• プリント

国連総会議長、2030アジェンダ実施本格化に向けた戦略の概要を提示

2016年11月21日

各国代表に対し、持続可能な開発目標達成の支援に向けた議長室の戦略について説明するピーター・トムソン総会議長©UN Photo/Manuel Elias

各国代表に対し、持続可能な開発目標達成の支援に向けた議長室の戦略について説明するピーター・トムソン総会議長©UN Photo/Manuel Elias

ピーター・トムソン総会議長は2016年11月8日、国連加盟国に対し、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた実施戦略に関するブリーフィングを行いました。SDGsは、健全な地球ですべての人に平和と豊かさを確保するための変革を促す17の目標から成る枠組みです。

議長は、貧困を根絶して集団的な豊かさを実現し、特にジェンダーに関する不平等や女性と女児の地位向上に取り組み、より安全で公正な世界をつくり、気候変動に対処して自然環境を守ることにより、私たちの世界を変革する必要があるとして、次のように述べました。

2030アジェンダは「すべての人の人権を確保し、若者を巻き込むことで『誰も置き去りにしない』という原則を基本とするものです」

この非公式ブリーフィングの中で、トムソン議長は「持続可能な平和と人権を全ての人にとって現実のものとするための道は、持続可能な開発の達成以外にないという、私の強い信念に根差す」ものとして、今年6月の就任式の際に行った公約を再確認しました。

トムソン議長はさらに「その一方で、持続可能な開発もまた、平和を持続させ、人権を全面的に実現して初めて達成することができるのです」と付け加えました。

トムソン議長は、グローバル、地域、国、コミュニティーの各レベルで関係者の意欲を高めるため、デシマ・ウィリアムス特別顧問をリーダーとし、国連事務局の専門家や、国連開発計画(UNDP)、世界銀行グループ、国連人口基金(UNFPA)、国連児童基金(UNICEF)および加盟国からの出向者で構成されるSDGs実施チームを任命したことを明らかにしました。また、SDGs実施・気候変動担当特使として、マチャリア・カマウ大使が起用されることになりました。

SDGs実施チームは、下記の3つを主な方針として、集中的な取り組みを行います。

1. SDGs実施の重要性に対するグローバルな世論の認識を高めること
2. SDGs全17項目それぞれの実施に向けた勢いを強めること
3. 国連と関連機関による全レベルでのSDGs実施に向けた最大限の貢献を支援すること

SDGs with UN logo出典:国際連合(協力 Project Everyone)

総会議長は、SDGs達成の主な責任が各国政府にある一方で、目標をしっかりと実現するためには、国連による支援も中心的な役割を果たすことを認めました。

トムソン議長は「その役割の一つとして、国際金融機関や多国間組織、規制当局、民間セクター、慈善基金、市民社会、女性団体、学界、地方自治体、そして全世界の人々をはじめ、全ての関係パートナーをSDGsの普遍的で統合的な達成に向けて動員、結集することが挙げられます」と説明しました。

また、トムソン議長は「今会期中には、専門家レベルとハイレベルの双方で、そのためのワークショップや会合、イベントを開催する予定です」と付け加えました。

トムソン議長とそのチームは、認識の向上という第1の方針の実現を確保するため、世論を啓発し、新たなステークホルダーを運動に巻き込むことを目的に、全世界の学校教育カリキュラムにSDGsを盛り込み、オンラインでの情報発信を最大限に活用し、若い活動家と連携するとともに、イベントやワークショップを通じ、ハイレベルでアドボカシーを推進することを提唱しています。

第2の方針は、各目標の達成に向けた勢いを強めることをねらいとしていますが、トムソン議長はこれに関し、17の目標それぞれに付随する具体的な目的と戦略の概要を示しました。その例としては、民間セクターとの協業、新たな会合の実施、新たなテクノロジーの推進、新たなアクターからのコミットメント確保、著名な思想家や学識者の起用、国際的なアジェンダ設定へのローカル・リーダーの参加推進などが挙げられています。

第2の方針は、下記の6つの分野に中心的に取り組むものとなります。

1. 金融システムとその規制メカニズムの「グリーン化」によるものを含め、民間投資と資本移動の増大をSDGsと整合させること
2. 国内資源の動員能力を強化すること
3. グローバル経済ガバナンスに関し、国連経済社会理事会(ECOSOC)と合同で会合を開くこと
4. 科学技術とイノベーションに関するECOSOCフォーラムなどの機会に、若きイノベーターたちを動員すること
5. 南南協力と三角協力に関する作業をさらに進めること
6. 国連統計委員会の場を活用し、具体的なターゲットを絞った援助で、各国のデータ・システム改善と、この分野での全般的能力向上をいかに支援できるかに関し、パートナーと協業すること

最後に、全レベルでSDGsへの貢献の最大化を確保するため、国連とその機関を支援するという第3の方針は、次期事務総長、加盟国および国連機関事務局長調整委員会メンバーの出席のもと、定期的なブリーフィングを開催するとともに、SDGs実施における総会の役割を最大限に高め、国連の市民社会、民間セクター、その他重要なステークホルダーとの関係を強化することによって達成されます。

トムソン議長は「この戦略計画に関する説明責任は、ひとえに私にあります」と述べ、2017年7月に進捗状況の報告を行うことを明らかにしました。

議長は総会に対し「私は、SDGsを達成するために、実質的な勢いが必要だと確信するあらゆる人々に、この戦略計画履行に向けた協力、パートナーシップ、そして前向きな意見を表明してもらいたいと思っています」と述べています。

「人類にとって持続可能な未来を目指し、私たちの世界を実質的に変革するためには、普遍的な取り組みが必要なのです」議長はこのように発言を締めくくりました。

* *** *