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国連の新たな報告書、SDGsを救うための数兆ドルの開発投資の拡大を呼びかけ(2024年4月9日付プレスリリース・日本語訳)

プレスリリース 24-022-J 2024年04月26日

SDG投資の拡大とグローバル金融システムの改革には大胆な行動が必要

国連、202449 本日発表された国連の新たな報告書は、世界の持続可能な開発の危機の中心には、資金供給の課題があると指摘しています。巨額の債務負担と借り入れコストの高騰によって、開発途上国は、自国が直面している複合的な危機に対応できていません。資金供給を大幅に増やし、国際金融アーキテクチャを改革することによってのみ、持続可能な開発目標(SDGsを救うことができるのです。

『2024 Financing for Sustainable Development Report: Financing for Development at a Crossroads(2024年持続可能な開発資金報告書:岐路に立つ開発資金)』は、開発資金のギャップを埋めるために、緊急の措置を講じて資金を大規模に動員する必要があると指摘しています。その額は現在、年間4.2兆米ドルと推定されており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック前の2.5兆米ドルから増加しています。一方で、地政学的緊張の高まり、気候関連災害、そして世界的な生活費の危機が何十億もの人々を直撃し、医療、教育、その他の開発目標の前進に打撃を与えています。

アミーナ・J・モハメッド国連副事務総長は、次のように述べています。「今回の報告書は、『持続可能な開発のための2030アジェンダ』を達成するための道のりは未だに遠く、迅速な行動が必要であることを改めて示すものです。私たちはまさに岐路に立たされており、残り時間が少なくなっています。指導者たちは、単なるレトリックを超えて、約束を果たさねばなりません。十分な資金が供給されなければ、2030年の目標を達成することはできないのです」

SDGsの達成までに残された時間は6年しかなく、特に最貧国では、苦労して得た開発の成果が後退しつつあります。国連の推計によると、現在の傾向が続けば、2030年以降も6億人近くが引き続き極度の貧困の中で暮らすことになり、そのうち半数以上が女性です。

李軍華(リ・ジュンファ)国連経済社会問題担当事務次長は、次のように述べています。「私たちは、持続可能な開発の危機に直面しており、不平等、インフレ、債務、紛争、気候関連災害のすべてが、その原因となっています。これに対応するにはリソースが必要で、資金はあるのです。租税回避や脱税によって毎年数十億ドルが失われており、化石燃料への補助金は数兆ドルに上ります。世界的に見れば、資金は不足しておらず、むしろ欠けているのは、意志とコミットメントなのです」

報告書によると、債務負担と上昇する借り入れコストが危機の大きな要因となっています。後発開発途上国の2023年から2025年の債務返済額は年間400億米ドルと推定されていますが、これは2022年の260億米ドルから50%超も増加しています。脆弱な国々における債務が急増している原因の半分以上は、気候関連災害の激甚化・頻発化によるものです。現在、最貧国は歳入の12%を利払いに充てていますが、これは10年前の4倍に相当します。世界人口のおよそ4割は、政府が教育・保健予算を上回る額の利払いを続ける国で暮らしているのです。

持続可能な開発に関連した部門への投資は、2000年代前半は着実に増加していましたが、現在、主要な開発資金源は減速傾向にあります。例えば、一部に租税回避や脱税などにより、とりわけ後発開発途上国やその他低所得国において、2010年以降、国内歳入の伸びが停滞しています。法人所得税率の引き下げが進み、グローバル化と租税競争によって、世界の平均法人税率は、2000年の28.2%から2023年には21.1%に下がりました。

一方で、経済協力開発機構(OECD)諸国による政府開発援助(ODA)と気候変動対策資金の約束は果たされていません。ODAは、2021年の1,859億米ドルから2022年に過去最高の2,110億米ドルに達しましたが、増加分の大半はドナー国に暮らす難民への支援が占めており、総額は開発には不十分となっています。国民総所得(GNI)の0.7%という国連の援助目標を達成した国は、2022年はわずか4カ国でした。

報告書は、1944年のブレトンウッズ会議で構築された国際金融システムが、もはや目的にかなっていないと結論づけています。そして、危機への対応力をより良く備え、特に国際金融機関の強化を通じてSDGsへの投資を拡大させ、すべての国々のためにグローバル・セーフティネットを改善させる、一貫性のある新システムを提案しています。

報告書は、2024年9月に開催される国連の「未来サミットが、方針を転換する上で極めて重要な機会であることを指摘しています。また、2025年6月に開催される「4回開発資金国際会議」が、各国にとって、開発資金ギャップの解消を約束し、SDGsを達成するために投資するための非常に決定的な場になることを強調しています。

第4回開発資金国際会議は、以下の機会を各国に提供します。

  • 信用のギャップを埋め、マルチラテラリズム(多国間主義)に対する信頼を回復する
  • 大規模かつ緊急に資金や投資のギャップを埋める
  • 時代遅れの国際金融アーキテクチャを改革・近代化し、貿易、投資および金融における国際ルールを調整する
  • SDGsを達成し、誰一人取り残さないようにするための新たな開発経路を策定し、資金を投じる

モハメッド副事務総長は、次のように述べています。「グローバル協力、的を絞った資金供与、そして何よりも政治的な意志がなければ、世界はSDGsを達成することはできません。時は、刻一刻と過ぎていきます。私たちは、今から来年の第4回開発資金国際会議までの間に、金融アーキテクチャを包括的に改革する80年に一度の機会を得ており、そしてこれは、2030年までに軌道を修正する最後のチャンスなのです。地球と人類にとって時間切れが迫る中、行動する力を持ち合わせていながらも行動しない者たちに対して、甘い結果がもたらされるものでないことは、歴史を見ても明白でしょう」

– 以上 –

編集者注

  • 今回の報告書は、60を超える国連機関と国際機関で構成される「開発資金に関する機関合同タスクフォース」が共同で作成したものです。国連経済社会局の持続可能な開発資金事務所は、世界銀行グループ、国際通貨基金(IMF)、国際貿易機関(WTO)、国連貿易開発会議(UNCTAD)、国連開発計画(UNDP)、国連工業開発機関(UNIDO)と密接に協力しながら、タスクフォースの実質的な編集者と調整役を務めています。「アディスアベバ行動目標」によりマンデートを与えられたこのタスクフォースの座長は、李軍華・経済社会問題担当事務次長が務めています。この報告書の全文は、https://financing.desa.un.org/fsdr2024 でご覧いただけます。
  • この報告書は、開発資金に関する経済社会理事会(ECOSOC)フォーラムにおける議論のたたき台となります。加盟国は同フォーラムで、持続可能な財源を動員するために必要な措置について議論します。報告書に基づく交渉は、現在も進められています。この報告書は、SDGsの達成を支援する持続可能な投資の機会に向けて各国政府の高官や投資家が一堂に会するプラットフォーム、「SDG投資フェア」や、2024年9月の国連の「未来サミット」での議論にも情報を提供するものです。
  • 今回の報告書は、とりわけグローバルな経済状況、債務、租税、国際開発協力、貿易、民間企業と民間資金、テクノロジー、グローバル・ガバナンスを対象としています。

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さらに詳しい情報や、国連の専門家とのインタビューのお申し込みについては、下記にお問い合わせください。

Rita Ann Wallace
UN Department of Economic and Social Affairs(国連経済社会局)
携帯:+1 516 707 5570
メールアドレス:rita.wallace@un.org

Sharon Birch
UN Department of Global Communications(国連グローバル・コミュニケーション局)
メールアドレス:birchs@un.org

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