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生物多様化のための国際デー(5月22日)に寄せる
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ

プレスリリース 03/043-J 2003年05月22日

生物多様性は、人類の生存にとって不可欠であり、持続可能な開発と貧困の撲滅において重要な役割を果たす資源でありながら、一般に過小評価されています。生物多様性は、何百万もの人々に生活の糧を与え、食料確保に役立ち、伝統的な医学や近代的な薬剤にとっての豊かな資源です。さらに生物多様性は、すべての生命が依存する基本的な生態系を支えています。私たちが今、生物学的な資源の消失を食い止めなければ、2015年までにミレニアム開発目標を達成するための努力は、不可能とは言わないまでも、非常に困難になるでしょう。
 
 昨年、ヨハネスブルクで開かれた「持続可能な開発に関する世界サミット」に先立ち、私は、水(Water)、エネルギー(Energy)、健康(Health)、農業(Agriculture)と並ぶ5つの主要分野の1つとして、生物多様性(Biodiversity)を取り上げました。「WEHAB」と呼ばれるこの5つは、現実的で具体的な進歩が可能な分野です。同サミットの準備過程においても、本会議においても、生物多様性の問題にこれまでの主要な国際会議よりずっと大きな関心が払われたことは、私を非常に勇気づけてくれました。
 
 ヨハネスブルクで、各国政府は2010年までに生物多様性の消失の割合を大幅に低下させると約束しました。しかし、そのためには、さまざまな人がさまざまな分野で調和の取れた行動を取ることが必要です。
 
 生物多様性条約とバイオ・セーフティに関する議定書をまだ批准していない政府は、早急に批准すべきです。こうした法的手段、およびそれらが推進しているプロセスは、生物多様性の保護と持続可能な利用にとって、また遺伝資源の利用から発生する利益の公正で平等な分配にとって、きわめて重要です。しかし、批准はスタートにすぎません。各国政府は、自国の政策、とりわけ予算配分において、生物多様性の重要性の認識を反映させるようにすることが必要です。
 
 しかし、生物多様性の保護は、政府に任せておけばよいというものではありません。固定された見解を変え、破壊的な行動パターンに終止符を打つ上で、国際組織、非政府組織、民間部門、そして私たち一人ひとりが果たすべき役割をもっています。地方のコミュニティの関与は特に重要です。資源の管理などの分野において、多くのコミュニティが他の人々の模範となるような革新的なアプローチをすでに見出しているからです。
 
 生物多様性は、人類すべてにとって基本的な遺産です。その消失を食い止め、海洋と陸上の両方を含む地球生態系の継続的な機能を保証することは、すべての人にとって優先されるべき課題です。「生物多様化のための国際デー」にあたり、生物多様性の価値に対する認識を地球規模で高め、その保護に向けて前進するための契機を生み出すよう、最大限の努力をすると誓おうではありませんか。