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再生可能エネルギー分野での雇用が拡大、1年で70万人増え1,300万人に迫る(UN News 記事・日本語訳)

2022年10月14日

タイで風力発電所の基礎工事に携わる女性建設作業員©ADB

 

2022922日 ― 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が国連の国際労働機関(ILO)と共同で発表した最新の報告書によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の長引く影響と、拡大するエネルギー危機の影響にもかかわらず、昨年の再生可能エネルギー部門における世界全体の雇用は1,270万人に達し、わずか12カ月で70万人分の新規雇用が創出されました。

 

この報告書『再生可能エネルギーと雇用:年次報告2022年版』では、人件費やその他のコストとともに、国内市場の規模が再生可能エネルギー分野での雇用の伸びに影響を与える主な要因であると指摘しています。

太陽光が最も急成長

最も急成長している部門は、太陽光エネルギーであることがわかりました。2021年には430万人の雇用を創出しましたが、これは世界の再生可能エネルギー分野における現在の労働力の3分の1以上に相当します。

気候変動、COVID-19からの復興、サプライチェーンの混乱に対する懸念が高まる中、各国は、自国での雇用創出を高めるべく国内志向に転じ、国内のサプライチェーンに重点を置くようになっています。

報告書は、クリーン・エネルギーの産業化の推進を定着させる上で鍵を握るのは、国内市場の強さであると説明しています。再生可能テクノロジーの輸出能力の開発もこれに左右される、と付け加えています。

「すべての人のための公正な移行」

ILOのガイ・ライダー事務局長は「再生可能エネルギー分野では、ディーセント(働きがいがあり人間らしい)で生産的な雇用を確保する上で、数字以上に、雇用の質と労働条件への注目が高まっています」と述べました。

「女性雇用の割合が拡大していることは、特化した政策と訓練によって、再生可能エネルギーの仕事への女性参加と包摂を大幅に高め、最終的にすべての人のための公正な移行を達成できることを示唆しています」

ライダー事務局長は、各国政府、組合労働者、企業集団に対して、「仕事の未来に欠かすことのできない持続可能なエネルギー移行にしっかり取り組み続ける」ように促しました。

レジリエントで信頼できる

IRENAのフランチェスコ・ラ・カメラ事務局長は、数々の課題に直面しながらも「再生可能エネルギー分野の雇用は、依然としてレジリエント(強靭な)で、信頼できる雇用創出の原動力であることが証明されてきました。世界各国の政府に対する私の助言は、自国でディーセントな再生可能エネルギー雇用の拡大を促す産業政策を追求すべきということです」と語りました。

「国内のバリューチェーンを刺激することは、人々や地域のコミュニティーにビジネスチャンスや新たな雇用を創出するだけでなく、サプライチェーンの信頼性を高め、全体的なエネルギー安全保障の強化に貢献します」

路上を走る電気自動車が増えれば、大気汚染が軽減され、温室効果ガス排出量が減少する© IMF/Crispin Rodwell

再生可能エネルギー革命への参加

報告書によると、再生可能エネルギー部門での雇用を創出する国が増加しており、その約3分の2をアジアが占めています。

中国だけで世界全体の42%を占め、次いで欧州連合(EU)とブラジルがそれぞれ10%、米国とインドがそれぞれ7%となっています。

地域別動向

東南アジア諸国が太陽光発電設備の主要製造拠点およびバイオ燃料生産国となりつつある一方、中国は太陽光発電パネルの製造・設置で傑出した存在であり、洋上風力発電での雇用創出も増やしています。

インドでは、太陽光発電量を10ギガワット以上増やし、設置業務で多くの雇用を生み出していますが、依然として輸入パネルに大きく依存していると報告書は指摘しています。

欧州は現在、世界における風力発電設備の生産量の約40%を占め、風力発電設備の最も重要な輸出国・地域ですが、太陽光発電設備の製造産業の再構築も試みています。

アフリカの役割はまだ限定的ですが、報告書は分散型再生可能エネルギー分野での雇用機会の増加を指摘しています。一方、南北アメリカ大陸では、メキシコが風力タービンのブレードの主要サプライヤーとなっています。

ブラジルは、依然としてバイオ燃料分野での雇用で他国をリードしていますが、風力発電や太陽光発電の設置業務でも多くの雇用を生み出しています。米国は、これからの洋上風力発電部門のための国内産業基盤を構築し始めています。

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原文(English)はこちらをご覧ください。