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事務総長、コソボ声明

1999年06月10日

コソボ文民活動に対する決意表明

 以下、6月10日採択されたコソボに関する安保理決議に関して、コフィー・アナン事務総長が発表した声明(非公式訳)である。

 この決議により、国連安全保障理事会は、コソボ住民のためのよりよい未来に向けた道を示しました。すべての難民と国内避難民が安全に故郷へ戻れる未来であり、すべての人々の市民権、政治権および人権の尊重が完全に保証される未来です。

 きょう、私達は少なくとも、バルカンの歴史上、一つの暗く陰うつな章の終わりのはじまりを見ています。きょう、私達は和平の道を歩み出すのです。私達のこれまでの道のりと同じく、この道にも、大きな勇気と決意を必要とする困難や危険が待ち受けていることでしょう。私達に対する挑戦の大きさは、誰も疑うことができません。暴力、人権の侵害、追放、そして昨年から続いた破壊を経て、コソボに平常の生活のひとかけらでも取り戻すことは、極めて大きな任務です。

 家を再建し、インフラを復旧し、制度を再生し、市民社会を再び活性化させるためには、コソボの将来に対して責任を共有するすべての人々による犠牲、献身、そして忍耐力が必要です。計画を策定する上でも、冬の訪れまでには間がなく、私達は時間との闘いを迫られています。

 国連には、和平のための文民活動を効果的かつ効率的に主導する決意があります。しかし、そのためには、すべての当事者の協力が必要です。私達はまた、この任務を遂行するための手段を必要としています。

 平和を約束するだけでは不十分です。すべての側面において、和平を実現する意志こそが重要なのです。その中には、国連は責任を持たないものの、平和と安定の回復には不可欠な任務も含まれています。

 例えば、セルビアの軍隊、民兵および警察部隊の全面撤退と、コソボ解放軍の武装解除の必要性が考えられます。

 私は安全保障面で責任を有する人々に対し、迅速な対応を求めたいと思います。

 私は早急に、安保理に対し、この決議で承認された文民活動の真の統合と実効性を確保する方法に関し、具体的な提案を行う所存です。

 今後は、持続可能な平和を構築し、立場の大きくかけ離れた人々を妥協させるという、困難かつ極めて複雑な任務も控えています。私達はその際、コソボ危機の根本原因に対処する必要があります。

 私は先ほど、これが暗く醜悪な一つの章の終わりのはじまりである、と述べました。

 私達はきょう、今後の任務に強力な法的基盤を与える画期的な決議を安保理が採択したことについて、歓喜しようではありませんか。しかし勝利に酔いしれることはやめましょう。極めて大きな任務が、私たちを待ち受けているのです。

 さあ、私達全員で、全力を傾けて作業に取りかかろうではありませんか。