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イエメン人道支援会合でのアントニオ・グテーレス国連事務総長挨拶 (ジュネーブ、2019年2月26日)

プレスリリース 19-009-J 2019年03月05日

©UN Photo/ Jean Marc Ferré

各国代表の方々、皆様、

この会合の議長を務められること、そして、きょう皆様をジュネーブに歓迎できることを光栄に、また嬉しく思います。そしてよろしければ、このまま開会の辞を続けさせていただきたいと思います。

各国代表の方々、来賓の方々、皆様、

きょう、ここで皆様とともに、イエメンの人々の苦難に寄り添うという共通の決意を示せることを、本当に喜ばしく思います。

私はまた、3年連続でこの会議の共同ホストを務めるスウェーデン、スイス両国の政府と、皆様の変わらぬ連帯、そして支援に感謝したいと思います。

3度目の人道支援会合の開催は、決して良いことではありません。私たちは誰もが、ここに集まらずに済むことを願っています。イエメンは依然として、世界最悪の人道危機となっているからです。

紛争が続く中、国民の80%にあたる2,400万人が、人道援助と保護を必要としています。

この1年の間にも、戦闘の継続と経済の崩壊によって、さらに200万人が人道危機に陥りました。

救命援助を必要とする男女、そして子どもと大人が200万人に上るということだけでも、大変な緊急事態です。しかしイエメンでは、それが壊滅的な人道災害のほんの一部にすぎません。

紛争激化以来の死傷者は数万人に上り、その多くは民間人であるほか、さらに多くの人々が予防可能な病気で命を失い、これに栄養不良が追い打ちをかけています。

2,000万人が自分にも、家族にも満足な食料を確保できていません。飢饉の一歩手前にいる人々も1,000万人近くに上ります。

イエメンで戦争を始めたのは、子どもたちではありません。にもかかわらず、子どもはその最も大きな代償を払っています。深刻な急性栄養失調を抱える約36万人の子どもは毎日、生きるための闘いを続けています。ある信頼できる報告によると、5歳未満の餓死者の数は8万人を超えています。

市街地での紛争継続により、昨年は避難民の数も220万人から330万人へと急増しました。

保健医療施設の過半数は活動を停止し、十分な医療を受けられない人々は2,000万人に近づいています。

2017年には、上下水道と公衆衛生のサービスが崩壊する中で、歴史上類を見ないコレラの流行が発生しました。現地で活動する人道援助団体は公的機関と連携し、コレラの蔓延を大幅に縮小しました。それでも、まだ脅威は去っていません。イエメンでは依然として1,800万人近くが、安全な飲み水も衛生施設も十分に利用できないからです。

イエメンでは、200万人の子どもが就学できないほか、損傷したり、破壊されたり、避難民の避難所となったり、武装集団に占拠されたりするなどして、紛争の直接的影響を受ける学校が2,000校に上っています。イエメン政府はようやく、全国での給与支給の拡大に本腰を入れたとはいえ、イエメン全体の半数にあたる教員は、2年間にわたって給与の支払を受けていません。

また、すべての人道緊急事態がそうであるように、女性は大人も子どもも、危機の中の危機に苦しんでいます。性的暴力やジェンダーに基づく暴力を受けたり、児童婚を迫られたりするリスクが高まっているからです。イエメンでは、女児の3分の2以上が18歳未満で結婚していますが、この割合は紛争勃発以前の50%と比較しても高くなっています。

各国代表の方々、皆様、

私たちがここに集まった目的は、壊滅的な危機への対応にあります。

しかし私たちは、人道問題に人道的解決策がないことも知っています。

よって私は、この未曽有の苦難の根本的原因となっている紛争に終止符を打つための取り組みの進展を歓迎したいと思います。

先にはまだ長い道のりがあり、克服すべき障害も多いとはいえ、希望の兆しは見え始めています。

国連の仲介により2018年12月に成立したストックホルム合意と、これに支持を表明する安全保障理事会決議2451から生まれたフダイダの停戦は、ご存知の通り多くの問題を抱えながらも、基本的には守られています。

紛争当事者はその他、サリーフとラスイッサの港湾や、捕虜交換の執行メカニズムに関する合意規定の履行を進めるという決意も表明しています。

また、フダイダ合意支援のために新たに設置された国連ミッションは、当事者と密接に連携しながら、部隊の移動と人道的回廊の開設に向けて前進を図っています。私はマーティン・グリフィス特使の取り組みにも感謝します。

そして紛争当事者に対し、交渉を続け、恒久的平和への道を選ぶよう強く訴えます。

国際社会の目的の一貫性と、加盟国がこの政治的プロセスに提供している強力な支援は今後とも、不可欠な役割を果たし続けるでしょう。

しかし、私たちは平和に向けて少しずつ歩を進めているとはいえ、先程も申しあげたとおり、まだまだ長い道のりが控えているため、今年も人道支援をさらに強化していかねばなりません。

2019年のイエメン人道対応計画は、国内の1,500万人を対象とする援助に40億ドルを必要としています。

また、この資金の半分以上は、緊急食糧援助の対象者を毎月1,200万人に増やすために用いられます。

12月には、ドナーからの寛大な支援もあり、国連と現地のパートナーは、援助対象者を800万人から1,000万人超へと拡大することができました。しかし、さらに取り組みを広げる必要があります。

昨年、私たちは要請額の83%に相当する26億ドルを集めることができました。この1年間には、200を超える援助機関がイエメンの全333地区の人々に援助を届けています。

私は、本日の会議に先立ち、すでに寛大な拠出を誓約または確約しているドナーに感謝します。

先月は、緊急援助調整官(ERC)が中央緊急対応基金(CERF)から3,200万ドルを、人道援助の物流支援に割り当てました。

本日の拠出誓約は、イエメン全土の人道支援要員が困窮を極めるさらに多くの女性、男性、そして子どもに手を差し伸べるための支援となることでしょう。

また、私はすべての当事者に対し、国内全土への安全で無制限かつ無条件の人道アクセスを認め、国際人道法と民間人、民生インフラの保護を尊重するよう強く訴えます。

イエメンで活動している人道支援要員の大半は、同胞の男女を支援するイエメン人であり、私はその奉仕に感謝しています。

イエメンは長年にわたり、数十万の難民や通過民を受け入れてきました。

私自身も難民高等弁務官として、困窮した人々に対するイエメンの伝説的とも言える温かいもてなしや優しさを目の当たりにしました。

私はいつも、イエメンの人々の寛大な心に大きな感動を覚えてきました。ほんの数年前、イエメンの沿岸部には多数のソマリア人が流入しましたが、他の多くの国境が閉ざされる中で、イエメンはこれら避難民全員に暫定的な難民の地位を認めました。イエメン人はそのわずかな資源をソマリア人と共有しました。ソマリア人はキャンプに受け入れられただけでなく、その大多数が都市に移り住み、イエメンの人々の連帯を糧に暮らしたのです。

この並外れた寛大さに報いる意味でも、私は国際社会が同じような寛大さを示し、当然のことながら、私たちの全面的な連帯とコミットメントに値するイエメンの人々を支援する必要があると考えています。

そして私は、イエメンが再び自立し、国際社会で十分な役割を果たすことになることも確信しています。

その時まで、私は苦難にあるイエメンの多くの人々と連帯します。国連とさらに幅広い国際社会も、皆様に寄り添って歩みを共にします。

神の思し召しにより、力を合わせてイエメンの苦難に終止符が打てますように。

ありがとうございました。

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原文(English)はこちらをご覧ください。