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平和活動に関するハイレベル独立パネル、平和維持活動の包括的レビューを事務総長に提出

2015年06月26日

国連が新たな平和維持の課題に取り組むには「本質的転換」が必要

2015年6月16日、ニューヨークの国連本部で待望の報告書が発表されました。平和活動に関するハイレベル独立パネルの議長は、平和維持と紛争予防の困難かつ新たな展望を前に国連が緊急に取り組まなければならない本質的転換として、政治的解決の重視、対応力のある柔軟な活動、より強力なパートナーシップ、および現場重視・人間中心の任務、を提示しました。

「政治の優越性とは、永続的な平和が軍事的・技術的関与のみならず、政治的解決を通じて達成されるものだということを意味します。政治的解決はすべての国連平和活動の指針とならなければいけません」と、前東ティモール大統領でノーベル賞受賞者のジョゼ・ラモス=ホルタ氏は述べました。この記者会見でホルタ氏は、16人のメンバーからなるパネルを代表して、合意された主な提言と改革が必要な分野を発表しました。

2014年10月31日、国連の潘基文(パン・ギムン) 事務総長は、ラモス=ホルタ氏を議長とする「平和活動に関するハイレベル独立パネル」を設立したことを発表しました。国連平和活動の現状と将来的なニーズの総合的評価を担うこのパネルには、特別政治ミッションの検証という任務も課せられていました。

この新たな報告書は、画期的なブラヒミ報告書の発表から15年を経て公表されました。ブラヒミ報告書は、コフィー・アナン前国連事務総長により招集された同様のハイレベルパネルでの議長であり、長年にわたって国連アドバイザーを務めたアルジェリアの高名な外交官、ラフダール・ブラヒミ氏にちなんで名づけられました。

新たな報告書を手渡された潘事務総長は、国連総会と安全保障理事会に送る前に報告書の調査結果を「慎重に」検討する、と述べました。

「すべての国連の主要局の緊密な連携のもと、私の率いる事務総長室が実施段階を主導します」と、潘総長は述べました。「各局には、ハイレベルパネルが用いた精神を受け継ぐこと、すなわち大胆さを持つことを求めます。この任務を遂行することは、国連が今後の課題に立ち向うことに寄与することです。」

前フィールド支援局担当事務次長であるアミーラ・ハク副議長とともにパネルを代表して記者会見に臨んだラモス=ホルタ氏は、国連ミッションは「状況に適応させる」必要があることを強調しました。国連は「平和活動」という言葉を、軍事要素と警察・文民要素とを分けず、一連の領域の対応としてとらえるべきだと述べました。

 

さらに、ラモス氏は「国際的な平和と安全のためのより強靭な世界的・地域的構造」が将来のために必要だと述べました。ラモス氏のこの発言の背景には、国連本部が「ビジョン」を明らかにして現場での任務遂行こそをより重視せねばならず、平和活動要員は「現場の一般市民の幸せな暮らし」という共通の目標を胸に「人々に仕えそして保護するために自らの決意」を新たにしなければならないという彼自身の確信があります。

ラモス=ホルタ氏によると、このパネルは主に、協議、テーマ別ワークショップ、提出文書や関連文献の検討、首都の視察、そして対象を特定した聴き取り調査を通して活動を進めました。加盟国、市民社会団体、学界との協議が行われ、80件以上の提案が50を超える加盟国、地域的機構及びその他の組織(アフリカ連合など)、国連パートナー団体、市民社会、学界、および研究・調査機関から提出されました。

パネルは、予防活動のさらなる強化のため、「外部のリソースや知識を利用した予防に関する国際フォーラム」の設立と、「新しく生じている脅威」に対処するための安全保障理事会による「早期の関与」を勧告しています。

迅速な展開に関してパネルは、国連が「ビジョン」と「国および地域の待機能力のネットワークを強化するための行程表」を示すよう推奨することで合意しました。

以前一部の軍事・警察要員派遣国から、協議の不十分さについての指摘がありました。この点を考慮し、「ミッションの共通目的を始めから設定できるよう」協議を制度化すべきとの結論に至ったと、議長は述べました。

報告書では他にも、国連事務局は「平和と安全保障を担当する副事務総長」のポストの新設についても検討すべきだと提言しています。また、すべてのミッションおよび関連の補助的活動に資金を提供するための単一の「平和活動勘定」(peace operations account) の設立を求める提言などが示されています。

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PKO

北キブ州サケで任務を行うタンザニアの特別介入部隊、コンゴ民主共和国における国連平和維持ミッション(MONUSCO)のもとで(2013年7月)Photo:MONUSCO/Sylvain Liechti
リベリアのブキャナンをパトロールした後、UNMIL(国連リベリア・ミッション)の任務報告会を主導するガーナ出身のドラ・ドロエー女性軍曹 (2009年4月)UN Photo/Christopher Herwig