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COVID-19 関連 “任務の完了”のために機運を高め、パンデミックに収束をとグテーレス事務総長が呼びかけ(UN News 記事・日本語訳)

2022年10月21日

COVAXファシリティーを通じて寄付されたCOVID-19ワクチンの接種を受けるインドネシア・クパンの住民(file photo)©UNICEF/Fauzan Ijazah

 

2022923日-アントニオ・グテーレス事務総長をはじめとする国連高官は本日、ニューヨークの国連本部で開催されたハイレベルイベントに参加し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック収束に向けて心強い進展があったと指摘する一方、最も脆弱な立場に置かれた人々を確実に保護するために、まだやるべき仕事があるとの認識を示しました。

グテーレス事務総長は、世界的にワクチン接種率が上昇し、とりわけリスクの高い人々の間で接種率が顕著であること、そして医療従事者と高齢者への接種が各国で約4分の3終了した事実を称えました。

COVID-19対策は、日常の保健衛生プログラムに組み込まれるようになっており、新しい抗ウイルス薬も利用可能になろうとしています。

格差は依然として残っている

しかし、ワクチン接種率と保護にはまだ格差が残っているとグテーレス事務総長は述べました。ブースター接種(追加接種)はすべての国で最低限に留まっており、貧困国ではワクチン接種率が低い状況となっています。事務総長はまた、ワクチン忌避や誤情報といった、対処すべき「影のパンデミック」にも警鐘を鳴らしました。

さらに事務総長は、検査率を大幅に向上させること、各国が将来のパンデミックへの十分な備えを確保することを呼びかけました。「これらの格差解消に向けて前進することが、今日成すべきことのすべてです。COVID-19関連の任務完了に向けた政治的な機運をつくる時が来ています」と事務総長は言明しました。

COVAXファシリティーを通じて寄付されたCOVID-19ワクチンをネパールの医療施設に届ける医療従事者©UNICEF/Laxmi Prasad Ngakhusi

 

「COVID-19を終わらせる最適な状況」

国連の保健機関である世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は、パンデミックが始まって以降、何度も悲観的な発言をしなければなりませんでしたが、9月23日のイベントでは極めて前向きなメッセージを発信することができました。

非常に多くの人々がワクチンを接種し、ウイルス感染による死者報告数がパンデミック発生以来最低の水準となっているため、国際社会は「世界的な健康上の緊急事態としてのCOVID-19を終わらせるのに、これほど良い状況はありません」と事務局長は述べました。

しかし、テドロス事務局長は、グテーレス事務総長が提起した懸念に同調し、大半の低・中所得国は新しい抗ウイルス薬へのアクセスが事実上ないことを明らかにした、WHOが主導するACTアクセラレーター運営理事会が9月22日に発表した報告書に言及しました。

「アクセラレーターは、約15億回分のワクチンを提供したり、新たに68カ国の接種率が少なくとも40%に達するよう支援したりするなど進展していますが、さらに多くのことをする必要があります。まだ到達してはいませんが、終わりは視野に入っています」とテドロス事務局長は語りました。

COVID-19のパンデミックは子どもたちの教育に壊滅的な影響を及ぼしている©UNICEF/Chris Farber

「一歩一歩前進している」

子どもたちのための機関である国連児童基金(UNICEF)は、ワクチンを必要とする人々、特に最も脆弱な立場に置かれた人々が接種を受けられるようにする上で、重要な役割を担っています。

UNICEFのオマール・アブディ事務局次長は開会の辞の中で、健康危機への取り組みにおけるUNICEFの成果の一部をイベント出席者に改めて紹介しました。

そうした成果には、124億回分を超えるCOVID-19ワクチンの投与、史上最大となる超低温コールドチェーンの規模拡大に向けた融資および実施(UNICEFは2021年だけで70カ国近くに800台の超低温コールドチェーン冷凍庫の融資と引き渡しを実施)、142カ国で最前線の作業者や医療従事者などを守る個人用防護具12億個超の出荷が含まれます。

「私たちは、一歩一歩前進しています。しかし、この勢いを維持して今後の感染急増や新しい変異ウイルスから世界を守る必要があります。なぜなら、不公平なワクチン接種が続く限りパンデミックも続き、それが子どもたちにもたらす深刻なリスクも続くからです」UNICEFのキャサリン・ラッセル事務局長はこのように述べました。

UNICEF事務局長は、子どもたちはパンデミック最大の犠牲者に含まれ、健康、教育、福祉の面で壊滅的な影響に直面してきたと考えており、その子どもたちに対してパンデミックが及ぼしているいくつかの波及的な影響について、聴衆の注意を喚起しました。

定期予防接種率は大幅に低下

ラッセル事務局長はまた、別の疾病の定期予防接種率が大幅に低下したことを指摘しました。WHOとUNICEFのデータをもとに、2021年に2,500万人の子どもたちが、予防接種率全般の指標であるジフテリア、破傷風、百日咳のワクチンの接種を受けなかったことを示しました。

「小児期の定期予防接種率が一世代で最も大きく、かつ持続的に低下しており、正しい軌道に戻さなければ、30年間の進展が帳消しになる可能性があります」と事務局長は述べ、警鐘を鳴らしました。

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原文(English)はこちらからご覧ください。