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歴史的な国連水会議、世界的な水危機と水の確保に対処する分岐点となり、閉幕(2023年3月24日付プレスリリース・日本語訳)

プレスリリース 23-022-J 2023年04月27日

米国・ニューヨーク、324 – ニューヨークで開催された2023年国連水会議が、本日閉幕しました。会議では、世界的な水危機に対する画期的な対応がなされ、各国政府・企業・市民社会が、持続可能な開発全体を加速させる上で鍵を握る「水行動アジェンダ」を推進するために数十億ドルを拠出することを約束しました。

2023年3月22日から24日にかけて、水危機に対処し、すべての人々に公平な水へのアクセスを確保する活動を緊急に拡大するため、約1万人の参加者が国連本部に、あるいはオンラインで結集しました。オランダ王国とタジキスタン共和国の共催によるこの会議には、世界の指導者、市民社会やビジネス界のリーダー、若者、科学者、研究者、国連システム、そして農業・エネルギー・環境・水などさまざまな部門からの参加者が、共通の目標のもと一堂に会しました。すなわち、水危機に緊急に対処し、世界を持続可能な開発目標(SDGs)の目標6「安全な水とトイレを世界中に」の達成に向けた軌道に戻すという目標です。

「この会議で示されたコミットメントによって、人類は、地球上のすべての人々が必要とする水が確保された未来に向け、前進するでしょう」アントニオ・グテーレス国連事務総長は、閉会式でこのように述べました。

水が確保された未来を実現するため、グテーレス事務総長は、鍵となる打開策について強調しました。すなわち、基本的人権としての水の位置付けを強化し、水循環系への負荷を軽減すること、食料生産と農業における持続不可能な水の使用量を削減する代替的な食料システムを新たに構築し、2030年までの計画と優先事項の指針となるグローバル水情報システムを新たに設計・導入することです。

グテーレス事務総長はまた、温室効果ガス排出量を削減し、コミュニティーを強化するため、水、生態系、気候に関するアプローチを統合するよう訴えました。これには、レジリエント(強靱)なインフラ、水道管と排水処理の計画や、2027年までに世界のすべての人々が早期警報システムによって自然災害から守られるようにすることが含まれます。さらに、気候正義と、世界の気温上昇を1.5℃に抑えるためのグローバルな行動を引き続き強く求め、最後にSDGs目標6を実現するため、すべての国々の能力構築に向けた資源の投入と投資を劇的に加速させるよう呼びかけました。

SDGsにとっての重要な分岐点となった2023年国連水会議

安全な飲料水と衛生へのアクセスは、人の健康と福祉のための最も基本的なニーズであり、人権として宣言されています。しかし、世界では約20億の人々が未だに安全な飲料水へのアクセスを欠いており、世界人口の40%が水不足の影響を受けています。農業における需要だけで、水使用の約70%を占めています。こうした負荷に加え、災害の90%以上が水に関連しており、気候変動は水を通じて最も大きな被害を生んでいます。さらに、人類の水需要は拡大する一方で、淡水への負荷は2050年までに40%以上増加すると予測されています。

こうした背景の下、国連水会議では、強制移住、気候変動、紛争に及ぼす影響を含めた水危機の緊急性から、健康、貧困削減、食料安全保障との重要な関連性を強調することに至るまで、幅広い議論が行われました。解決策に対しても関心が払われ、議論はデータ収集の改善の必要性、ガバナンス制度の強化、能力構築の機会、そして水部門における資金ギャップにまで及びました。年間1,820億から6,000億米ドル超の資金が必要とされている中、融資および革新的な資金調達スキームを開放すること、そして水経済における新たなイノベーションと大規模な投資を呼びかけることの重要性についても強調されました。

変革を推進する「水行動アジェンダ」

これに対して、この会議の重要な成果である「水行動アジェンダ」には、水危機にある世界から水が確保された世界への変革を推進するための、700を超えるコミットメントが盛り込まれました。このアジェンダは、より協調的かつ結果志向のアプローチを通じて水をめぐる課題に対処するという、国際社会の大胆な決意を表しています(コミットメントの一部については下記をご覧ください)。他にも、水担当特使の任命など複数のフォローアップ措置が検討されています。

この会議の成果については、2023年9月の国連総会期間中に開催される「SDGサミット」、2024年の「未来サミット」、2025年の「世界社会サミット」という今後予定されている3つの重要なサミットにおいて具体的なフォローアップが行われます。また、毎年開催される持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム、締約国会議やその他の国連プロセス、そしてドゥシャンベ水プロセスを通じてもフォローアップされます。

「水の未来だけでなく、世界の未来に変化をもたらすため、国際社会が決意を持って2023年国連水会議に結集しました」李軍華(リ・ジュンファ)国連経済社会問題担当事務次長はこのように述べました。

「この会議で感じた活力が、9月のSDGサミットへと続いていくことを期待しています。同サミットでは、私たちが必要としている変化をもたらす行動を推進するとともに、すべてのSDGsを達成し、健康な地球のあらゆる場所のあらゆる人々にとって持続可能な未来を確保すすべく、世界が結集するのです」

コミットメントのスナップショット

加盟国 

  • 米国は、気候変動に対してレジリエントな水・衛生インフラおよびサービスを支援する投資に、最大490億米ドルのコミットメントを発表しました。
  • 日本は、「質の高いインフラ」を整備し、今後5年間で約5,000億円(36億5,000万ドル)相当の資金援助を提供することで、アジア太平洋地域が直面する水に関連した社会問題の解決に向けて、積極的に貢献します。
  • ベトナムは、2025年までに主要河川流域の管理政策を策定し、2030年までにすべての家庭が安全な水道水にアクセスできるようにすると誓約しました。
  • スイスは、水条約(Water Convention)や国境を越えた協力の分野を含めた、国連の取り組みに資する5つのコミットメントを提出しました。同国は、協力のための水に関する双方向対話(Interactive Dialogue on Water for Cooperation)の共同議長国です。
  • ニジェール川流域機構(NBA)とドイツ連邦環境・自然保護・原子力安全・消費者保護省(BMUV)は、同機構とその加盟国を強化するプロジェクトへの資金として、2,120万米ドルの共同コミットメントを行いました。
  • モザンビーク政府は、95億米ドルの投資を行い、国連持続可能な開発目標(SDGs)目標6を2030年までの達成に向け加速化する上で必要なあらゆる措置を講じることをコミットしました。
  • アフリカ連合委員会は、アフリカ大陸投資プログラム(AIP)に基づいて、アフリカの水投資に関する国際ハイレベルパネルを含むさまざまなイニシアチブを通じて、2030年までに少なくとも年間300億米ドルを動員し、アフリカの水投資不足を埋めることを目標にしています。
  • 欧州連合(EU)は、2030年までに、7,000万人がより良い飲料水源および(または)衛生施設にアクセスできるよう支援することを目標にしています。EUはまた、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の下水サーベイランスの展開を加速すべく、2,000万ユーロの資金を拠出して加盟国を支援します。
  • 50を超える主要なグローバル企業が団結し、SDGs目標6に対する共同コミットメントを行っています。

多国間銀行

  • アジア開発銀行は、2030年までに、アジア太平洋地域の水部門に向けて110億米ドルを、また世界の水部門に向けて1,000億米ドルを投資することをコミットしています。

民間セクター

  • スターバックス、エコラボ、ギャップ、レキット、デュポンは、米国政府と協力し、500万人に水と衛生へのアクセスを提供することを目標に、Water Access Fundに対しておよそ1億4,000万米ドルを拠出します。
  • ダノンは、3,000万の困窮している人々に、安全な水への日常的なアクセスを提供するため、水アクセラレーション・ブレンディング・ファンドを立ち上げています。
  • ザイレムとほか16社は、研究開発に110億米ドルをコミットしています。
  • ワールド・ベンチマーキング・アライアンス(World Benchmarking Alliance)は、企業の説明責任におけるギャップを埋める後押しをすべく、22業種のグローバル企業1,000社の水に関連した目標の達成に向けたインパクトについて、2年ごとに評価することを誓約しています。

非政府組織(NGOs

  • ワールド・ビジョンは、変革をもたらす水と衛生(WASH)サービスの取り組みによるインパクトを6地域の50カ国に拡大するため、2030年までに20億米ドルを調達・投資することにコミットしました。

注記:水行動アジェンダのすべてのコミットメントは、こちらに掲載されています。

 

主なリンク

2023年国連水会議ウェブサイト

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