額を緊急に図る必要性が明らかになりました。

具体策には、次のようなものが含まれています。

G20の「債務支払猶予イニシアチブ」の拡大。

必要としている開発途上・中所得国すべてを対象とする債務救済。

多国間金融機関の資金増強と、開発途上国への特別引出権の新規割当。

未使用の特別引出権の自発的再割当。

債務不履行を防ぐためには、流動性が欠かせません。

再生可能エネルギーや、環境に配慮した強靭なインフラを整備することで、復興を持続可能なものとしなければなりません。

さもなければ、私たちは今後数十年にわたり、有害な慣行から抜け出せなくなってしまうでしょう。

「持続可能な開発のための2030アジェンダ」は、その道を示しています。

持続可能で包摂的な復興は可能です。

私たちは一緒に、その実現を図らなければなりません。

皆様、

その意味でも、私たちの第3の優先課題は、自然との平和を実現することとすべきです。

2021年は、気候と生物多様性にとって極めて大事な年となります。

私は先月、すべての加盟国に対し、各国内で気候緊急事態を宣言するよう要請しました。

きょう、国際社会に対し、11月の気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP 26)までに、5つの重要な到達点にたどり着くようお願いします。

第1に、2050年までにカーボン・ニュートラルを達成するための世界連合の構築を続けましょう。

この連合には現時点で、世界経済の70%と、全世界の二酸化炭素排出量の65%を占めるメンバーが加わっています。

これからの1年で、少なくとも排出量の90%をカバーできるようにしようではありませんか。

G20諸国と主要排出国は、その先頭に立たなければなりません。

私はあらゆる都市や企業、金融機関に対し、2050年までにカーボン・ニュートラルを達成するための明確な中間目標を定めた、具体的なロードマップを採択するようお願いします。

海運や航空、工業、農業などの主要部門も、同じようなロードマップを策定しなければなりません。

第2に、各国政府は、全世界の排出量を対2010年で2030年までに45%削減できる「自国が決定する貢献(NDC)」を提出しなければなりません。

第3に、適応に関する突破口を開くこと。

適応を気候変動対策の忘れ去られた要素とすることはできません。

ドナーと多国間開発銀行は2024年までに、適応資金の割合を現在の20%から少なくとも50%へと引き上げるべきです。

第4に、あらゆる資金拠出の約束を守ること。

先進国は、開発途上国の気候変動対策に年間1,000億ドルを拠出するという約束を守らなければなりません。

その中には、緑の気候基金(GCF)の資本充填を含めるべきです。

開発銀行はすべて、2024年までに、自らのポートフォリオをパリ協定や持続可能な開発目標(SDGs)と整合させるとともに、保証とパートナーシップを通じ、民間の資金と投資の動員を支援すべきです。

そうすれば、何十億ドルもの資金の流れが変わるでしょう。

国連の働きかけで結成された「ネットゼロ・アセット・オーナーアライアンス」と「持続可能な開発のためのグローバル投資家(GISD)アライアンス」は、この役割に欠かせません。

第5に、社会を変革する政策を採択すること。

次の施策を講じるべき時が来ています。

炭素に価格を付けること。

石炭火力発電所の新設を止めること。

OECD諸国で2030年、その他の国で2040年までに、石炭の使用を段階的に廃止すること。

海外からの石炭への資金提供を手始めに、化石燃料への資金提供を段階的に止めること。

化石燃料に対する補助金に終止符を打つこと。

税負担を所得から炭素へ、納税者から汚染者へと移すこと。

気候関連の金融リスク開示を義務化すること。

カーボン・ニュートラルをすべての経済・財政政策と決定に取り入れること。

そして、公正な移行計画を促進するとともに、その資金を確保し、実施に移すこと。

皆様、

世界の小島嶼開発途上国には、特に連帯を示さなければなりません。

中には存亡の脅威にさらされている国もあります。私たちが生きているうちに、その領土が消滅しかねないからです。

私たちが是正できる力を持っている問題であるにもかかわらず、加盟国がその旗をたたまなければならないような事態は、いかなる場合も絶対に許してはなりません。

11月のCOP26は、気候変動対策の真価が問われる時となります。

生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)は、新たなポスト2020生物多様性枠組みを通じ、絶滅の危機に歯止めをかけるチャンスとなります。

新しく生じるヒト感染症の75%は、人獣共通感染症であることを忘れないでおきましょう。

今年のエネルギーに関するハイレベル対話では、再生可能エネルギーへの移行と、エネルギーに対するアクセス拡大を目指すための解決策が提案されます。

私たちがポルトガルで開催される海洋会議に向けた準備を進める中で、世界は乱獲を止め、プラスチックを含む汚染を大幅に減らし、ブルーエコノミーを促進するための行動を加速しなければなりません。

食料システム・サミットと持続可能な輸送に関する世界会議では、これらきわめて重要な産業部門の転換を図ることができます。

2021年は「新都市アジェンダ」を前進させるうえでも、極めて重要な年となります。

自然と和解することは可能です。

私たちは一緒に、その実現を図らなければなりません。

皆様、

私たちの4つ目の優先課題は、貧困と不平等のパンデミックに取り組むことです。

世界人口の70%を超える人々は、貧富の格差が広がる中で暮らしています。

しかし、不平等の尺度は資産だけではありません。

人々が一生のうちに得られる機会は、その性別や人種、家族や民族の背景、障害の有無などの要因にも左右されます。

これらの不公平は相互を補強し、人々に政府や制度への信頼を失わせ、何世代にもわたって引き継がれることになります。

今回のパンデミックは、その状況をさらに悪化させました。

その様子は、COVID-19が脆弱な立場に置かれ、社会的に隔絶された人々を食い物にしていることにも窺えます。

今週のオックスファムの報告では、コロナ危機下で最富裕層10人が増やした資産だけで、あらゆる人が新型コロナウイルスによって貧困に陥るのを防ぎ、あらゆる人にCOVID-19ワクチンを接種するためのコストを賄えることが判明しています。

私は引き続き、すべての人々が将来への見通しを持ち、保護を受けられるよう、各国での「新しい社会契約」の導入を求めています。

教育とデジタル技術を、可能性を高め、平等を達成するための2大要因としなければなりません。

労働市場の改革に加え、腐敗や租税回避地、マネー・ローンダリング、不正な資金の流れに対処する強硬な取り組みが欠かせません。

社会はケアの世界の転換を図らなければなりません。

政府開発援助(ODA)が生命線の一つであることに変わりはありません。

過去の過ちを正し、現代の組織的な不正に取り組む時は来ています。

誰一人取り残さないという、私たちの約束を守らねばなりません。

私たちは一緒に、その実現を図らなければなりません。

皆様、

私たちの5番目の優先課題は、人権に対する攻撃を跳ね返すこととしなければなりません。

今回のパンデミックが発生する前から、人権に対する圧力は高まっていました。

法の支配は、司法制度の不備によって試練にさらされていました。

抑圧的な政治制度は、基本的自由を侵害していました。

残虐な犯罪の責任が問われることは、ほとんどありませんでした。

女性と女児、少数者やLGBTIの人々は、慢性的な差別と暴力を受けていました。

事実、私の「人権のための行動呼びかけ(Call to Action for Human Rights)」、「ヘイトスピーチに関する行動計画(Plan of Action on Hate Speech)」、「宗教的施設保護のためのイニシアチブ(Initiative to Safeguard Religious Sites)」はいずれも、COVID-19のパンデミック以前に発表されたものです。

そして今、このパンデミックが新たに人権の危機を引き起こしています。

ヘイトスピーチが蔓延しています。

いくつかの国は都市封鎖(ロックダウン)を口実に、シビック・スペースや、ジャーナリストと人権擁護活動家の活動に制限を加えています。

そして、この感染症自体が少数者や障害を持つ人々、社会的に隔絶された人々に不当に大きな影響を及ぼしています。

私はきょう、人種間の平等を求めるグローバルな闘いに、新たな弾みがついたことを歓迎します。

人種間の不平等は今も、制度や社会構造、日常生活に浸透しています。

私たちは、ネオナチズムや白人至上主義の台頭に立ち向かわなければなりません。

国連が人種主義や差別と闘うという約束を蔑ろにすることは、決してありません。

私たちの組織に、人種主義が入り込む余地などありません。私たちは、その根絶に向けた活動を続けていきます。

人権を全面的に推進、保護することは可能です。

私たちは一緒に、その実現を図らなければなりません。

皆様、

私たちの6番目の優先課題は、おそらく世界にとって最大の人権課題と言えるジェンダー平等です。

COVID-19は、目に見えないことがあまりにも多い現状に光を当てています。

女性は、人々とコミュニティーを生かすために欠かせないエッセンシャルワーカーです。

しかし、失業者の数も、貧困に陥った人々の数も、女性が男性を上回っています。

今回のパンデミックは、家庭内とオンラインでの暴力から、児童婚と性的搾取の増加に至るまで、ジェンダーを理由とする暴力のパンデミックにも火をつけました。

同時に、COVID-19への対応は、女性のリーダーシップの力も明らかにしました。

女性のリーダーは感染率を低く抑え、国を復興へと導いています。

事実、女性の平等な参加が社会を変革するインパクトを及ぼした例は、以前から枚挙に暇がありません。

社会保障への投資の増大。

ガバナンスの透明化。

より持続的な和平プロセス。

女性の平等なリーダーシップと代表は、私たちが流れを変えるために必要な要素です。

深く根を張った構造やモデルを変える時が来ています。フォーマル経済が機能しているのは、女性の無給のケア労働による補助を受けているからに他なりません。

ケア経済への投資は、経済成長とパンデミックからの復興の起爆剤となる可能性があります。

女性の権利を否定するアプローチや態度を克服するため、より大胆で焦点を絞った措置を取る時が来ています。

小手先の対応はもうやめましょう。

ジェンダー平等は可能です。

私たちは一緒に、その実現を図らなければなりません。

皆様、

2021年の私たちの第7の優先課題は、地政学的な亀裂を埋め、妥協点を見出すこととしなければなりません。

私たちが現在の平和と安全に関する混乱に取り組むためには、常識へと戻るための橋を見つける必要があります。

私たちは、安全保障理事会の結束を必要としています。

また、世界を2つに分断するような「大断裂」を回避し、一つの世界経済と一つの安全で開かれたインターネット、サイバーセキュリティー、すべての国が合意、遵守する国際法規の尊重の確保を図る必要もあります。

大国間の関係に機能不全が生じれば、妨害者に暗躍の余地が生まれます。

そして、妨害者は紛争を引き起こし、長引かせます。

超大国間に不和がある中で、私たちが最大の問題を解決できるはずはありません。

私はパンデミックの発生から数週間も経たないうちに、すべての国が直面する敵に集中できるよう、グローバル停戦を求めました。

いくつか心強い兆候が見られており、停滞していた和平プロセスの中にも、息を吹き返したものがあります。

リビアからウクライナ、シリアからスーダン、ナゴルノ・カラバフから南スーダンに至るまで、多くの場所で停戦と敵対行為の停止が多少とも守られています。

しかし、その他の場所では戦闘が続いたり、新たな紛争が勃発したりしています。

飢饉が目の前に迫っているイエメンに関し、私は改めて、全国的な停戦と経済的、人道的な信頼構築措置、包摂的な政治プロセスの再開を求めています。

中央アフリカ共和国については、武装集団による暴力の拡大を非難するとともに、新たな選挙によって成立した政権に対し、平和で包摂的な対話と、国民和解を追求するよう呼びかけています。

マリでは、憲法秩序の回復と和平合意の実施に向けた困難な取り組みが見られる中で、過激派集団による攻撃や人権の侵害、コミュニティー間の暴力が続いています。

アフガニスタンでは、和平交渉によって数十年続いた紛争に終止符が打たれる可能性が見える中でも、暴力が衰える気配はありません。

こうした状況はいずれも、武力では解決できません。

私は全加盟国に対し、あらゆる関係当事者に圧力をかけ、こうした無意味な戦争を終わらせるよう呼びかけます。

国連の調停者と政治ミッションは引き続き、あらゆる解決の糸口を探っています。

2021年は、私たちが中東での和平プロセスを再出発させ、2国家共存による解決に向けた条件を整備する年としなければなりません。

サヘルやチャド湖地域、コンゴ民主共和国、モザンビークでは、効果的な安全保障取り決めがなく、経済や気候、社会関連の根本的原因に取り組む能力も不十分な中で、テロが台頭を見せています。

アフリカの平和執行とテロ対策活動が、国連憲章第7章に基づく安全保障理事会のマンデートと、分担金を含む十分かつ予見可能な財源を得る必要性を認識すべき時は来ています。

私たちの平和維持活動(PKO)は、脆弱な状況に置かれた民間人の保護に全力を尽くすとともに、和平プロセスに欠かせない支援を提供しています。

しかしPKOは、維持すべき平和などない地域で活動することが、ますます多くなっています。

今年に入ってからすでに、9人の平和維持要員が攻撃を受けて命を落としています。

私たちは、あらゆる平和維持ミッションとあらゆる平和維持要員が、その職務を遂行するために必要な資源や機材をすべて手にできるようにしなければなりません。

私たちは「PKOのための行動(A4P)」による改革の実施を続けていきます。

グローバル停戦を必要とすると同時に、私たちは、そもそもの紛争の勃発を防ぐための取り組みも強化しなければなりません。

結束と平和は可能です。

私たちは一緒に、その実現を図らなければなりません。

皆様、

8つ目の優先課題は、核軍縮と不拡散体制の崩壊を逆転させることとしなければなりません。

先週の金曜日(1月22日)には、核兵器禁止条約が発効しました。

私はすべての加盟国に対し、この条約の目標を支持するよう呼びかけます。

この前進にもかかわらず、私たち全員が、核兵器保有国間の関係悪化に危機感を抱くべきです。

私はこれらの国に対し、今年の核不拡散条約(NPT)再検討会議で、妥協点を見出すよう強く訴えます。

私は、米国とロシア連邦が「新戦略兵器削減条約(新START)」を規定上の最長期間にあたる5年間、延長する決定を下すことにより、さらなる削減に向けた交渉時間を確保したことを歓迎します。

核兵器のない世界は可能です。

私たちは一緒に、その実現を図らなければなりません。

皆様、

私たちの9つ目の優先課題は、デジタル技術の機会を捉えながら、その高まる危険から身を守ることとしなければなりません。

今回のパンデミックの中で、デジタル技術は社会の機能と人々のつながりを維持する役割を果たしています。

しかし、パンデミックによって、大きなジェンダー格差を含め、こうしたツールへのアクセスに巨大な格差があることも明らかになりました。

世界は何十年も前にデジタル時代に突入したにもかかわらず、デジタル格差を縮めるという肝心の課題が残ったままです。

私たちのねらいは、あらゆる場所の人々が2030年までに、インターネットへの手ごろで有意義、かつ安全なアクセスを確保できるようにするとともに、すべての学校をできるだけ早くオンライン化することにあります。

私たちは、サイバーセキュリティーを強化し、この領域で責任ある行動を促進する必要があります。

私たちには、極めて重要なインフラに対するサイバー攻撃に終止符を打つことを含め、サイバー空間での停戦が必要です。

デジタル世界での憎悪、搾取、デマの拡散にも取り組む必要があります。

そして私たちには、個人データの利用と折り合いをつける必要もあります。

私たちについて収集される情報の多くは、良い目的に用いられています。

しかし、行動に影響を与えたり、これを制御したりすることを含め、私たち全員がデータの使用方法についてもっと発言権を持つべきだとする要求も強まっています。

また、個人や被差別集団の人権を侵害するために、政府がデータを悪用しかねないことに対する警戒も強まっています。

私たちはすべてのステークホルダーを招集して、こうした実践やビジネスモデルについて検討したうえで、プライバシーも尊厳も傷つけない前進のあり方を見つけなければなりません。

適切な国際基準と課税体系を編み出すための取り組みも、進める必要があります。

人工知能(AI)が急速に普及する中で、私たちのデータ管理方法の重要性は、ますます高まっていくことでしょう。

AIは強力な可能性を切り開いています。

しかし、偏向したデータは、その応用にも危険なバイアスを作り出しかねません。

また、人間が常に統制権を握らなければなりません。

私は引き続き、自立型致死兵器の禁止を求めます。

私は昨年、デジタル協力のためのロードマップを発表しました。

今後一年間、私はインターネット・ガバナンス・フォーラムの強化などを通じ、このロードマップを実現するためのステップを踏んでいきます。

総会議長は4月、デジタル協力に関する討議を開催する意向を表明しました。私はこれに賛意を表します。

デジタルの未来をオープンで自由、かつ安全なものにすることは可能です。

私たちは一緒に、その実現を図らなければなりません。

皆様、

私たちの10番目の優先課題は、21世紀に向けたリセットとしなければなりません。

単に公衆衛生だけでなく、平和や自然環境も含む不可欠なグローバル・コモンズに対する私たちのガバナンスを補強するとともに、これを最初から考え直す必要があります。

総会は、今が肝心な時期であることを認識しています。

皆様は国連創設75周年を記念する宣言で、私たちに共通のアジェンダを前進させるための提言を行うよう、私に要請しました。

私は、昨年のグローバル対話UN75の結果に基づき、深い熟考のプロセスをすでにスタートさせています。

今後の課題に取り組むために、より包摂的でネットワーク化の進んだマルチラテラリズム(多国間主義)が必要なことは明らかです。

私はまた、権力や便益、機会がより幅広く、公正に共有されるよう、国際的な「新しいグローバル取り決め」も求めています。

開発途上国は、グローバルな政策決定にもっと大きな発言権を持つべきです。

若者もまた、自らの将来の設計者として話し合いに加わらねばなりません。多くの重要な点で、正直に申し上げれば、若者たちを裏切ってきた年長者による決定の受け手ではなくです。

私の9月の報告書は、このリセットのスタートとみなすべきです。

グローバル公共財を届けるためのグローバル・ガバナンスを強化することは可能です。

私たちは一緒に、その実現を図らなければなりません。

皆様、

私たちは皆様の支援を受けながら、国連の強化に向けた重要なステップを踏んできました。

今回のパンデミックは、こうした改革にとって初めての大きな試金石となりました。私は、国連改革により私たちの活動が改善したという、皆様からのご意見に感謝しています。

私はこの取り組みの継続に全力を尽くすことを約束します。

私たちは最も不運な形で、機会を与えられています。

しかし、危機は変革をもたらすのです。

悪夢のような年を終えた私たちは今、今年を可能性と希望の年(annus possibilitatis)とするために、動き出すことができます。

私たちが望む社会の構築は可能です。

私たちは一緒に、その実現を図らなければなりません。

ありがとうございました。

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原文(English)はこちらをご覧ください。