オリンピック停戦:「人類は、スポーツを通じて共通点を見い出すことができる」(UN News 記事・日本語訳)
2025年12月22日

執筆者:アナ・カルモ(UN News)
2025年11月19日 — スポーツは常に、単なる力や技能の競い合い以上のもの役割を果たしてきました。その最たる形は、人々が対等な立場として集う貴重な空間となることです。それは、アンナレーナ・ベアボック国連総会議長が本日述べたように、「分断の時代にあっても、人類はスポーツを通じて共通点を、そして永続的な希望を見い出すことができる」という事実を思い起こさせます。
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ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックを前に、ベアボック議長は、オリンピック出場の夢を追いかけた自身のトランポリン選手としての若き日々と、スポーツによってライバル同士の間でさえも築ける一体感について振り返りました。
「オリンピック停戦」はその可能性を示す力強い象徴であり、「平和に必要なもの、つまり平和を構築するために求められる規律、敬意、勇気を体現する『生きたメタファー』」だとベアボック議長は語りました。
過去数十年の事例は、そのメタファーが実際にどれほど強力なものになり得るかを示しています。
1990年代には、バルカン半島の民族間の分断を越えて15万人以上の子どもたちが「オープン・ファン・フットボール・スクール」に参加し、紛争後の信頼回復に(サッカーの)プレーが取り入れられました。
コロンビアやキプロスにおける同様のプログラムでは、試合を共にし、ゴールを共にし、グラウンドを共にすることを通じて、分断されたコミュニティーが時間をかけて信頼を回復することに貢献しました。

国内における平等
障壁を打ち破るスポーツの力は、国家間の平和だけでなく、国内の平等についても同様に発揮されます。
ジェンダー平等は、ベアボック総会議長の発言の中で大きく取り上げられました。議長は、カナダの女子ホッケーチームの反骨精神を称賛しました。同チームはソチ2014大会で金メダルを獲得しましたが、「女の子みたいにプレーするのか?」という揶揄に対して、「そう、女の子のように速く、強くね」と返したことでも有名です。
彼女たちのメッセージは、スポーツをはるかに超えて女性や女児たちを制限し続けるステレオタイプに抗うものだとベアボック議長は語りました。
ミラノ・コルティナ2026大会は、これまでで最もジェンダー・バランスの取れたオリンピックとなる見込みであり、選手の47%を女性が占める見通しです。
イタリアの約束
イタリアは、予定される数百のレガシー・プロジェクト(未来に良いレガシーを残す取り組み)の力を借りて、オリンピックが、氷上でも氷の外でも包摂とアクセシビリティを推進していくことを約束しています。
イタリアの代表者はまた、オリンピック精神を体現する並外れたスポーツマンシップの瞬間について触れ、かつてボブスレー選手として活躍した、エウジェニオ・モンティ氏の寛大さを振り返りました。モンティ選手は、インスブルック1964大会でライバルチームに用具を貸したことで有名であり、結果としてその日は優勝を逃すことになったものの、長きにわたって尊敬を得ることとなりました。
「スポーツとオリンピック大会は、対立と分断に代わる、希望の光をもたらすことができる」イタリア代表はこのように述べました。
世界が冬季オリンピックに関心を寄せる中、国連のメッセージはシンプルです。公平さ、勇気、チームワーク ―― 競技場で学ぶ価値観は、より平和で包摂的な世界を築く上で必要な価値観と同じなのです
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原文(English)はこちらをご覧ください。


