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2005年は「スポーツと体育の国際年」

プレスリリース 04/099-J 2004年11月30日

~ 国連本部で正式にスタート ~

ニューヨークの国連本部で2004年11月3日、卓越したテニスプレーヤーであるスイスのロジャー・フェデラー氏とINGニューヨークシティー・マラソンの記録保持者、ケニアのマーガレット・オカヨ氏の協力を得て、国連は文化的・民族的な溝を埋め、人々の生活の質を改善する「スポーツの力」に焦点を当てる1年間の計画を披露しました。

「スポーツと体育の国際年2005」は教育、健康、開発、平和の促進にスポーツを活用するよう呼びかけるものです。国連本部ではこれに関し、フェデラー、オカヨ両氏のほか、コフィー・アナン国連事務総長、開発と平和のためのスポーツ国連事務総長特別顧問のアドルフ・オギ氏、チュニジア国連常駐代表のアリ・ハシャーニ氏の参加による記者会見が開かれました。進行役はシャシ・タルーア広報担当事務次長が務めました。

「スポーツはあらゆるコミュニティの生活を改善する役割を果たすことができる」と事務総長は語っています。「この理解に基づき、政府や開発機関、コミュニティに対し、特に貧困、病気、紛争の中で暮らす子どもたちを援助する計画の中に、スポーツをより組織的に取り入れるにはどうしたらよいかを考えるよう促す時期が来た、と私は確信しています」

記者会見では政府やスポーツ関係の選手、連盟、産業、クラブ、非政府組織(NGO)に対し、2005年を機会に、8つのミレニアム開発目標(MDGs)を達成するための取り組みの強化や連携を図るよう呼びかけが行われます。世界の指導者が合意したMDGsには、2015年までに、貧困と飢餓を半減させ、すべての子どもが小学校に通えるようにし、HIV/エイズの蔓延を食い止めることが盛り込まれています。

国連は従来から、社会におけるスポーツの重要性を認識し、スポーツ界との密接な関係を築いてきました。国連の機関、基金、プログラムは、環境破壊などの差し迫った課題に対する関心を高めることと、貧困層や社会的に疎外された人々の生活を改善することの2つを目的に、実に幅広いスポーツ関連活動を実施しています。具体的な活動は、難民キャンプの子どもたちがサッカーで遊べるようにするためのプロジェクトから、スポーツへの参加を出席率と成績の向上に結びつけるプログラム、さらには、新たに開発されたスポーツ施設のレクリエーション地域を整備することで雇用を創出し、そこで失業者が職業訓練を受けられるようにする活動まで、多岐に及んでいます。

国連国際パートナーシップ基金(UNFIP)は、開発・平和構築プログラムでのスポーツの活用を促進することにより、国連システムとスポーツ界との重要な橋渡し役を演じています。

昨年、事務総長の要請を受けて10の国連機関が発表した報告書では、スポーツをうまく活用した多くの国連プログラムの例がまとめられました。これによれば、スポーツやレクリエーション、運動を開発プログラムに取り入れる機会は、ほんの一部しか実現していません。

「世界のトップ・アスリートお二人とともに開幕するスポーツと体育の国際年の目的は、一般の人々の心を捉え、小さな村から大都市に至るまで、聞く耳を持つ人々のすべてに、スポーツは人々の生活を変え、世界をよりよく、より安全で暮らしやすい場所にする力を秘めていることを知らせることにあります」。こう語るのは、国連児童基金(UNICEF)のキャロル・ベラミー事務局長とともに報告書作成のための特別委員会の長を務めた、開発と平和のためのスポーツ国連事務総長特別顧問のオギ事務次長です。

国連総会は2003年11月、2005年を「スポーツと体育の国際年」と宣言しました。先月には、スポーツの潜在的可能性と、2005年に開発と平和に向けたツールとしてスポーツを活用するためのグローバル・パートナーシップを構築する必要性を強調する総会決議も採択されました。2つの決議はともに、チュニジアが提案国となっています。

開発と平和のためのスポーツに関する国連の活動についての詳細は、http://www.un.org/themes/sport/index.htmをご覧ください。


開発と平和のためのスポーツ国連事務総長特別顧問
アドルフ・オギ事務次長のメッセージ

“スポーツは単なる楽しみや競い合いでなく…”

スポーツの真価は、相手を尊敬すること、ルールと審判の判定に従うことなどの原則の受入れを通じ、人間の尊厳や仲間意識、連帯感を促進する力にあります。

スポーツは最高の学校です。生きていく上で必要な技能を教え、善良な市民の育成を助けることができるからです。スポーツが健康によいということについては、議論の余地がないでしょう。また、研究によれば、よく運動する人はより健康的かつ生産的であることもわかっています。

スポーツは、地理や文化、イデオロギーで隔てられた人々が理解できる唯一の言葉としての力を、折に触れて発揮してきました。1971年には、日本での初試合に続き、米中のチームが中国での卓球トーナメントに参加。この「ピンポン外交」を期に、両国の新たな対話への道が開かれました。それ以来、スポーツによって人々の絆ができ上がるケースが目立つようになりました。例えば、イスラエルとパレスチナの子どもたちによる定期的なサッカー試合を開催している組織もあります。

このような例が実在すること、また、スポーツが貧困、病気、社会的疎外への対策に役立てることから、国連総会は2005年を「スポーツと体育の国際年」と宣言しました。難民キャンプの子どもたちがサッカーで遊べるようにするためのプロジェクトから、新たに開発されたスポーツ施設のレクリエーション地域を整備することで雇用を作り出し、そこで失業者が職業訓練を受けられるようにする活動まで、国連のイニシアチブは多岐に及んでいます。

私たちの役割は、子どもと若者にスポーツや体育への参加を促すこと、そして、日常生活でもスポーツマンシップの価値を思い出すことにあります。私たちがすべてこの役割を果たし、スポーツが単なる楽しみや競い合いではないことに気づけば、将来の世代によりよい世界を残すための一歩となるでしょう。

― アドルフ・オギ

開発と平和のためのスポーツ国連事務総長特別顧問を務める国連事務次長
元スイス大統領


開発と平和のためのスポーツ国連事務総長特別顧問
アドルフ・オギ事務次長との一問一答

― 2005年がスポーツと体育の国際年に指定されたのはなぜですか。
スポーツと体育の価値については、ほとんど関心が払われていません。実際のところ、スポーツは持続可能な人間開発と社会経済開発を促す独特のツールであり、恒久的平和の構築にも役立ちます。

若い男女はスポーツでミスを犯すことで、人生の糧となる貴重な教訓を学ぶことができます。健康的で楽しい活動から、社会的な行動を身につけ、社会に溶け込み、自分を知り、他者を尊敬することができるようになります。若者はスポーツを通じ、積極的に社会人となるための準備を行うのです。

― 2005年をスポーツと体育の国際年とされたのは、どのような経緯からですか。
2003年1月、パリのユネスコ本部で開かれたスポーツ担当閣僚会議で、私は各国大臣に対し、スポーツとその価値に対する認識を高めるよう呼びかけました。そして、全世界の関心を集められるよう、総会への決議案提出に対する支援を要請しました。

チュニジアが中心になって作成した決議案は、国際社会から強い支持を得るに至り、2003年11月3日に採択されました。その主要素の一つとして、2005年がスポーツと体育の国際年とされたのです。

― 各国の国連代表をどのように説得されましたか。
私は国連の政府間協議に参加した各国代表に対し、よりよい世界が絶対に必要なこと、そして、肯定的な意味でこれに役立つツールがあることを話しました。協議では現状の否定的な側面ばかりが扱われ、世界の過ちを正すためにはどうしたらよいかということに重点が置かれていたからです。私は、普遍的な支持が得られる手段が提供できること、そしてこの手段が、社会のあらゆる側面で大きな影響力を持ちながら、もっとも関心を引くことが難しい若者たちから特に支持を受けることを説明しました。

私はまた、国連機関の中には、プログラムにスポーツを取り入れているものが多いことにも触れました。国連システムはスポーツの肯定的な価値を活用して、子どもや難民、障害者の生活の質的向上を図っています。スポーツはさらに、HIV/エイズ予防、持続可能な開発、環境保全などに関するメッセージの伝達にも用いられています。今、必要なのは、より組織的かつ体系的な形でスポーツを活用するためのアプローチです。

― スポーツと体育の国際年2005で、何を達成しようとお考えですか。
スポーツと体育を教育全般、健康、開発そして平和に結びつけるための基盤を各国に提供することが重要です。今日の研究では、身体を動かす機会が減った私たちの生活に質と時間的余裕を持たせるために、スポーツと体育を定期的に実践する必要があることが明らかになっています。

スポーツと体育の効用に対する認識を高めるためには、明らかになった科学的データに基づいてこれを推進するとともに、政治家の関心を引かなければなりません。

― 貧困、飢餓、紛争など、取り組むべきより重要な問題があるのではないでしょうか。
そうは思いません。スポーツは私にとって、世界のもっとも差し迫った問題から関心をそらすようなテーマではありません。それどころか、スポーツは革新的かつ現実的な解決策を提示することで、緊急を要する課題に対する関心を高める役割を果たすのです。

世界的なスポーツ連盟やスポーツ関連産業には、人間性の向上に貢献する用意があります。スポーツという世界共通語は依然として、国際関係改善への取り組みから外されることがあまりにも多くなっています。大きなスポーツ競技会は、現代でもっとも人気の高いイベントの一つです。スポーツ関連産業の成長には目覚しいものがあります。このことは、スポーツが社会に大きな影響を与えるだけでなく、国連憲章の精神に沿った肯定的な価値観を広めるうえで、大きな可能性を秘めていることも物語っています。

人間開発や貧困対策、さらには健康増進への取り組みは、スポーツの積極的な活用によって大きく促進できるでしょう。

― トップレベルの選手たちからの支援には、どのような意味がありますか。
それは私にとって、スポーツが新たな責任を担おうとする意志の表れです。世界でトップクラスの選手たちは氷山の一角に過ぎませんが、大きな注目を集める存在です。その発言は、子どもたちにとっての手本となります。スポーツ選手には大きな影響力があります。自らの時間と労力を割いて、国連の活動に真剣に取り組む選手たちは、素晴らしい模範といえます。そして、これから私たちが始める全世界的キャンペーンに欠かせない要素にもなるのです。


スポーツとミレニアム開発目標(MDGs)

目標1:極端な貧困と飢餓を削減させること
開発の機会を与えることは貧困対策に役立ちます。スポーツ産業や大規模なスポーツ・イベントの開催は雇用の機会を生み出します。スポーツは社会で実りある生活を送るために不可欠な、生きていく上で必要な技能を提供します。

目標2:初等教育の完全普及を達成すること
スポーツと体育は質の高い教育に欠かせない要素です。これによって促進される肯定的な価値観と技能は、若者に即効的かつ永続的な影響を与えます。スポーツ活動と体育は一般的に学校の魅力を高めるため、出席率も向上します。

目標3:男女平等を促進し、女性のエンパワーメントを図ること
体育やスポーツに参加する女性や女児が多くなれば、自信が高まり、社会とも積極的なかかわりが持てるようになります。女児が男児と一緒にスポーツ活動に参加できれば、女性や女児を社会的弱者と見なす風潮を生み出す偏見を克服する手段にもなり得ます。

目標4、5:幼児死亡率を引き下げ、妊産婦の健康状態を改善すること
これらの目標は、女性のエンパワーメントや就学と関連づけられることが多いため、スポーツは女性に健康的なライフスタイルを提供し、重要なメッセージを伝えるための効果的な手段とも考えられます。

目標6:HIV/エイズ、マラリアその他の病気と闘うこと
スポーツを通じて、通常であれば見逃されがちな人々にも重要なメッセージを伝えることができます。また、予防を促進するメッセージを伝える模範的役割を担うこともできます。スポーツは裾野の広い、形式張らない仕組みを通じて、社会的統合の改善を促すことにより、偏見やスティグマ、差別の克服に効果的な役割を果たすことができます。

目標7:環境の持続可能性を確保すること
スポーツは環境保全の必要性に対する認識を高めるうえで、理想的な手段です。屋外でのスポーツを定期的に行うために環境の保護が欠かせないことは、誰の目にも明らかだからです。

目標8:開発のためのグローバル・パートナーシップを構築すること
スポーツは先進国と途上国、民間と公共部門、さらにはNGOと国連諸機関との間のパートナーシップを構築、発達させるためのツールとしても利用できます。スポーツは、人間開発目標の達成に向けた革新的パートナーシップの機会を無限に提供します。

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