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朝日地球会議2025に寄せる メリッサ・フレミング国連事務次長ビデオメッセージ (2025年10月25日)

プレスリリース 25-069-J 2025年10月27日

友人の皆様、

本日は、ニューヨークの国連本部から皆様とご一緒できることを光栄に思います。

私は、グローバル・コミュニケーション担当国連事務次長のメリッサ・フレミングです。

私たちは記念すべき年に集まっています。それは、この会議が10周年を迎えるからだけではありません。

今年は、国際社会と日本にとっても記念すべき年です。広島と長崎に原爆が投下されてから80年の節目であり、国連も創設80周年を迎えます。

これらの出来事が同じ年に起きたことは、偶然ではありません。

1945年当時、原爆投下、ホロコースト、第二次世界大戦の惨禍に打ちひしがれつつも、世界はより良い未来を築くために結束しました。

国連憲章が誓うように、「戦争の惨害から将来の世代を救う」ために。

80年が経った今、国連の創設と第三次世界大戦の予防との間に直接的なつながりがあることを再認識するのは、意義深いことです。

国連は創設当初から、核兵器のない世界を目指して闘ってきました。

現在、私たちはこの闘いにおいて、厳しい局面を迎えています。核兵器の使用はもはや抽象的な脅威ではなく、現実の差し迫った危機となっています。

国連は、核兵器を完全に廃絶し、核軍縮に向けて昨年世界が約束を新たにしたことから先に進むという使命を、決して放棄しません。

国連は、核軍縮および国連のすべての中核的な優先課題に対する日本の揺るぎない支援に、深く感謝しています。それは単に国連予算や平和維持活動予算に対する最大の貢献国の一つであることに留まりません。

日本の人々は、世界の舞台で卓越したリーダーシップを示してきました。

地球上で最も脆弱な立場に置かれた人々に、寛大さと連帯を提供することで。災害に対してより良く備えるよう、世界に促すことで。そして、すべての人々にとっての持続可能な開発にコミットすることで。

日本は、より良い未来に向けた私たちのロードマップ、持続可能な開発目標(SDGs)の揺るぎない支援者となってきました。

持続可能な開発とはつまり、豊かな地球上において誰も飢えるようなことがあってはならない、安全な飲料水や医薬品の不足によって命を落とす人がいてはならない、学びの機会を逃す子どもがいてはならないということです。

SDGsは、より良い世界は実現可能であるという信念の表れです。

悲惨な紛争に巻き込まれた人々、自然災害の余波に苦しむ人々が、生き延びるための支援を受けられる世界。

健全な地球の上で、誰もが平和、尊厳、平等のうちに生きる世界。

しかし、そのビジョンが脅威にさらされています。

私たちは、国連がかつてないほど攻撃されているのを目の当たりにしています。

一方で、資金の大幅な削減は、国連が奉仕する人々、とりわけ地球上で最も脆弱な立場に置かれた人々に壊滅的な結果をもたらしています。

この火に油を注いでいるのが、有害な情報環境です。

私たちはかつて、ソーシャルメディアが人々をつなぎ、解決策を広め、声なき人々に声を与えると信じていました。

しかし実際には、暴挙や嘘がその恩恵を享受し、憎悪が増幅され、難民が悪者扱いされ、女性が沈黙させられ、気候活動家が攻撃されています。

現在、国連の支援機関や平和維持要員たちは、命が危険にさらされる偽情報キャンペーンの標的となっています。

被害は、甚大です。

それは、気候行動を遅らせ、暴力を助長し、

事実、科学、そして真実という概念そのものに対する信頼を蝕んでいます。

そして、世界が燃えさかる中、国連は圧力を受けています。

これが、私たちが進みゆく世界です。国際支援アーキテクチャの大部分が崩壊し、国際法が踏みにじられ、グローバルな規範が壊されつつある世界です。

それでも、希望は残されています。

昨年、世界の指導者たちは、国連において3つの歴史的文書に合意しました:
• 「未来のための協定」 — ここ数十年で最も野心的な、刷新のためのアジェンダ。
• 「グローバル・デジタル・コンパクト 」— 人工知能(AI)とオンライン空間の安全に関する初の枠組み。
• 「将来世代に関する宣言」 — 将来世代の権利を守るという誓約。

私たちはまた、「情報の誠実性のための国連グローバル原則」を発表しました。これは、私たちの情報空間を取り戻すためのロードマップです。

アントニオ・グテーレス国連事務総長は「私は、楽観的でも悲観的でもありません。ただ、断固として決心しているのです」というジャン・モネの言葉を引用して、私たちに思い出させました。

事務総長は、私たちに3つのことを実行するよう求めました。マルチラテラリズム(多国間主義)を守ること、原則を貫くこと、そして機会を捉えることです。

それが「UN80イニシアチブ」の精神です。国連の効率性と費用対効果を高め、リソースが縮小する時代においても成果を上げられるようにするということです。

友人の皆様、

国連のリソースは縮小しています。しかし、私たちの決意はしぼみません。

私は今年、2025年大阪・関西万博で、国際的な連帯の精神を目の当たりにしました。

皆様が、万博で国連パビリオンを訪れる機会があったことを願います。

国連パビリオンは、日本政府の寛大な支援を受けました。それは、日本の人々と、繁栄、安定、平和を求めるすべての人々にとって、国連という組織が引き続き重要性と価値を持つ存在であることを示すものでした。

パビリオンに一つ、とても特別な展示がありました。それは、日本からニューヨークの国連本部へ寄贈された日本の「平和の鐘」を模した、ミニチュアのレプリカです。

鐘の側面には、日本語で8文字、「世界絶対平和萬歳」と記されています。

私は、職場で本物の鐘を見るたびに足を止めます。

その鐘の音を聞くすべての人々が平和に対する決意に満たされるよう、私は切に願っています。

最後に、皆様の議論が実り多きものとなるよう祈念するとともに、具体的なお願いを申し上げたいと思います。

私たちは、マルチラテラリズムの必要性を守る上でお力添えいただき、国連への支援を継続していただくことを必要としています。

ぜひ、このメッセージを皆様の周りにも広め、平和の鐘を鳴らしてください。

ありがとうございました。

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