• プリント

【GCRG 概要 #3】世界的なエネルギー危機下で石油やガスから記録的な利益を求めるのは 「不道徳」と国連事務総長、最も脆弱な立場に置かれた人々への支援と 再生可能エネルギーへの移行を要請(2022年8月3日付プレスリリース・日本語訳)

2022年08月19日

国連グローバル危機対応グループによる最新の勧告、公平な政策と持続可能なエネルギー・ソリューションの財源として超過利潤税の賦課を呼びかけ

ニューヨーク/ジュネーブ、8月3日 ― ウクライナでの戦争が激化し続ける中、エネルギー価格の高騰により、何億もの人々の間で生存に関わる生活費の危機が悪化していると、アントニオ・グテーレス国連事務総長が主導する食料、エネルギー、資金に関するグローバル危機対応グループ(GCRG)が警鐘を鳴らしました。
このような憂慮すべき状況にもかかわらず、主要な石油・ガス企業は最近、記録的な利益を計上しました。これについて、本日概要を発表したグテーレス事務総長は「不道徳だ」と指摘しました。

「今年第1四半期のエネルギー大手各社の利益の総額は、1,000億ドル近くに達しています。私は各国政府に対し、こうした過剰な利益に課税をし、その資金を活用して、最も脆弱な立場に置かれた人々がこの困難な時期を乗り越えるための支援を行うよう要請します」事務総長はこのように述べました。

GCRGによる第3弾となる概要では、あらゆる場所の脆弱な立場に置かれたコミュニティーを保護するために、石油・ガス大手企業に対する超過利潤税を利用するなどして、公的資金による現金給付や還付政策等、エネルギー・ソリューションの財源とするための最も効果的な方法を探すよう各国政府に対し提言しています。同時に、本概要は、再生可能エネルギーへの移行を要請しています。

本概要が発表されたのは、画期的な“黒海穀物イニシアティブ(Black Sea Grain Initiative)”が国連の仲介を受けてロシア、トルコ、ウクライナ間で7月22日に合意された直後のことでした。同イニシアティブにより、8月1日、ウクライナ産穀物の第1便がオデッサ港を出港しました。

エネルギーへのアクセスにおける大きな後退

エネルギー価格の上昇により、エネルギー市場から多くの開発途上国、特に最も脆弱な立場に置かれたコミュニティーが締め出される懸念が高まっています。これらの国々は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック以降、エネルギーへのアクセスや持続可能な開発における前進の中で大きく後退しており、すでに生活費の危機に直面しています。

さらに懸念されることとして、本概要は、最も高い価格を支払う国々だけがエネルギーにアクセスできるという「燃料の奪い合い」が起こる可能性を警告し、その上で各国政府には、エネルギー貧困の深刻化やエネルギーへのアクセスを完全に失うことを避けるために、最も脆弱な立場に置かれた人々を支援する財政余地が必要であると指摘しています。

同時に、緊急の必要性と持続可能性を調和させる政策をとらなければ、開発途上国を排出量の多い、高価格のエネルギーを使う未来へ導くおそれのある、短期的なエネルギー政策を招くリスクがあります。世界が前進に向けた道を描く中で、各国の政策は気候変動に関するパリ協定へのコミットメントに資するものでなければなりません。

「開発途上国には、再生可能エネルギーに投資する理由がないのではありません。その多くは、暴風雨、森林火災、洪水、干ばつなど気候危機の深刻な影響を受けています。開発途上国に足りないのは、具体的で実行可能な選択肢なのです」グテーレス事務総長はこのように付け加えました。

エネルギーのレジリエンス

本概要は、ウクライナでの戦争や、それがもたらした世界的なエネルギー危機が、エネルギーのレジリエンスと再生可能エネルギーへの移行をより強力に推進する必要性を改めて思い起こさせるものであるとしています。

しかし、移行を加速するには、グテーレス事務総長の説明にあるように、移行により影響を受ける人々に対する社会的保護措置を含めた政策、テクノロジー、補助金、投資、資材といった再生可能エネルギーを支援するものを整え、いつでも利用できるようにしなければなりません。

本概要では、いかなる短期的な政策や保護措置も、エネルギー効率化や需要削減を推し進める取り組みなど危機の緩和に資するものでなければならず、化石燃料に対する一律の補助金のようにこの危機を悪化させるものであってはならない、としています。

中長期的には、排出量正味ゼロの目標を達成し、エネルギー貧困に対処し、世界的なエネルギーミックスを改善・多角化するために、世界は再生可能エネルギーにより注力しなければなりません。本概要は、そのためにグローバルな投資を大幅に増やす必要があると呼びかけています。

「再生可能エネルギーは、多くの国々にとって、しばしば最も安価で、最も素早く展開できる電力源です。しかしそれは、サプライチェーンが障壁なく円滑に機能すること、労働者が適切な技能を有すること、初期投資に十分な資金が利用可能であることを確実にした場合に限られます」GCRGによる概要の作成を調整・主導する国連貿易開発会議(UNCTAD)のレベッカ・グリンスパン事務局長はこのように述べました。

「これらの条件を満たすためには、開発途上国や世界のエネルギー貧困に直面している人々に対する資金調達や技術移転を強化する必要があります」グリンスパン事務局長は発表にあたり、このように付け加えました。
概要によると、技能訓練を含む野心的な再生可能エネルギーへの移行により、再生可能エネルギー源、エネルギーの効率化、その他のエネルギー移行関連部門において、2030年までに8,500万人の雇用が新たに創出される可能性があります。

その上、再生可能エネルギーによる発電は、最もコストが低く、設置にかかる時間が最も短いエネルギー発電源であることが多く、各国にエネルギー安全保障をもたらし、石油、ガス、石炭価格の乱高下に対する将来のリスクを引き下げることにつながります。

報道関係者のお問い合わせ先:

国連グローバル・コミュニケーション局(UN DGC)
Devi Palanivelu
palanivelu@un.org

国連貿易開発会議(UNCTAD)
Dan Teng’o
dan.tengo@unctad.org

編集者向け注記:

2022年3月14日、アントニオ・グテーレス国連事務総長は、ウクライナでの戦争による広範な影響への世界的な対応を調整するため、「食料、エネルギー、資金に関するグローバル危機対応グループ(GCRG)」の設置を発表しました

危機対応グループは、食料安全保障、エネルギー、および資金調達という相互につながり合った途方もない課題に先んじて、ハイレベルな政治的リーダーシップを確保し、進行中の危機に対する協調的なグローバルな対応を確保します。アミーナ・J・モハメッド国連副事務総長がグループの運営委員会を率い、国連システムとパートナーらを戦略的に調整します。

* *** *

プレスリリースの原文(English)はこちらからご覧ください。

概要の全文はこちらからご覧ください。