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イスラエル・パレスチナ紛争の二国家解決への再コミットを「手遅れになる前に」とグテーレス事務総長(UN News 記事・日本語訳)

2025年10月06日

ヨルダン川西岸地区の分離壁©UN News/Shirin Yaseen

2025922日 — 今こそ、ガザ地区でハマスによって拘束され続けている48人の人質を解放し、戦地と化した同地区での爆撃、虐殺、住民の強制移住を止める時だ ― フランスのエマニュエル・マクロン大統領は本日、国連総会議場において各国代表に向けてこう語りました。

マクロン大統領は、サウジアラビアとともに共同議長を務めるパレスチナ問題とイスラエルとの二国家解決に焦点を当てた国際会議の再開にあたって発言しました。

 「平和のための時が来ましたた。なぜなら私たちは、平和をつかむことが、もはや不可能となる瀬戸際に立たされているからです」マクロン大統領はこのように述べました。

マクロン大統領「もう待つことはできない」

英国、カナダ、オーストラリア、ポルトガルが21日にパレスチナを国家として承認したことを受け、マクロン大統領がフランスもこれに続く発表をすると、会議に出席した代表たちから長い拍手が起こりました。

「パレスチナの人々の法的な権利を認めることは、イスラエルの人々の権利から何も奪いません。フランスは、イスラエル建国当初からイスラエルの人々を支持するとともに、その権利を尊重することに揺るぎない姿勢を堅持しています」大統領はこのように述べました。

「だからこそ私たちは、この承認こそ、イスラエルが平和の内に存続することを可能にする唯一の解決策だと強く確信しているのです」

さらなる支援が必要

ハイレベル国際会合は、7月に国連本部で開かれた会合の第1段階の成果宣言が、総会決議で圧倒的多数によって採択されたことを受けて開催されました。

サウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハーン・アール・サウード外相は、パレスチナ国家を承認、またはその意向を表明した各国に対し、謝意を表明しました。

「私たちは、他のすべての国々に対し、同様の歴史的な一歩を踏み出すよう呼びかけます。その一歩は、二国家解決の実施に向けた取り組みの支援に多大な影響をもたらし、中東において恒久的かつ包括的な平和を実現し、同地域が平和と安定と繁栄を享受し得る新たな現実を見出すことにつながります」外相はこのように述べました。

グテーレス事務総長、改めて停戦を訴え

アントニオ・グテーレス国連事務総長はその発言の中で、2023107日にハマスがイスラエルに対して行った恐ろしい攻撃も、パレスチナの人々に対する集団的懲罰のいずれもが、いかなる理由によっても正当化されるものではないとの主張を繰り返しました。

事務総長は、ガザ地区における停戦、人質全員の解放、そして安全で、無条件かつ無制限の人道支援へのアクセスを改めて求め、これらすべてが直ちに実現されねばならないと訴えました。

事務総長はさらに、二国家解決の存亡に関わるヨルダン川西岸地区における展開を正当化するものも何もないとつけ加え、「絶え間ない」入植地の拡大、「忍び寄る併合の脅威」、そして入植者による暴力の激化の終結を求めました。

パレスチナ人の国家樹立は権利である

「私たちは、手遅れになる前に、二国家解決に再コミットしなければなりません」事務総長は、こう警告しました。 

はっきりさせておきましょう。パレスチナ人の国家樹立は権利であり、報酬ではありません」と事務総長は述べ、拍手が起こりました。

国家樹立を否定すれば、世界中の過激派に力を与えてしまいます。二国家がなければ、中東に平和は訪れず、過激主義が世界中に広がるでしょう」

「『浅はかな願望』ではない」

アンナレーナ・ベアボック総会議長は、パレスチナ人とイスラエル人双方の将来世代が、平和、安全、そして尊厳とともに生きられるようにするためには、二国家解決が唯一の道であると強調しました。

総会議長は、この問題に関する最初の決議が「国連とほぼ同じくらい古いものである」ことから、「二国家解決が浅はかな願望と思う人たちがいるのもわかっている」と述べました。

数十年にわたる失敗を指摘する人たちに対し、総会議長は、正しいことを目指さないのであれば、それは「悪の蔓延」とそれによる「国連の終焉」を意味すると強調しました。

ベアボック議長は、国際社会は二国家解決にコミットしているだけでなく、「その実現に向けた具体的で、期限付きの、不可逆的な措置の特定」を進めており、決定的な手段を講じて国際的な保証を提供する意思があると述べました。

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原文(English)はこちらをご覧ください。