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国際淡水年(2003)に寄せる
松浦晃一郎ユネスコ事務局長メッセージ

プレスリリース 03/013-J 2003年03月05日

「国際淡水年」の開始を宣言するこの特別な機会に、国連教育科学文化機関(UNESCO)を代表して皆様にご挨拶できますことは、私にとって大きな名誉です。特別の機会であると申しますのは、社会の福祉のために淡水資源を健全に管理することの重要性を認め、今年さまざまな行事を行おうと決めたのが他ならぬ国連加盟国 ― つまり世界全体 ― だったからです。また、これはユネスコにとっても特別な機会です。なぜなら、ユネスコは国連経済社会局とともに淡水年の活動を調整する重責を担っているからです。
 
 水は現在ユネスコが最も関心を持って活動を進めている領域の一つです。今日、ユネスコが水の問題に関心を持っているのは、もちろんそればかりではありませんが、主に科学的見地から長年にわたって水に関連した問題に取り組んできたことに由来します。ユネスコは1975年に「国際水文学計画」を発足させました。これは水に関する科学的根拠を提供し、それによって地球の水資源を評価し、水管理と開発の慣行に指針を与える倫理的かつ経済社会的原則を策定できるようにすることを目的にしたもので、この分野では先駆的な活動でした。その後、私たちは他の部門の関心事や専門分野を淡水に関する活動に統合しました。これは、たとえば私たちは水資源の有無が教育の機会、特に農村地域に暮らす女性や少女の教育の機会に影響を与えることを知っているからです。こうした地域では、厄介な水汲みのために教育を受ける機会が減ったり、失われたりしています。私たちはまた、文化と水との間に重要な接点があることを認識しています。現地の伝統や慣習によって水へのアクセスや利用が規制されているような所においては、特にそれがはっきりと見られます。さらに、海洋や地球温暖化など、淡水と主要な生態系の問題は互いに関連し合っていることを知っています。したがって、ユネスコは多角的なアプローチを通して淡水の問題に取り組んでおり、ユネスコの権限内にあるすべての分野の活動が利用されています。
 
 ユネスコの使命は国際協力を通して平和と安全、開発を促進することであり、ユネスコのアプローチはこうしたことを通しても形成されます。水は平和の課題であって、紛争の課題ではないと私は確信しています。ユネスコは今世紀が「水の戦争」ではなく「水の平和」となる方法を探っています。水資源を効率よく、しかも倫理的に管理する原則と方法を発展させることによって、私たちは持続可能な開発へと一歩近づくことができるのです。人間を中心とした、政策志向の活動を進めることによって、ユネスコはミレニアム開発目標と持続可能な開発に関する世界サミットが定めた目標を達成しようと決意を固めています。
 
 国際協力は不可欠の要素です。ユネスコは世界水資源評価計画(WWAP)事務局を務めていることを誇りに思っています。23の国連機関やその他多くのパートナーによる共同の努力を通して、同計画は「世界水資源開発報告」を発刊することになっています。最初の報告は2003年3月に京都で開かれる「第3回世界水フォーラム」で発表されます。史上初めて、国内の政策決定者、非政府組織、一般市民がグローバルおよび地域の水状況の定期的な評価にアクセスできるようになるのです。
 
 国際淡水年を記念した行事はすべての地域、国、コミュニティに明確なメッセージを届けるばかりでなく、水に関する不可欠な、神聖でさえある問題に関してあらゆる発言に注意深く耳を傾けるこの上ない機会を提供するものです。淡水年を記念して各種の行事や計画が行われる予定ですが、私はここでそのうちの一つだけに触れたいと思います。2003年の終わりに、水資源管理パン・アフリカ会議がアジスアベバで開かれます。これは水資源管理の時代がアフリカに到来することを告げるものです。会議では「アフリカ水資源開発報告」が発表されることになっています。これは「世界水資源開発報告」を参考に、アフリカの各種組織がイニシアチブを取って作成するものです。私は、ユネスコが淡水年に関するホームページを立ち上げたとご報告できることを喜んでいます。ホームページは教育に焦点を当てており、すべての人に開放されています。すべての国や国連機関は淡水年に関連して行った活動や貢献をホームページの中に載せ、宣伝することができます。すべての人が共有と参加を求められています。
 
 私たちは共に、淡水年がもたらすこの機会を見逃すことなく、世界全体の意識と良心に淡水資源の重要性を刻み込まなければなりません。国際平和のために、そして人間の安全保障、持続可能な開発のために、私たちは、淡水資源に関して私たちが行うすべての活動を大切にし、共有していかなければなりません。このメッセージを今、遠く広くあまねく伝えようではありませんか。
 
松浦晃一郎
ユネスコ事務局長
2002年12月12日