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国連総会、SDGsを推進するために初の開発資金サミットを開催(UN News 記事・日本語訳)

2025年10月14日

国連の国際移住機関(IOM)の共同出資制度による資金提供を受け、エチオピアのファルジャノに建設された新しい小学校  © IOM/Abdirahman Deni

2025924日 ― アーティストのマーシャ・ダン氏が、初の開催となる「持続可能で、包摂的、レジリエント(強靭)な世界経済のための隔年サミット」での議論を視覚的にまとめたデジタル画では、「包摂性」「レジリエンス(強靭性)」「改革」をはじめとした青や緑に彩られた言葉の数々が、会議の要点を力強く表しました。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、次のように述べました。「この隔年サミットは、単なる会議ではありません。これまでにない初の試みです

G7G20、ならびにCOP30国連気候変動会議を代表するハイレベルの政治家、国際機関、および当局者たちが出席したこの会議では、2030年の持続可能な開発目標SDGs)達成に向けた険しい道のりにおける開発資金の課題への対応が焦点となりました。

これはネットワーク化された包摂的なマルチラテラリズム(多国間主義)の実践ですグテーレス事務総長は、このように発言しました。事務総長は2021年に本サミットを提唱し、それは昨年の「未来のための協定」合意において国際金融システム改革の主要アプローチの一つに位置づけられました。

このイベントは、「一貫性、野心、包摂性、そして行動をもたらすための場として構想されたものです」

© Marsha Dunn

債務の削減と改革の実施

「自国をできるだけ健全な状態に整えることが必要です」各国が改革を支援するためにできることを議論する中、国際通貨基金(IMF)のクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事はこう述べました。

ゲオルギエバ専務理事は、この10年の終わりまでに世界の公的債務がGDP比で約100%に達する見込みであり、それによって「多くの国々が将来の(経済)ショックを吸収し、国民の差し迫ったニーズに対応する上で必要な財政余地」を奪われる可能性があると警鐘を鳴らしました。

専務理事は各国に向けて、債務を「横ばい、または減少傾向に転じる持続可能な軌道」に置くことを優先し、民間投資を誘致するための構造改革を実施するよう促しました。

専務理事は、次のように述べています。「規制が時代遅れであるなら、それは不要であり、撤廃すべきです。資金へのアクセスが制限されている分野では、それを容易にし、財産権の保護についても考えるべきです。そうすることで、人々は投資に自信を持てるようになるからです」

4兆ドルの資金ギャップの解消へ

今年のG20先進国首脳会議を主導する南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領はサミットで演説を行い、SDGsの達成に必要とされる4兆ドルの資金ギャップを埋める必要性を強調しました。

そのために大統領は、「迅速」で「公平」な債務救済と再編、手頃でアクセスしやすい資金調達、不正な流出を抑制するための国際的な課税ルールの改革などを提言しました。

決められたコミットメントは守られる、国際的なルールは少数の国だけでなくすべての加盟国によって形作られる、という確信が必要です」ラマポーザ大統領は、このように述べました。

貿易が持つ「驚くべきレジリエンス」

「米国による関税措置は多大な影響を与え、世界貿易の不安定で不確実な均衡を生み出しましたが、貿易システムの中核は依然として安定しています」こう述べたのは、世界貿易機関(WTO)のゴズィ・オコンジョ=イウェアラ事務局長です。

「驚くべきレジリエンス」と表現した貿易システムについて、事務局長は、デジタルで提供されるサービスは昨年ほぼ10%成長して約5兆ドルに達し、南南協力も拡大を続けていると述べました。

事務局長は、加盟国に対して貿易を多様化させることを促すとともに、あらゆる自由貿易協定と地域貿易協定を歓迎しました。

グテーレス事務総長は最初のセッションの締めくくりにあたり、戦後に生まれた金融アーキテクチャの改革という、自身が重視するテーマに再び言及しました。

「ニーズに対して、公的資金が少ない、極めて少ない」一方で、民間セクターでは「国際および国内金融機関は、民間投資と民間資金の活用をさらに強化する必要がある」と述べました。

事務総長は、現在の「開発途上国にとって不利な偏り」を批判し、持続可能な成長を促進するため、将来的に資本の借入価格をより合理的に設定する必要があると主張しました。

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原文(English)はこちらをご覧ください。