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気候変動ハイレベル会合

プレスリリース 07/067-J 2007年09月18日

未来は私たちの手の中に:世界のリーダーに気候変動への取り組みを求めて 
(2007年9月24日) 
国連事務総長による背景説明書¹

  1. 気候変動は現在、世界が抱える最も複雑、多元的かつ深刻な脅威のひとつである。この脅威への対応は根本的に、持続可能な開発とグローバルな公正、脆弱性と抵抗力、経済、貧困削減と社会、そして、我々が子孫に残すべき世界という、差し迫った関心事と直結している。
  2. 主として人為的な排出量増大により、地球の気候は変化しつつある。気候は安定性を失い、変動幅を大きくし、かつ温暖化しているのである。事実、地球の平均表面温度は過去100年間で摂氏0.74度上昇した。正常変動の幅が大きくなる中で、季節の変わり目がずれ、氷河は後退し、海水位は上昇している。異常気象の頻度と深刻度がさらに増す公算は高い。干ばつや洪水、熱波はすでに凶作、紛争を助長し、それによる死者や被害者は着実に増えている。地球温暖化が進む中で、多くの地域で洪水や干ばつが増え、深刻化する可能性は極めて高い。
  3. 気候変動は単なる環境問題ではなく、経済や社会にも明らかな影響を及ぼす。また、貧困の削減をはじめ、より幅広い持続可能な開発課題とも密接に絡み合っている。気候変動の影響は、世界で最も貧しく、弱いコミュニティに集中するため、今すぐに対策を講じなければ、ミレニアム開発目標の達成が不可能にもなりかねない。しかし、開発を気候変動に適応させれば済むというわけではない。気候変動問題を長期的に解決することも必要である。しかも、その解決策は公平かつ持続可能で、開発途上国の経済成長の権利に基づくものとせねばならない。
  4. 世界の指導者たちは1992年、リオデジャネイロで開かれた国連環境開発会議(通称「地球サミット」)に参集した。この会議で採択された条約の中でも、国連気候変動枠組み条約は191カ国の批准を受け、グローバルな気候変動対策を語る上で欠かせない存在となっている。その5年後に採択された京都議定書は2005年に発効した。2007年12月にインドネシアのバリ島で開催予定の締約国会議は、グローバルな気候変動対策の主要素、すなわち緩和、適応、技術、資金調達に関する今後のグローバルな行動を定める上で、決定的なイベントとなろう²。
  5. 12月およびそれ以降の交渉に向けためどを立てるため、また、気候変動に関する3人の特使を通じ、指導者たちから明らかな切迫感が伝えられたことに鑑み、事務総長は世界の指導者を招集して、気候変動課題について話し合うことを決定した。このハイレベル会合自体は交渉ではない。正式な国際交渉は引き続き、気候変動枠組み条約の傘下で行うべきである。しかし、事の緊急性を考えれば、世界の指導者に将来を見据えたリーダーシップを発揮する機会を与えることは、きわめて重要である。そうすれば、各国政府には最高レベルで、条約に基づく作業を加速する用意があるという強力な政治的メッセージが、バリの締約国会議に伝えられることになろう。
  6. この趣旨から、気候変動への適応と抵抗力の強化、技術と革新の全面的な活用、対策資金の調達、および、大気中の温室効果ガス濃度の安定化に必要な取り組みの判定という、グローバルな気候変動対策の中心的領域に関し、世界の指導者に意見の提出が呼びかけられているところである。この背景説明書では、こうした課題や問題点を個別に概観し、議論を働きかけることとする。当然のことながら、4つの領域は相互に重複しているため、本書の意図は、これらを厳密に分け隔てすることではなく、その関連性を浮き彫りにすることにある。
  7. 気候変動のような未曾有のグローバルな課題はこれまでにも増して、人類が共通の課題を解決できる能力を試すものとなろう。気候変動は単に国境を越える脅威というだけではなく、エネルギーから輸送、食糧安全保障から水管理、そして個人の行動からグローバル・ガバナンスに至るまで、数限りない政策分野を横断する課題でもある。しかし、気候変動は何よりも、我々の近年の慣行に比し、はるかに長い時間的尺度で物事を考えることを人類に求めている。最終的には、我々の誰もが子孫、そして未来に対して最も大きな責任を負わねばならないのである。

¹この背景説明書は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書を踏まえて参照すべきである。また、最近の気候変動に関するテーマ別討議に際し、総会議長が提供した背景文書は、http://www.un.org/ga/president/61/follow-up/climatechange/ClimateChangeBackgroundPaper.pdfで入手できる。

²第13回締約国会議(COP13)および第3回京都議定書締約国会議(COP/MOP3)は2007年12月3日から14日にかけ開催予定。

適応面の課題:脆弱性から抵抗力へ

  1. 仮に明日、温室効果ガスの濃度を安定化させるための包括的枠組みが採択されたとしても、人為的な原因による温暖化と海水位の上昇は数世紀にわたって続くことになるため、グローバルな適応戦略は依然として不可欠となる。このような戦略はとりわけ、持続可能な開発と、小島嶼開発途上国や後発開発途上国をはじめとする途上国のニーズ充足に基づくものとなろう。これらの国々は、そもそもの気候変動問題の原因に最もかかわり合っていないにもかかわらず、気候変動から最も大きな被害を受けるばかりか、その影響に対する適応能力も最も低いからである。
  2. 適応に関する作業が、他の政策分野から独立した個別の取り組みによって完結することはほとんどあり得ない。それどころか、各国が適応戦略の効果をあげるためには、これを経済、社会、ガバナンスの制度に取り入れ、国内政策の立案全体にしっかりと組み込まなければならない。開発途上国の中には、すでに独自の国内適応プログラムや行動計画の策定に取りかかっているものも多い。気候変動に国境は関係ないことを考えれば、地域的な協力の重要性も高まってくる。
  3. 気候変動による影響への適応は、グローバルな取り組みとする必要があるが、そのためには各国がこの上ない連帯の意思表示を行わなければならない。特に、グローバルな総合的適応戦略を策定する場合には、先進国から途上国への能力育成関連の資金供与と援助の大幅増が不可欠となる公算が高い。この点で、気候変動枠組み条約の資金供与メカニズムと京都議定書の「適応基金(Adaptation Fund)」は重要となるため、これを大幅に拡充する必要があろう。
  4. 開発途上国による適応ニーズへの取り組みを支援するにあたっては、外部からの資金援助が必要となろう。後発開発途上国の農業部門や保健部門、海水位の上昇により特に大きな影響を受ける小島嶼国その他開発途上国における沿岸部インフラ整備のニーズなど、すでに外部支援への依存度が高い部門や国々を対象とする資金援助が特に必要といえる。気候変動の増幅が生態系に与える影響や、砂漠化、干ばつ、食糧安全保障も、とりわけアフリカで重要な優先課題とする必要がある。
  5. また、どの対処戦略がどこで効果をあげたかなどの情報や知識についても、政府間での共有をさらに改善することが必要である。各国による準備態勢の整備を支援するためには、予測される気候変動の影響に関するデータを大幅に改良する必要もある。グローバル・レベルで予測される影響は徐々に明らかになっているものの、地域的、国内的、局地的影響に関するデータはこれに比べ、はるかに未整備の状態にとどまっている。
  6. とりわけ、各国および国際機関には、抵抗力育成による利益を十分に認識することが求められよう。根本的に不測の変化への対応を迫られる世界では、これが妥当な考え方だからである。将来的な災害のリスクを低めるためには、温室効果ガス排出量の削減が欠かせないが、コミュニティの抵抗力を高める上での取りあえずの課題は、防災プログラムを通じ、より極端な気象条件への準備態勢を整えることにある。具体策としては、一般市民のリスク認識改善、早期警報システムの強化、災害に対する備えの充実などがあげられる。災害に強い国、コミュニティの構築に関する「兵庫行動枠組み2005-2015」は、より厳しい気象や気候変動に対する脆弱性を低め、将来的な異常気象増加の脅威に適応するための合意済み計画を提示している。
  7. 不透明性はぬぐえないとはいえ、現状の脆弱性に取り組むことが、将来的な気候変動の影響に対する抵抗力を高める上で有効な策であることはわかっている。経済成長は脆弱性の削減に欠かせない。資源が増えれば、技術や代替的な生計手段、異常気象対策に手が届く可能性も高まるからである。自然災害や環境との関連でいえば、抵抗力とは、ショックや複合的な変化への適応を図る一方で、生活に不可欠なサービスや資源を長期的に確保してゆくことに他ならない。「抵抗力思考(resilience thinking)」を政策や実践に取り入れることは、21世紀全体を通じ、全世界のあらゆる市民にとって重大な責務となろう。

議論すべき問題点

  • 各国の政策や開発計画の策定に適応戦略をよりよく取り入れるためには、どうすればよいか。
  • 気候変動は、ミレニアム開発目標の達成をはじめ、持続可能な開発の見通しにどう影響するか。ミレニアム開発目標達成のための施策は、抵抗力育成にどのように貢献できるか。
  • 関連の国連機関とさらに幅広い国際システムは、抵抗力の育成に向け、開発途上国とどのように協力できるか。
  • グローバルな食糧、水および健康の安全保障を含め、持続可能な開発に気候変動が及ぼす長期的リスクに取り組むためには、どのような国際的メカニズムや枠組みが必要か。

気候にやさしい世界をつくる:技術の役割とその普及

  1. 気候変動への対応において、科学技術はその原因に取り組む上でも、その影響に適応する上でも、欠かせない役割を果たすことになろう。よって、必要な技術の普及を本格的に推進する必要がある。気候変動対策の強化に必要な技術は、ほとんどが利用可能な状態にある。行動面の変革によるエネルギー効率の改善と省エネ、再生可能エネルギー、節水技術、耐干ばつ性種子および地力回復はすでに、グローバルな排出量削減と、短期的に必要な規模での適応策を実現できる能力を秘めている。しかし、そのためにはまず、4つの挑戦に立ち向かわねばならない。
  2. 第1に、低炭素の代替技術は、化石燃料をベースとする既存の技術よりも割高と考えられることが多い。クリーナー・テクノロジーに対する需要が増え、環境コストを要素として取り込んだアプローチが採用され、現状での価格のゆがみが是正されれば、この問題は緩和されよう。しかし、市場が適切な政策によって効果的に誘導され、かつ、炭素市場が発展を続けない限り、このプロセスが動き出すことはない。近年、この目標を達成するため、多種多様な政策手段が試験的に採用されてきた。この点での課題は、こうした雑多な戦略を一貫性のあるグローバルな戦略へと統合することにある。
  3. 第2に、クリーナー・テクノロジーの利用には厄介な障害が生じることが多い。こうした障害は、エネルギーをより効率的に利用するよう個人に説得することを含めた行動面の課題から、新たなエネルギー・インフラ整備に向けた十分な投資資本の確保に至るまで、多岐にわたっている。この点についても、国家や国際機関だけでなく、非政府主体も関与させる形で、幅広い革新的な公共政策アプローチを作り上げ、こうした障害を克服してゆく必要がある。
  4. 第3に、炭素の固定と蓄積、水素・燃料電池、バイオ燃料、電力貯蔵システムとマイクロジェネレーション、クリーン・エネルギー技術、異常気象早期警報システム、バイオテクノロジーなどの新技術の研究開発を大々的に推進する必要も出てくるが、そのためには政府による一連の支援策が必要である。
  5. 第4に、先進国から途上国への技術移転でなく、途上国間の技術移転もますます、過去に例を見ない規模で必要となってこよう。今日、高度成長を遂げつつある開発途上国の中には、インフラや発電など、今後30年以上にわたって利用される資本ストックに数十億ドルにも及ぶ多額の投資を行っているものが多い。このような投資が持続可能な開発に資するか否かという点は、長期的な将来を考える上で大きな問題であるが、その決定は現時点で下されようとしている。将来的にどのような緩和枠組みを作るにせよ、きちんと機能する炭素市場がその中心的要素となることはほぼ間違いない。
  6. 多くの開発途上国はすでに、国内で重要な対策を講じはじめている。しかし、必要な規模で技術移転を行うためには、強力な全世界的インセンティブの枠組みが欠かせない。先進国が野心的な目標を立てれば、クリーン開発メカニズムで生まれる排出権の取引需要が増し、クリーン・テクノロジーの開発・展開プロセスの加速に資する一方で、持続可能な開発目標の達成も可能になろう。
  7. 技術普及促進の戦略を立てる場合には、特に民間が中心的主体として関与するか否かが鍵を握る公算が高い。規制の確実性や炭素市場の維持を含め、企業が必要な規模の投資を行いやすい条件の明確な把握に基づく政策を採用すれば、最も効果的であろう。

議論すべき問題点

  • どのメカニズムを用いれば、各国や各地域にとって最も潜在能力が高い適応・緩和技術の普及を加速できるか。
  • クリーン・テクノロジーへの投資を促進する上で、カーボン・ファイナンス、排出権取引、規制その他の政府主導型の取り組みは、どのような役割を果たすべきか。民間の役割は何か。また、環境上適正な技術への民間投資の流れをどのように拡大できるか。
  • 多国間、2国間の通商協力協定は、環境上適正な技術の発展に向けたインセンティブの創出にどう貢献できるか。
  • すでに実施中のインフラ整備投資について、気候変動への配慮を高めるためには、どうしたらよいか。

気候変動対策の資金調達:将来への投資

  1. 気候変動対策には、発電、鉱工業、構築環境、廃棄物、輸送、農林業など、幅広い部門で投資パターンの大きなシフトが必要となる。これら部門の多くでは、資本ストックの寿命が30年、あるいはそれ以上に及ぶため、現時点で下す投資決定は、長年にわたって世界的な排出量を特徴づけることになる。
  2. この問題をさらに深刻にしているのは、2000年から2030年までの間に、物的資産への投資額が全体で3倍に跳ね上がり、エネルギー供給部門だけでも20兆ドルが必要と見込まれるという事実である。こうした過去に類を見ない投資の大部分は、開発途上国で行われることになる。国際的な気候変動対策により、このような投資をできる限り、より持続可能なオプションへと誘導し、持続不可能な排出量が決定してしまわないようにするための条件を整備する必要がある。
  3. 気候変動の緩和面に関していえば、投資は2つの課題を抱えている。第1に、投資資本の利用を最適化し、官民で最もリスク吸収能力の高い主体の間でリスクを共有することにより、官民の投資家がすでに行っている投資をより持続可能なオプションへとシフトさせる方法を見いだす必要がある。第2に、同じく重要な課題として、より持続可能な気候への投資に利用できる官民の国際的資金プールを増強することがあげられる。
  4. 気候変動への適応面についても、追加的な投資や資金供与が不可欠となろう。先進国、途上国を問わず、新たな投資を行う際には、気候変動による影響を考慮する必要が多く生じよう。これは特に、農業やインフラなど、気候の変化や異常気象の影響を受けやすい部門での投資に当てはまる。同様に、新たな対処戦略を実証、共有し、国内の政策や実践に抵抗力思考を根づかせる上でも、追加的資金が特に必要となろう。あらゆる部門での適応措置について、外部からの公的資金の注入がさらに必要となる公算も高い。資金供与のメカニズムや資金源は現在のところ限られているため、新たな資金源の発掘は欠かせない。
  5. 気候変動に取り組むために必要な投資や資金の流れを確保するためには、炭素市場、気候変動枠組み条約の資金供与メカニズム、政府開発援助(ODA)、各国の政策、場合によっては新たな追加的資金などのメカニズムの改善を図り、これを最適な形で組み合わせることが必要となろう。エネルギー効率の向上から新たな再生可能エネルギー源、さらには炭素隔離の拡充に至るまで、幅広いオプションを対象とした一連のメカニズムを考案する必要がある。後発開発途上国や、海水位の上昇による影響を特に受けやすい途上国など、すでに外部支援に多くを依存している部門や国々については、特に関心を向けるべきである。
  6. 炭素市場はすでに、民間投資の流れを変える上で重要な役割を果たしているが、追加的な投資や資金供与のニーズに取り組むためには、これを大幅に拡大しなければならない。各国の政策は、官民投資家による投資と資金の流れをより気候に優しい代替策へとシフトさせることに貢献できるだけでなく、官民の投資家にリスクを分散させることにより、入手できる資金の利用を最適化することもできる。その際、各国が気候に優しい技術へと投資を誘導できる能力の育成は、不可欠な要素となる。
  7. 投資の流れの方向性と金額に影響を与えるためには、官民双方の幅広いパートナーと連携しなければならない。国連はもちろんのこと、多国間投資銀行、地域開発銀行、二国間、多国間の援助機関も、特に重要な役割を果たすべきである。クリーン・エネルギー投資枠組み(Clean Energy Investment Framework)、ナイロビ枠組みのほか、地域開発銀行が発足させた幅広い枠組みは、この挑戦に立ち向かう上でどのようなパートナーシップが重要となるかを示す好例である。

議論すべき問題点

  • 開発途上国による気候変動への適応を本格化させるための資金は、どのように調達すべきか。
  • 現在利用できる投資・資金源をさらにどのように最適化すれば、気候変動に取り組むことができるか。条約と京都議定書による既存のメカニズムの相互補完性はどのように高めることができるか。他にどのような投資・資金源を開発しうるか。
  • 新規投資の金額と方向性に影響を与え、これを気候にとって安全なオプションへと誘導する上で、政府や多国間機関は民間とどのような連携を図ればよいか。
  • 気候変動緩和への投資を促進する上で、公的資金供与、カーボン・ファイナンス、排出権取引、規制その他の政府主導型の取り組みは、どのような役割を果たすべきか。

排出量削減と気候の安定化:共通の未来を守る

  1. 2007年には、人為的に生じた二酸化炭素250億トン以上が大気中に排出されると見られる。大気中の二酸化炭素濃度は現在386ppmに達しているが、これは産業革命以前の水準280ppmを3分の1上回っており、しかもこの濃度は年間1ppmを超えるペースで着実に上昇している。気候変動問題を包括的に解決するとすれば、その定義上、大気中の温室効果ガス濃度を安全な水準で安定化させねばならないが、この水準はまだ定量化に至っていない。また、この目標は気候変動枠組み条約の中心的目的とされている。
  2. しかし、グローバルな排出量削減に向けた第一歩は、すでに踏み出されている。経済体制移行国での排出量減少に負うところが大きいとはいえ、2000年までに先進国の排出量を1990年の水準に戻すという条約のねらいは、取りあえず達成された。さらに重要なことに、175カ国が署名し、2005年に発効した1997年京都議定書では、先進36カ国が2012年までに、合意済みの目標値に沿った排出量の削減を約束した。とはいえ、京都議定書で合意された目標値は、条約に掲げられた目標の達成に見合うものではない。
  3. 当初の京都議定書履行期間終了後の取り組みをどうするかについての交渉は、今まさに始まろうとしている。必要なのは、先進国による大幅な排出量削減と、他の国々による対策を促すインセンティブを盛り込んだ、多国間のより協調的かつ整合的な行動である。最悪の被害を避けるためには、グローバルな排出量増大を早期に食い止めることが不可欠である。2007年12月のバリ会議は、今日の最も急を要するグローバルな課題について、本格的にグローバルな対応を図る上で重要な一歩となろう。
  4. 気候変動に関する今後の国際協力は、健全な科学に基づき、長期的な投資計画策定戦略に見合うものとする必要があると指摘する国々が多い。温室効果ガスの濃度を安全な水準で安定化させるという目標と、無策の代償は行動の費用を上回るという認識の高まりにより、国際協力の強化はますます中心的な関心事となっている。しかし、世界的なコンセンサスを構築するためには、この目標の達成に向けた手段を公平なものとしなければならない。リオの地球サミットでも採用されたこの考え方は「共通だが差異化された責任」の原則として、条約にも謳われている。これに従い、先進国は気候変動対策で主導権を握るものとされた。
  5. 開発途上国は歴史的に見て、気候変動問題を助長した責任が最も軽く、1人あたり排出量は依然として、先進国の水準を大きく下回っている。とはいえ、気候変動による最悪の被害に直面し、かつ、その影響に適応する能力が最も低いのも、これら開発途上国なのである。よって、気候変動というグローバルな問題にはグローバルな解決策しかないとしても、この解決策は持続可能な開発、貧困の削減、開発途上国の経済成長の権利という最優先課題との整合性を保ちつつ、他国がこれまで歩んできた開発過程で犯した過ちを避けるようなものとせねばならない。
  6. 開発途上国の中には、すでに独自の重要な国内対策に着手し、気候にとって安全な開発過程への移行に踏み出しているものも多い。財政的、技術的インセンティブや、土地利用管理、森林破壊による排出量増大の回避、その他関連問題についての改善をはじめとする行動の支援を通じ、開発途上国の関与を引き続き拡大することは、グローバルな気候変動対策の将来に欠かせない要素となろう。気候変動問題によって失うものが最も多いのは開発途上国であるが、これらの国々はまた、公平な枠組みに合意できれば、その解決策から大きな利益を得られるのである。

議論すべき問題点

  • 気候変動軽減に関する話し合いは、今後2~3年間でどのような道筋をたどるべきか。
  • 国内的な戦略とプログラムが、グローバル・レベルで持続可能な開発に見合う総合的かつ環境上適正な成果として実を結ぶようにするためには、各国がどうすればよいか。
  • 現在の取り組みを土台としつつ、どのように将来的戦略を構築すればよいか。

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http://www.un.org/climatechange/2007highlevel/background.shtml

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