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国連レバノン暫定軍(UNIFIL)

プレスリリース 06/047-J 2006年07月25日

ファクトシート

経緯

  • 国連レバノン暫定軍(UNIFIL)は、国連平和維持活動として最も古くから展開されているもののひとつです。2,000人規模の歩兵隊と、非武装軍事監視員50人を擁するUNIFILは、全長70マイル(121キロメートル)に及ぶ国連「ブルーライン」で、パトロール、監視、違反行為の報告、当事者との連絡により、停戦の維持に務めています。
  • UNIFILは1978年、国連安全保障理事会(決議425)によって結成されました。安保理はこの決議で「イスラエル軍の撤退を確認し、国際の平和と安全を回復し、レバノン政府が同国南部に再び実効的支配力を及ぼせるよう支援すること…を目的とした、レバノン南部への国連暫定軍の展開」を承認したのです。
  • この安保理決議は、イスラエル・レバノン国境地帯で長年にわたり緊張状態が続いていたこと、1978年3月、パレスチナ解放機構(PLO)兵士がレバノンからイスラエルに攻撃を仕掛けたこと、および、イスラエルがその後、レバノン南部に一時的に侵攻したことを受けて採択されたものです。
  • 国境地帯での戦闘は続き、イスラエル軍も全面撤退しなかったため、レバノン政府の南部支配権は回復されませんでした。このような事情から、UNIFILは決議425で与えられた任務を遂行できませんでした。
  • 1982年6月、イスラエルはレバノンに侵攻した上で、レバノン国内に独自のセキュリティ・ゾーンを設けました。このセキュリティ・ゾーンは2000年6月、イスラエル軍の完全撤退により解消されました。ところが、南部にまで支配力を広げることができなかったレバノン政府は、UNIFILが引き続き駐留し、決議425の実施を継続することを要請しました。この時期を通じ、安全保障理事会は規則的にUNIFILの駐留期限を延長しました。
  • イスラエル軍の撤退に伴い、国連は「ブルーライン」を画定して、国際的に認められたレバノンの国境線を確認するとともに、これを用いてイスラエル軍の撤退も確認しました。レバノン政府がイスラエル撤退後の地域に徐々に支配力を及ぼしはじめると、UNIFILは南方に移動し、ブルーライン付近に展開するようになりました。同時に、ヒズボラ民兵もこの地域に入り、事実上、ブルーラインのレバノン側地帯を支配しはじめたのです。
  • 事務総長は2001年1月、次のような判定を下しました。「UNIFILはその3つの任務のうち、2つを実質的に完了しました。イスラエル軍の撤退を確認し、かつ、できる範囲で、イスラエル軍撤退後地域におけるレバノン政府の支配力回復を支援したのです。UNIFILはレバノン当局と密接な協力を図っており、もはやその駐留地域に支配力を及ぼしていません。もちろん、UNIFILとしては、レバノン政府に作業を完了してブルーラインにまで要員を展開するよう、強制することはできません」
  • UNIFILは引き続き、監視ミッションの役割を果たしながら、「国際の平和と安全回復」に集中的に取り組むことになりました(武装兵士は軍事監視員50人を守る役割)。
  • 安全保障理事会はレバノン政府の要請により、UNIFILの駐留期限を規則的に延長してきましたが、現在の期限は2006年7月31日に切れる予定です。安全保障理事会はこの6年間、UNIFILの駐留が安定の促進に役立っていると判断してきました。停戦違反は頻繁に発生し、時にはブルーラインの両側で重大な事件も起きましたが、(本格的戦闘行為が発生した)2006年7月12日まで、この地帯では比較的平静が保たれてきたのです。
  • 2006年1月、UNIFILから、ブルーライン周辺での情勢が緊迫度を増しているとの指摘を受け、コフィー・アナン国連事務総長は当事者に対し、現地民間人の生命を脅かさないよう訴えました。レバノン当局に対しては、それまで長年にわたって行ってきた要請をさらに繰り返し、この地区の治安を確保する責任を担うとともに、住民の保護と、レバノンからイスラエルに対するヒズボラの越境攻撃防止のため、十分な兵力を展開するよう求めつつ、UNIFILにはこれを支援する用意があることを改めて強調しました。事務総長はイスラエルにも、レバノンの領空侵犯を止めるよう呼びかけました。
  • UNIFILとともに、事務総長中東特別調整官(アルバロ・デソト氏)と事務総長レバノン個人代表(ガイル・ペデルセン氏)も、危機を取り除き、中東問題全体の包括的解決の促進に向け、連携を強めています。さらに、この取り組みには、1974年からゴラン高原に展開されている国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)や、安全保障理事会決議1559(シリア軍のレバノン撤退とあらゆるレバノン・非レバノン民兵の解散を求めた2004年の決議)に関する事務総長特使テリエ・ルード・ラーセン氏もかかわっています。
  • レバノン南部のナクーラを本拠とするUNIFILでは、1,990人の兵士が、エルサレムに本拠を置く国連休戦監視機構(UNTSO)から軍事監視員50人の援助を受けて活動しています。また、国際文民要員95人と現地文民職員295人も、UNIFILの活動を支援しています。軍司令官を務めるペルグリニ少将はフランス人ですが、そのほかにも中国、ガーナ、インド、アイルランド、イタリア、ポーランドが兵員を提供しています。
  • UNIFILの年間予算は9,420万ドルに上るものの、恒常的な予算不足に陥っているため、兵員提供国に対する未払額は、現時点でおよそ6,800万ドルに達しています。

UNIFILの活動

  • 最近になって中東紛争が激化するまで、UNIFILは次のような活動を行っていました。
    • パトロール、定位置からの監視、当事者との密接な連絡により、停戦を維持すること。
    • 限られた手段の範囲内で、兵員提供国の協力を得ながら、民間人に医療、水道事業、学校または孤児院向けの機材やサービス、困窮者向けの社会サービス提供の支援を行うこと。
    • 地雷や不発弾を除去すること。
  • UNIFILは現時点で、移動の自由を厳しく制約されているものの、すべての駐留場所に留まり、活動を続けています。
  • こうした制約にもかかわらず、UNIFILは次のような人道援助活動を実施しました。
    • 7月16日、マルワヒン村から283人の民間人をチレに避難させました。
    • チレ・ナクーラ間で人道援助物資の輸送車両を護衛しました。
    • 7月17日、ナクーラ村の子どもたちに食糧を配給しました。
    • アルブスタン、アルマアシュシャブの両村に人道援助物資を届けました。

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DPI 19July 2006rev1