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「止まらない」勢いのパリ協定、11月上旬に発効へ-国連事務総長

2016年10月13日

歴史的なパリ協定の採択を祝う潘基文事務総長(左から2人目)、クリスティアーナ・フィゲレスUNFCCC事務局長(左)、ロラン・ファビウス仏外相兼国連気候変動枠組み条約パリ会議(COP21)議長、フランソワ・オランド仏大統領(右)Photo: UNFCCC

歴史的なパリ協定の採択を祝う潘基文事務総長(左から2人目)、クリスティアーナ・フィゲレスUNFCCC事務局長(左)、ロラン・ファビウス仏外相兼国連気候変動枠組み条約パリ会議(COP21)議長、フランソワ・オランド仏大統領(右)Photo: UNFCCC

潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は2016年10月5日、今年4月に世界のリーダーによって署名された気候変動に関するパリ協定の批准国が、排出量の点で必要な数を超えたと述べ、この画期的な協定が11月4日に発効する見込みであることを明らかにしました。

潘事務総長は、最新の批准書の寄託が受理されたことを受け「これは極めて重大な出来事です」と述べました。

事務総長は「かつて不可能と思われていたことが、今では止められない動きとなっています。パリ協定発効に対する強力な国際的支援は、行動の緊急性を物語るとともに、国内での行動に裏打ちされたグローバルな協力の本格化が、気候変動に取り組むうえで欠かせないという各国政府のコンセンサスを反映しています」と付け加えました。

しかし事務総長は、協定の履行という作業がまだ残っていると警告し、次のように強調しました。「私たちは今、言葉を行動に移し、パリ協定を履行しなければなりません。私たちは、総力を挙げた取り組みを必要としています。温室効果ガスの排出量を削減し、避けられない気候変動の影響に対するコミュニティーの適応を支援するため、社会のあらゆる層を動員しなければならないからです。

国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)締約国195カ国が昨年12月の会議(通称COP21)で採択したパリ協定は、各国に対し、気候変動と闘い、持続可能な低炭素の未来実現に必要な行動と投資を加速、本格化するとともに、気候変動の影響増大に適応するよう呼びかけています。その中には、地球の平均気温上昇を摂氏2度を超えないよう抑えつつ、さらにこれを摂氏1.5度にまで引き下げるよう努めるという、具体的な目標も盛り込まれています。

4月22日、ニューヨークで開催された署名式で、1日としては史上最多の175カ国が署名したパリ協定は、世界の温室効果ガス排出量の55%を占める55カ国以上が批准書、受諾書または加入書を事務総長に寄託してから30日後に発効します。

この発効要件は10月5日、オーストリア、ボリビア、カナダ、フランス、ドイツ、ハンガリー、マルタ、ネパール、ポルトガル、スロバキア、そして欧州連合(EU)が批准書を事務総長に寄託したことで、満たされました。

先ごろには、ニュージーランドとインドも協定に加入しました。また9月21日、国連総会の一般討論中に国連本部で開催された特別イベントでは、31カ国が協定に加入したのに加え、これに先立ち、中国と米国という2大排出国も、9月に協定への加入を果たしています。

パリ協定は、11月にモロッコで開催される気候会議(COP 22)までに発効する見込みです。各国はこれと並行して、協定の第1回締約国会合を招集する予定です。協定に未加入の国は、オブザーバーとしてこれに参加する見込みです。

フィジーのラビ島。海面の上昇と異常気象の頻発は、海抜が低い太平洋の環礁島にとって、差し迫った脅威となっている Photo: OCHA/Danielle Parry

フィジーのラビ島。海面の上昇と異常気象の頻発は、海抜が低い太平洋の環礁島にとって、差し迫った脅威となっている Photo: OCHA/Danielle Parry

パトリシア・エスピノーサUNFCCC事務局長は次のように述べています。「協定の発効は、緊急に必要な気候変動対策を加速する上で、幸先の良いスタートと言えます。こうした対策は、よりよく、より安全な世界を実現するとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成を支援する上で必要です」と語っています。

エスピノーサ事務局長は「また、協定の全面的履行を確保するために各国政府が取り組もうとしている多くの課題についても、さらに緊急性が増すことでしょう。具体的には、協定の運用に向けたルールブックの策定や、国際協力とさらに多額の資金の流れによって、各国の気候変動対策計画をいかに加速、拡大できるかという問題が挙げられます」と付け加えました。

潘事務総長はこれに先立つ声明で、パリ協定発効に対する国際的支援の高まりは「行動の緊急性を物語るとともに、気候課題に立ち向かうためには、グローバルな協力が必須であるという各国政府のコンセンサスを反映」するものであることを明らかにしました。

事務総長は、自らが過去10年間にわたり、気候変動に対するグローバルな対応を加速するために、各国の力を結集すべく、絶えず努めてきたことを指摘しました。また、この期間を通じ、北極からアマゾンに至るまで、気候変動の前線に立つコミュニティーを訪問し、気候変動の影響がすでに、生活や生計、よりよい未来の見通しに破壊的な影響を与えている様子を目にしてきたことにも触れました。

潘事務総長は「私はすべての政府と社会のすべての部門に対し、パリ協定を全面的に履行するとともに、温室効果ガス排出量を削減し、気候に対するレジリエンスを強化し、社会的に最も脆弱な立場にある人々が避けることのできない気候の影響に適応するための支援を提供すべく、緊急対策を講じるよう強く訴えます」と語っています。

事務総長は協定の全署名国を祝福しつつ、すべての国に対し、できる限り早く協定を批准するため、国内的なプロセスを加速するよう促しました。

パリ協定は具体的に、各国に対し、気候変動と闘い、持続可能な低炭素の未来実現に必要な行動と投資を加速、本格化するとともに、気候変動の影響増大に適応するよう呼びかけています。

パリ協定には、各国が気候変動の影響に取り組む能力を強化するというねらいもあります。協定はさらに、開発途上国や最も脆弱な国々による独自の国家目標に沿った対策を支援するため、適切な資金の流れ、新たな技術的枠組み、能力構築枠組みの強化を求めています。

透明性枠組みの厳格化による行動と支援の透明性向上も、重要なねらいの一つとなっています。

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