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世界環境デー(6月5日)に寄せる
コフィー・アナン国連事務総長のメッセージ

プレスリリース 02/047-J 2002年06月03日

 今年の世界環境デーのテーマは「地球にチャンスを」です。このテーマには、地球の状況と持続可能な開発を追求する広範な努力について緊急のメッセージを伝えたいという願いが込められています。

 持続可能な開発には3つの柱があります。経済成長、社会の進歩、そして環境と天然資源の保護です。1987年に『Our Common Future』(邦題『われら共有の未来』)という出版物によってこの考え方がはじめて世界の舞台に躍り出たとき、人々は、それまでのアプローチを乗り越えようと決意したのです。それは、環境問題を政治地図に載せはするものの、他の2つの重要な問題は十分に考慮しない生態系アプローチとの決別でした。

 1992年、リオデジャネイロで、国際社会は概念上の飛躍的な前進を遂げました。環境問題は、もはや贅沢なもの、あるいはあと知恵の産物とみなされなくなると思われました。環境問題は経済や社会の発展と統合され、政策決定プロセスの中心にすえられることになりました。開発途上国は、先進諸国がたどった近代化の道とは異なり、環境の面でもっと健全な道をたどるよう、手助けけがなされることになりました。この大局的な構図、すなわち長期的な成長、平等、正義、そして環境保護の建設的なビジョンが人々の心にしっかりと描かれたのです。

 しかし、この「地球サミット」の大きな成果にもかかわらず、またその後のさまざまな努力と、多くの意義ある前進にもかかわらず、最新の情報によると、地球はまだ集中治療が必要な状態です。貧困、環境汚染、人口増加、農村の貧困と急速な都市化、そして浪費的な消費の習慣と、水、土地、エネルギーの需要の拡大は、地球の生命維持システムに極度の圧力をかけ続けています。それは、持続可能な開発を達成する人類の能力を脅かしているのです。

 私たちは、相互の責任感を強めない限り、環境を守ることはできないでしょう。特に私たちの相互依存の時代には、このことが大切です。また、一部の社会は他の社会に比べてはるかに大きな「足跡」を環境に残しているのですから、互いに責任をもつという意識が不可欠です。今年はリオ会議から10年目に当たります。私は、今年南アフリカで開かれる「持続可能な開発に関する世界サミット」に世界のすべての国、すべての関係者が集まること、そして、そこで目に見える本物の進歩が生まれることを望みます。