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事務総長、マーク・ジョセフ・カーニー氏(カナダ)を 気候変動対策・ファイナンス担当事務総長特使に任命

プレスリリース 19-114-J 2019年12月26日

©UN Photo/Eskinder Debebe

アントニオ・グテーレス国連事務総長は2019年12月1日、スペインのマドリードで、マーク・ジョセフ・カーニー氏(カナダ)を気候変動対策・ファイナンス担当事務総長特使に任命することを発表しました。

カーニー氏は事務総長特使として、官民の金融市場を大幅にシフトさせ、パリ協定の目標である1.5°Cに気温上昇を抑えるために必要な水準まで民間資金を動員することに特に留意しつつ、気候変動対策の野心的な実施に注力していきます。活動の中には、気候変動の影響を民間金融の政策決定の主流に取り込み、正味ゼロカーボン経済への転換を支援するため、財務報告、リスク管理と収益に関する枠組みを構築することが含まれます。

カーニー氏は官民の両セクターで、金融関係のポストを多く歴任してきました。現在はイングランド銀行総裁を務めています。カーニー総裁はイングランド銀行での職を終えた時点で、国連の職員となる予定です。2011年から2018年にかけては金融安定理事会(FSB)議長、2008年から2013年にかけてはカナダ銀行(中央銀行)総裁の職にもありました。

事務総長も繰り返し述べているとおり、世界は地球の気温上昇を2°Cよりも大幅に低く抑えつつ、これをさらに1.5°Cにまで抑える取り組みを続けることを定めたパリ協定の目標を達成するための軌道を大きく外れています。現行の気候政策と自国が決定する貢献(NDC)に基づく野心の水準が続けば、今世紀中に気温は3.4~3.9°Cも上昇しかねません。これが現実となれば、人類と自然生態系に幅広く壊滅的な気候変動の影響が及ぶことになるでしょう。

私たちは、地球規模でこれまでにない気候変動対策を必要としています。また、官民の金融システムは、低排出の強靭なシステムや産業部門への移行を図るために必要な資金を提供できるよう、変革しなければなりません。事務総長は2020年11月にグラスゴー(英国)で開かれる国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)に向け、マーク・カーニー特使に対し、気候変動対策を活性化し、気候変動ファイナンスを変革することを期待しています。

カーニー氏はゴールドマンサックスに就職後、カナダ財務省に加わり、後にカナダ銀行(中央銀行)総裁を務めました(2008~2013年)。1965年、カナダ・ノースウエスト準州フォートスミス生まれ。1988年にハーバード大学で経済学学士号を取得。その後、オックスフォード大学から1993年に経済学修士号を、また1995年に経済学博士号を受けています。

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原文(English)はこちらをご覧ください。